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第1686回:院長ブログ:糖質制限で便秘になる?食物繊維・水分・腸内環境の整え方 ~糖質を減らすときこそ「便秘になりにくい食事」を意識しましょう~

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第1686回:院長ブログ:糖質制限で便秘になる?食物繊維・水分・腸内環境の整え方 ~糖質を減らすときこそ「便秘になりにくい食事」を意識しましょう~

この記事でわかること

  • 糖質制限で便秘になることがある理由
  • 糖質制限そのものが便秘の原因なのか
  • 食物繊維にはどのような種類があるのか
  • 糖質を増やしすぎずに食物繊維を摂る方法
  • 水分はどのくらい意識すればよいのか
  • 腸内環境と食事の関係
  • 便秘で医療機関を受診した方がよいサイン

糖質制限を始めたら便秘になった?

糖質制限を始めた患者さんから、

「体重は減ったけれど、便が出にくくなりました」

「以前より便が硬くなりました」

「糖質制限は腸に悪いのでしょうか?」

と相談されることがあります。

糖質制限を始めた後に便通が変化する方はいます。

しかし、

「糖質を減らすこと自体が必ず便秘を起こす」

わけではありません。

問題になりやすいのは、糖質を減らした結果として食事の内容まで大きく変わってしまうことです。


なぜ糖質制限で便秘になることがある?

糖質制限を始めると、

ご飯を減らす
パンをやめる
麺類を減らす
果物を減らす

など、これまで食べていた食品が減ります。

これは糖質を減らすという目的には合っています。

しかし、その代わりに、

肉・卵・チーズばかり

という食事になってしまうと、食物繊維の摂取量が減る可能性があります。

さらに食事全体の量が減れば、便の材料になるものも少なくなります。

つまり、

糖質制限=便秘

なのではなく、

糖質制限によって食物繊維・食事量・水分などが変化した結果、便秘になっている

ケースがあるのです。

 

 

 

 

 

 

【図1:糖質制限でなぜ便秘になる?― 食物繊維・食事量・水分・腸内環境の変化】


食物繊維は「糖質制限だから減らしてよい」ものではない

ここは非常に重要です。

炭水化物は、

糖質+食物繊維

で構成されます。

糖質制限で減らしたいのは主として糖質です。

食物繊維まで積極的に減らす必要はありません。

むしろ、糖質制限を行うときには、

「糖質は抑えながら、食物繊維はきちんと確保する」

という発想が大切です。


食物繊維には大きく2種類ある

食物繊維は大きく、

水溶性食物繊維
不溶性食物繊維

に分けられます。

水溶性食物繊維は水に溶けやすく、腸内細菌によって発酵されるものも多く、腸内環境にも関係します。

不溶性食物繊維は水分を吸収して便のかさを増やし、腸の動きを促すことに関係します。

ただし、

「便秘だから不溶性食物繊維を大量に摂ればよい」

とは限りません。

便秘のタイプによっては、食物繊維を急激に増やすことで、お腹の張りや不快感が強くなることもあります。


糖質制限中は何から食物繊維を摂る?

糖質制限中に利用しやすいのは、

葉物野菜
ブロッコリー
きのこ類
海藻類

などです。

これらを肉・魚・卵・大豆製品などと組み合わせることで、糖質を抑えながら食物繊維を摂ることができます。

たとえば、

焼き魚+きのこ
肉料理+葉物野菜
卵料理+ブロッコリー
豆腐+海藻

などです。

「主食を抜いたから、あとは肉だけ」

ではなく、

タンパク源+糖質の少ない野菜・きのこ・海藻

という組み合わせを基本にするとよいでしょう。


「野菜なら何でも同じ」ではない

前回までの記事でも説明しましたが、糖質制限では野菜の種類にも注意します。

葉物野菜やきのこ類などと比べ、

いも類
かぼちゃ
とうもろこし

などは糖質を比較的多く含みます。

「食物繊維を摂るためだから」と大量に食べれば、糖質摂取量も増えます。

したがって、

食物繊維が多いかだけでなく、糖質量も一緒に見る

ことがポイントです。


果物を便秘対策として積極的に食べる必要はある?

