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第1677回:院長ブログ:ストレスで太る?「ストレス太り」が起こる本当の理由 ~ストレスホルモンだけでは説明できない、食欲・睡眠・飲酒・活動量との関係~

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第1677回:院長ブログ:ストレスで太る?「ストレス太り」が起こる本当の理由 ~ストレスホルモンだけでは説明できない、食欲・睡眠・飲酒・活動量との関係~

この記事でわかること

  • 本当にストレスで太ることがあるのか
  • ストレスと食欲・食行動の関係
  • コルチゾールだけで「ストレス太り」を説明できない理由
  • ストレスと睡眠不足・飲酒との関係
  • なぜ忙しい人ほど活動量が減ることがあるのか
  • ストレスによる体重増加を防ぐ現実的な方法

「ストレスで太った」は本当にある?

仕事が忙しくなってから体重が増えた。

人間関係でストレスが続き、甘いものを食べることが増えた。

疲れて帰宅すると、ついお酒とおつまみに手が伸びる。

このような経験がある方は少なくありません。

一般に「ストレス太り」と呼ばれますが、医学的には、

ストレスを感じたら自動的に脂肪が増える

という単純な仕組みではありません。

ストレスが、

食欲・食行動・睡眠・飲酒・身体活動

などを変化させ、その結果として体重増加につながることがあります。


ストレスを感じると体では何が起こる?

私たちがストレスを感じると、体はそれに対応するための反応を起こします。

その一つに、コルチゾールというホルモンがあります。

コルチゾールは副腎から分泌され、

血糖の調節
血圧の維持
免疫反応の調節

など、生命維持に必要なさまざまな働きをしています。

そのため、

「コルチゾール=悪いホルモン」

ではありません。

問題になるのは、慢性的なストレスが続き、それに伴って食行動や睡眠など生活全体が乱れていく場合です。


「コルチゾールが出るから太る」だけではない

インターネットでは、

ストレス
↓
コルチゾール
↓
内臓脂肪
↓
肥満

という非常に単純な説明を見かけることがあります。

しかし、人間の体重増加はそれほど単純ではありません。

ストレスへの反応には個人差があり、

食欲が増える人もいれば、逆に食欲が低下する人もいます。

さらに体重への影響には、

食事量
食品の選択
睡眠時間
身体活動量
飲酒

などが複雑に関係します。

したがって「ストレス太り」を考えるときは、ホルモンだけではなく生活行動全体を見ることが重要です。


ストレスで「食べる量」が増える

ストレスが続いたとき、

「お腹が空いているわけではないのに食べてしまう」

ということがあります。

これは**情動的摂食(emotional eating)**と呼ばれることがあります。

空腹だから食べるのではなく、

イライラする
不安になる
疲れている
気分が落ち込む

といった感情をきっかけに食べる行動です。

特に、

甘いもの
スナック菓子
脂肪の多い食品

など、嗜好性の高い食品へ手が伸びやすくなることがあります。

【図1:ストレスから体重増加につながる5つのルート ― 食欲・間食・睡眠・飲酒・活動量】


「頑張ったご褒美」が毎日になることも

ストレスが多い生活では、

「今日も頑張ったからケーキを食べよう」

「仕事が終わったからビールを飲もう」

という行動が起こりやすくなります。

もちろん、ときどき楽しむこと自体が問題なのではありません。

注意したいのは、それが毎日の習慣になることです。

本人としては、

「そんなに食べていない」

つもりでも、

夕食後のお菓子
寝る前のお酒
コンビニでの追加購入

などが積み重なると、一日の摂取エネルギーは増えていきます。


ストレスと睡眠不足はセットになりやすい

前回の記事で、睡眠不足と肥満の関係を解説しました。

ストレスが強いと、

寝つけない
夜中に目が覚める
仕事のことを考えてしまう
睡眠時間そのものが短くなる

といったことが起こります。

すると、

ストレス
↓
睡眠不足
↓
食欲・食行動の変化
↓
疲労
↓
活動量低下

という流れが生まれることがあります。

つまりストレスと睡眠不足は、肥満に対して別々ではなく連動していることがあるのです。


ストレスでお酒が増えていませんか?

