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第1675回:院長ブログ:肥満は遺伝する?「太りやすい体質」と生活習慣の関係 ~遺伝子だけで体重が決まるわけではありません~

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第1675回:院長ブログ:肥満は遺伝する?「太りやすい体質」と生活習慣の関係 ~遺伝子だけで体重が決まるわけではありません~

この記事でわかること

  • 肥満に遺伝はどのくらい関係するのか
  • 「太りやすい体質」とは何を意味するのか
  • 家族で体型が似るのは遺伝だけが原因ではない
  • 遺伝子が同じでも体重が変わる理由
  • 肥満になりやすい体質でも改善できること
  • 自分に合った体重管理を見つける考え方

「うちは家族みんな太っているから仕方ない?」

肥満・メタボの診療をしていると、

「父も母も太っています」

「子どものころから太りやすい体質です」

「家族みんな体格が似ています」

という話を聞くことがあります。

実際、肥満には遺伝的な要因があります。

しかし、

「肥満は遺伝する」=「生まれたときから将来の体重が決まっている」

という意味ではありません。

肥満は一般に、

遺伝的な体質 × 生活環境

の相互作用によって起こります。

ここを理解することがとても重要です。


肥満には遺伝が関係している

体重には多くの遺伝的要因が関係していることが知られています。

遺伝子の違いによって、

食欲
満腹感
脂肪の蓄積
エネルギー消費
食べ物への反応

などに個人差が生じる可能性があります。

そのため、同じような生活をしていても、

「比較的太りにくい人」

と

「体重が増えやすい人」

がいること自体は不思議ではありません。

つまり、「太りやすさ」に生まれつきの個人差があることは確かです。


では、肥満の何%が遺伝?

ここは数字を単純化しすぎないことが重要です。

研究では、BMIなどの個人差に遺伝要因がかなり関係することが示されていますが、

「あなたの肥満の○%は遺伝です」

と個人単位で正確に分けることはできません。

なぜなら、遺伝子の影響は生活環境によって現れ方が変わるからです。

たとえば、食べ物が少なく毎日よく体を動かす環境と、高エネルギーの食品が簡単に手に入り座って過ごす時間が長い環境では、同じ遺伝的素因を持つ人でも体重の増え方が異なる可能性があります。


肥満の多くは「一つの肥満遺伝子」で決まらない

肥満というと、

「太る遺伝子を持っているか、持っていないか」

というイメージを持つかもしれません。

しかし、一般的な肥満の多くはそう単純ではありません。

食欲やエネルギー代謝などに関係する多数の遺伝的な違いが少しずつ影響し、そこへ生活環境が組み合わさると考えられています。

一方、非常にまれですが、特定の遺伝子異常などによって高度な肥満を生じる病態もあります。

ただし、日常診療でみられる肥満の大部分は、

「一つの遺伝子だけで説明できる肥満」ではありません。

【図1:肥満は「遺伝」だけでは決まらない ― 遺伝的体質×生活環境の関係】


家族みんな太っているのは遺伝のせい?

遺伝だけとは限りません。

家族は遺伝子だけでなく、生活環境も共有しています。

たとえば、

食卓に並ぶ料理
一食の量
間食の習慣
甘い飲み物
外食の頻度
飲酒習慣
休日の過ごし方
運動習慣
睡眠時間

などは、家族の中で似やすくなります。

つまり、

家族で体型が似ている=遺伝

とは単純に言えません。

遺伝と家庭環境の両方が重なっている可能性があります。


「太りやすい体質」は存在する?

「水を飲んでも太る」という表現は医学的には正しくありませんが、同じ生活をしていても体重変化には個人差があります。

たとえば、

食欲が強くなりやすい
満腹を感じにくい
高エネルギー食品を好みやすい
身体活動量が自然に少なくなりやすい

など、さまざまな違いが体重管理のしやすさに影響します。

重要なのは、

「太りやすい体質がある」ことと、「痩せることが不可能」はまったく別

ということです。


遺伝子が変わっていないのに、なぜ最近肥満が増えた?

