AGAには男性ホルモンと遺伝が関与しているということは前述しました。
そもそも髪の毛には一定のサイクルがあり、「成長期・退行期・休止期」と言うものがあります。
そして、成長期は通常であれば2~6年あるため、その間に髪の毛は強く太く成長してくれます。
しかし、AGAの人では、この成長期が短くなってしまうのです。
このため、髪の毛は十分な太さや硬さに成長することがなく、引き続き退行期へと向かうため、軟毛が多くなり抜け毛も合わさり薄毛となるわけです。
そして、その成長期を短くする原因が男性ホルモンと遺伝なのです。
男性ホルモンには本来「テストステロン」と呼ばれるものがあります。
思春期から成人になるにつれ体の中で増えて行き、いわゆる「男らしさ」を作って行きます。
しかし、30代に入るとこのテストステロンの分泌は徐々に減って行きます。ここで我々男性は男らしさを保つため、徐々に減少するテストステロンを補うべく、ある一つの方法をとり始めます。
それは、少なくなったテストステロンをさらに強力な男性ホルモン作用のある物質に変換するということです。
具体的には、テストステロンは、5αリダクターゼという酵素により更に強力な男性ホルモン作用を持つジヒドロテストステロン(DHT)に変換されます。
男性ホルモンが少なくなるなら更に強力な作用を持つものそれを変えて全体としての男性らしさを保つ能力を維持しようということでしょう。
しかし、これが髪の毛にとってはマイナスに働くのです。
実は、このDHTは、髪の毛の元となる細胞に作用し、その活動・増殖が抑えられてしまうため、結果として髪の毛の成長期が抑えられてしまい薄毛となってしまうのです。
そして、このDHTの結合する受容体(いわゆる受け皿)は主に頭頂部と額の生え際である前頭部の髪の毛にのみあるのです。
ですからAGAによる薄毛は頭頂部と額の生え際である前頭部に現れるということになるわけです。
このことがAGAにはその進行にパターンがあるという理由です。
また、テストステロンをジヒドロテストステロン(DHT)に変える酵素である5αリダクターゼは、その分泌量には個人差があり、遺伝が強く関与しているということがわかっています。