ストレス解消として飲酒する方もいます。

「寝る前に飲むとリラックスできる」

と感じるかもしれません。

しかし、アルコールそのものにもエネルギーがあります。

さらに、

お酒と一緒におつまみを食べる
飲酒後にラーメンなどを食べる
睡眠の質が低下する
翌日に運動しなくなる

など、体重管理に不利な行動が重なることがあります。

特に、

「ストレスがある日は飲む」

という習慣が毎日続いていないか、一度振り返ってみましょう。


忙しい人ほど「動いている」とは限らない

「仕事が忙しいから、かなりエネルギーを使っているはず」

と思うかもしれません。

しかし、

パソコン作業
会議
車での移動
オンラインミーティング

などが中心の場合、精神的には非常に疲れていても、身体活動量はそれほど多くないことがあります。

むしろ忙しくなることで、

ウォーキングをやめる
ジムへ行かなくなる
階段を使わなくなる
休日は疲れて寝ている

など、身体活動量が減ることもあります。

「疲れている」ことと「体を動かしている」ことは別なのです。


ストレス太りの悪循環

ストレスによる体重増加で注意したいのが、悪循環です。

ストレスが増える
↓
食べる・飲む
↓
睡眠が乱れる
↓
動かなくなる
↓
体重・腹囲が増える
↓
健診結果が悪化する
↓
さらにストレスを感じる

こうなると、

「痩せなければ」

という気持ち自体が新たなストレスになることがあります。

そこで極端な食事制限を始めても、長続きせず、再び食べてしまう。

この繰り返しを避けることが大切です。

【図2:「ストレス太り」の悪循環と、そこから抜け出す5つのポイント】


ストレス太り対策は「我慢を増やす」ことではない

ストレスが多い人に、

「もっと食事を我慢してください」

とだけ伝えても、うまくいかないことがあります。

必要なのは、ストレスが食行動へ直結しない仕組みを作ることです。


① 「お腹が空いた」のか「ストレス」なのか確認する

食べる前に、

「本当に空腹なのか?」

と一度考えてみます。

イライラした直後に食べたくなるなら、空腹ではなくストレスがきっかけかもしれません。


② ストレス解消を「食べること」だけにしない

散歩する
入浴する
音楽を聴く
趣味を楽しむ
家族や友人と話す

など、自分に合った別の方法を用意しておきます。

重要なのは、食べることを禁止するのではなく、ストレスへの対応方法を増やすことです。


③ 食べる環境を変える

自宅や職場の机にお菓子が常に置いてあれば、ストレスを感じた瞬間に食べやすくなります。

「意志の力」で毎回我慢するより、

目の前に置かない

という環境づくりの方が続けやすい場合があります。


④ 睡眠を確保する

ストレスが強いときほど睡眠を削らないようにします。

睡眠不足が重なると、食欲や疲労、身体活動など別の問題まで加わりやすくなります。


⑤ 少しでも体を動かす

運動には体重管理だけでなく、気分転換という意味もあります。

必ずしも長時間の運動である必要はありません。

仕事の合間に歩く、階段を使う、夕食後に散歩するなど、生活の中に短い活動を入れることから始めます。


ストレスそのものをゼロにする必要はない

現代社会でストレスを完全になくすことは現実的ではありません。

目標は、

「ストレスを感じない人になる」

ことではなく、

「ストレスを感じても、食べすぎ・飲みすぎ・睡眠不足へ流れにくい生活を作る」

ことです。

これなら実行可能です。


体重が増えたら「生活が変わった時期」を探す

「なぜ太ったかわからない」

という方には、体重が増え始めた時期を振り返ることをおすすめします。

たとえば、

転職した
昇進した
在宅勤務になった
家族環境が変わった
睡眠時間が減った
飲酒が増えた

などです。

体重増加の前に起きた生活の変化が、原因を見つける重要なヒントになります。


当院の考え方

肥満・メタボの診療では、

「食べすぎだから痩せてください」

だけでは十分ではありません。

なぜ食べすぎるのか。

なぜ運動できなくなったのか。

なぜお酒が増えたのか。

その背景に、

仕事・睡眠・ストレス・生活環境

が関係していることがあります。

体重だけでなく、生活全体を見ながら改善できるポイントを探すことが重要です。

まずは内科クリニックへご相談ください。

必要に応じて専門医療機関へご紹介します。


まとめ

いわゆる「ストレス太り」は、

ストレスホルモンだけで起こる単純な現象ではありません。

ストレスによって、

食欲↑
間食・夜食↑
飲酒↑
睡眠の質↓
身体活動↓

などが重なり、その結果として体重や内臓脂肪が増えることがあります。

だから対策も、

「もっと我慢する」だけでは不十分です。

ストレスと食行動の間にある習慣を一つずつ変えていくことが大切です。


当院からのメッセージ

「ストレスがあるから痩せられない」と諦める必要はありません。

まず、

自分はストレスを感じたとき、何をしているか

を観察してみてください。

食べる。

飲む。

夜更かしする。

動かなくなる。

そこに気づけば、変えられるポイントが見つかります。


院長のワンポイントアドバイス

おすすめなのは、体重だけでなく、

「その日に強いストレスがあったか」
「間食したか」
「飲酒したか」
「何時間眠ったか」

を1~2週間だけ記録してみることです。

すると、

ストレス → 夜のお酒 → 夜食 → 睡眠不足

など、自分特有のパターンが見えてくることがあります。

その中の一か所だけ変えることから始めてみましょう。


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