「便秘なら果物を食べましょう」

と言われることがあります。

果物には食物繊維を含むものがあります。

しかし、前回まで説明してきたように、果物には果糖などの糖質も含まれます。

そのため当院では、肥満・メタボや糖質制限中の方に、

「便秘だから果物をたくさん食べましょう」

とはおすすめしていません。

食物繊維は、葉物野菜、きのこ、海藻など、糖質の比較的少ない食品からも摂取できます。

果物を食べる場合も、「健康食品だから無制限」ではなく量を考えましょう。


水分不足も確認しよう

便が硬い場合には、水分摂取についても確認します。

糖質制限開始直後には、グリコーゲンとそれに伴う水分が減るため、体内の水分量が変化することがあります。

また、

食事量そのものが減った
汁物を飲まなくなった
仕事中ほとんど水分を摂らない

など、生活上の変化が隠れていることもあります。

基本となる飲み物は、

水
お茶
無糖の飲み物

です。


「便秘だから水を大量に飲む」は正しい?

水分不足がある人では、適切な水分補給は重要です。

しかし、

水をたくさん飲めば、すべての便秘が治る

わけではありません。

十分な水分を摂っている人が、さらに大量の水を飲んだからといって便秘が必ず改善するわけではありません。

また、心不全や腎機能低下などで水分量の管理が必要な方もいます。

水分摂取について治療上の指示を受けている方は、その指示を優先してください。


腸内環境と食物繊維

腸内には非常に多くの腸内細菌が存在しています。

一部の食物繊維は腸内細菌によって発酵され、短鎖脂肪酸などが産生されます。

短鎖脂肪酸は腸管の環境や代謝との関係が研究されています。

したがって、糖質制限だからといって、

肉・脂質だけに極端に偏った食生活

にすることはおすすめしません。

糖質を抑えながらも、食物繊維を含む食品を適切に組み合わせることが大切です。


発酵食品を食べれば腸内環境は整う?

納豆、ヨーグルトなどの発酵食品を食生活に取り入れることはできます。

ただし、

「この食品を食べれば腸内環境が改善して便秘が治る」

と単純には言えません。

またヨーグルトは製品によって糖質量が異なります。

糖質制限中であれば、無糖タイプを基本にして、栄養成分表示を確認しましょう。

はちみつや砂糖、グラノーラ、果物などを大量に加えれば、糖質量は当然増えます。


油を減らしすぎていない?

糖質制限を始めると、

「糖質も脂質も両方減らした方が早く痩せるのでは?」

と考える方がいます。

しかし、

糖質を大きく減らし、さらに脂質も極端に減らし、食事量そのものまで大幅に減らせば、食生活が非常に制限的になります。

糖質制限は、

糖質も脂質もタンパク質も全部減らす食事法

ではありません。

魚、肉、卵、大豆製品などを適切に摂り、必要な栄養を確保することが大切です。


運動不足も便秘に関係する

便秘対策は食事だけではありません。

身体活動が少ない生活も便通に影響することがあります。

特に、

デスクワーク中心
一日ほとんど歩かない
減量中に食事だけ変えて運動していない

という方では、日常の活動量も見直しましょう。

ウォーキングなど、無理のない範囲で身体を動かすことは、肥満対策にも便通対策にも役立ちます。


便秘薬を自己流で長く使っていい?