これは肥満を理解するうえで非常に重要な視点です。

人間の遺伝子が数十年という短期間で大きく変化したわけではありません。

一方、私たちを取り巻く環境は大きく変わりました。

高エネルギーの食品が手軽に手に入る
甘い飲料を飲む機会が多い
車移動が増える
デスクワークが増える
インターネットやスマートフォンで座る時間が長くなる
睡眠時間が短くなる

など、**「摂取しやすく、消費しにくい環境」**になっています。

遺伝的に太りやすい人では、こうした環境の影響がより表面化しやすい可能性があります。


遺伝より「環境」を見る意味

自分の遺伝子そのものを変えることはできません。

しかし、

食事
身体活動
筋肉量
睡眠
飲酒
生活リズム

は変えることができます。

だから肥満治療では、

「なぜ自分は太りやすいのだろう?」

を考えることは大切ですが、

遺伝子のせいかどうかだけを追いかけるより、変えられる要因を見つけること

の方が実際の健康管理には役立ちます。


同じ方法が全員に効くわけではない

ここも遺伝や体質を考えるうえで重要です。

ある人は、

間食をやめる

だけで体重が減るかもしれません。

別の人は、

飲酒量を減らす

ことが最も効果的かもしれません。

また、

歩数を増やす
筋力トレーニングを始める
夕食の内容を変える
睡眠時間を確保する

ことで改善する人もいます。

つまり、

「万人に共通する一つのダイエット法」

を探すより、自分の体重増加の背景を見つけることが大切です。


遺伝子検査をすれば「最適なダイエット」がわかる?

現在、一般向けにさまざまな肥満関連の遺伝子検査が販売されています。

こうした検査に興味を持つ方もいるでしょう。

しかし、一般的な肥満は多数の遺伝要因と環境要因が複雑に関係して起こります。

そのため、限られた遺伝子を調べただけで、その人に最適な食事や減量法が確実に決まるわけではありません。

健康管理ではまず、

体重・BMI・腹囲
食事内容
身体活動
血圧
血糖・HbA1c
脂質

など、実際に現在の体で起きていることを見る方が重要です。


家族歴は無視してよいわけではない

一方で、家族の健康情報は重要です。

家族に、

2型糖尿病
高血圧
脂質異常症
心筋梗塞
脳卒中

などが多い場合には、自分自身の生活習慣病リスクを考えるうえで参考になります。

「遺伝だから仕方ない」と考えるのではなく、

「自分は少し早めに予防を始めた方がよいかもしれない」

という方向に利用するのがおすすめです。

【図2:「太りやすい体質」でも変えられる ― 遺伝と6つの生活習慣】


体質を知る目的は「諦めるため」ではない

太りやすい人に、

「食べなければ痩せます」

だけで済ませるのは適切ではありません。

食欲や体重調節には生物学的な仕組みがあり、減量すると体が元の体重へ戻ろうとする方向に働くこともあります。

そのため肥満対策では、

意志の強さだけに頼らず、続けられる環境を作ること

が重要です。

たとえば、

家に高カロリーの間食を置かない
飲み物を変える
歩くルートを作る
食事時間を整える
睡眠時間を確保する

などです。

「我慢し続ける」よりも、太りにくい行動を自然に続けられる環境を作る方が長期的には重要です。


当院の考え方

肥満には遺伝的な要因があります。

だからといって、

「本人の努力不足」

と単純に考えることも、

「遺伝だからどうしようもない」

と諦めることも適切ではありません。

大切なのは、

自分がどのような状況で体重が増えやすいのか

を知ることです。

さらに、体重だけでなく腹囲、血圧、血糖、HbA1c、脂質などを確認し、生活習慣病のリスクを総合的に評価します。

肥満・メタボや家族歴が気になる場合には、まずは内科クリニックへご相談ください。

必要に応じて専門医療機関へご紹介します。


まとめ

肥満には確かに遺伝的な要因があります。

しかし、一般的な肥満の多くは、

遺伝的体質 × 食事 × 運動 × 睡眠 × 生活環境

などの相互作用によって起こります。

つまり、

「太りやすさ」は遺伝しても、「将来の体重」が決まっているわけではありません。

自分では変えられない遺伝子よりも、

自分で変えられる生活環境に目を向ける。

これが肥満・メタボ対策では非常に重要です。


当院からのメッセージ

家族に肥満や糖尿病、高血圧の方が多い場合、それを悲観する必要はありません。

むしろ、

「自分は少し早めに生活習慣を整えておこう」

と考えるための情報として活用してください。

体重だけではなく、腹囲や健診結果の変化を早い段階から確認していくことが大切です。


院長のワンポイントアドバイス

「太りやすい体質だから」と思っている方は、まず自分が太りやすい場面を探してみてください。

夜遅い食事なのか。

間食なのか。

お酒なのか。

運動不足なのか。

睡眠不足なのか。

原因は人によって違います。

体質そのものを変えようとするより、自分の体質に合った生活を作る。

それが長く続けられる肥満対策につながります。


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