市販の便秘薬を使用している方も少なくありません。

しかし便秘薬にはさまざまな種類があり、作用も異なります。

特に、刺激性下剤を漫然と頻回に使用するのではなく、便秘が続く場合には原因や便秘のタイプを評価することが重要です。

慢性的な便秘がある場合は、内科でご相談ください。


「糖質制限のせい」と決めつけてはいけない便秘

便秘が糖質制限を始めた時期と重なっていても、別の病気が隠れている可能性があります。

特に、

血便
黒い便
原因不明の体重減少
強い腹痛
嘔吐
お腹が著しく張る
急に便通が変化した
便が細い状態が続く

などがある場合には、単なる食生活の問題と決めつけないことが重要です。

症状によっては早めの医療機関受診が必要です。

強い腹痛や繰り返す嘔吐、著しい腹部膨満などがある場合は、緊急性の判断も必要になります。


糖質制限中の便秘対策7か条

① 食物繊維まで減らさない

糖質と食物繊維を同じものとして考えないようにします。

② 葉物野菜を利用する

糖質を抑えながら食物繊維を確保します。

③ きのこ・海藻を取り入れる

食事のバリエーションも広がります。

④ 肉・卵・チーズだけの食事にしない

タンパク質と脂質だけに偏らないようにします。

⑤ 水分不足がないか確認する

基本は水・お茶・無糖飲料です。

⑥ 適度に身体を動かす

食事だけでなく生活全体を見直します。

⑦ 続く便秘や警告症状は医療機関へ

「糖質制限だから仕方ない」と放置しないことが大切です。

【図2:糖質を増やさず便秘を防ぐ7つのポイント― 野菜・きのこ・海藻・水分・運動】


当院の考え方

当院では肥満・メタボ対策として糖質制限を積極的に取り入れています。

しかし、

「糖質制限=肉・卵・チーズだけを食べる」

という食事はおすすめしていません。

糖質を減らしながら、

タンパク質
適切な脂質
食物繊維
ビタミン・ミネラル

なども確保することが重要です。

便秘が起きた場合も、

「糖質を食べないから仕方ない」

と考えるのではなく、

食物繊維が減っていないか
食事量が極端に減っていないか
水分不足はないか
運動不足はないか
薬の影響はないか

などを確認します。

改善しない場合には、便秘そのものの評価も必要です。

まずは内科クリニックへご相談ください。

必要に応じて消化器内科などの専門医療機関へご紹介します。


まとめ

糖質制限を始めて便秘になる方はいます。

しかし、

糖質制限そのものが必ず便秘を起こすわけではありません。

主食などを減らした結果、

食物繊維が減った
食事全体の量が減った
水分摂取が変わった
肉・卵・チーズなどに偏った

ことが関係している場合があります。

大切なのは、

糖質は減らしても、食物繊維まで減らさないこと。

葉物野菜、きのこ、海藻などを上手に利用しましょう。


当院からのメッセージ

糖質制限は、

「糖質を含むものをすべて排除する食事法」

ではありません。

糖質を抑えながら、必要な栄養素をどう確保するかが大切です。

便秘になったからといって、すぐに糖質制限そのものを諦めるのではなく、まず食事の中身を見直してみましょう。


院長のワンポイントアドバイス

糖質制限中に便秘になったら、最初に、

「最近、肉・卵・チーズばかりになっていないか?」

を確認してみてください。

主食を減らした皿の空いたスペースを、

葉物野菜・きのこ・海藻

で補うイメージです。

そして、水分と日常の活動量も確認する。

「糖質を減らす」と「食物繊維を減らす」は別の話です。

ここを区別することが、糖質制限を長く続けるポイントです。


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次回予告

肥満・メタボシリーズ 第22回

糖質制限で停滞期?体重が減らなくなったときに見直すポイント

最初は順調に減っていたのに、

「最近、体重がまったく動かない」

ということがあります。

次回は、糖質制限中の体重停滞について、開始直後の水分減少、隠れた糖質、ナッツ・チーズ・脂質の摂りすぎ、間食、飲酒、運動、睡眠、筋肉量などから、「さらに糖質を減らす」前に確認したいポイントを解説します。

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