第1688回:院長ブログ:リバウンドはなぜ起こる?減量後に体重を維持する方法 ~「痩せる」より難しい「維持する」を成功させるために~
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「10kg痩せたのに、1年後には元に戻ってしまった」
「ダイエット中は我慢できるのですが、終わるとリバウンドします」
こうした経験のある方は少なくありません。
減量というと、
「何kg痩せたか」
に注目しがちです。
しかし肥満治療で本当に重要なのは、
減った体重をその後も維持できるか
です。
短期間で大きく痩せても、その後元の体重に戻ってしまえば、長期的な肥満・メタボ対策としては十分とはいえません。
リバウンドすると、
「自分は意志が弱い」
と考えてしまう方がいます。
しかし、減量後には身体そのものにも変化が起こります。
体重が減ると、以前より小さな身体を維持することになるため、消費エネルギーも変化します。
さらに減量に伴って、食欲や満腹感に関係する生理的な仕組みも変化し、食欲が強くなることがあります。
つまり身体には、減った体重を簡単には維持させない方向に働く仕組みがあります。
だからこそ、
減量後の体重維持には「根性」ではなく、仕組みが必要
なのです。
たとえば80kgのときと70kgになったときでは、同じ生活をしていても身体が必要とするエネルギー量は同じではありません。
さらに減量中に筋肉まで大きく減ってしまえば、エネルギー消費に影響します。
そのため、
「痩せる前と同じ量まで食事を戻しても、もう太らない」
とは限りません。
体重が減った後には、新しい体重に合った食生活へ移行する必要があります。
体重減少に伴って、
レプチンなど食欲調節に関係するホルモンやシグナルが変化する
ことが知られています。
また、空腹感や食べ物への反応が強くなる人もいます。
つまり、
減量した
↓
身体が以前より食べ物を求めやすくなる
↓
食事量が少しずつ戻る
↓
体重が増える
ということが起こり得ます。
【図1:なぜリバウンドする?― 減量後に起こる「食欲・消費エネルギー・生活」の変化】
目標体重に到達した瞬間、
「やっとダイエットが終わった!」
と考えてしまうことがあります。
そして、
ご飯の量を元に戻す
お菓子を再開する
間食が増える
飲酒量が戻る
運動をやめる
となれば、当然体重は戻りやすくなります。
肥満対策では、
減量期と維持期は別のフェーズ
と考えましょう。
目標体重になったら終わりではありません。
そこからが「体重維持期」の始まりです。
当院では肥満・メタボ対策として糖質制限を積極的に取り入れています。
そこでよく聞かれるのが、
「一生ご飯を食べてはいけないのですか?」
という質問です。
糖質制限にはさまざまな強度があります。
減量期と維持期で、まったく同じ食事にする必要はありません。
ただし、
目標体重になったから、以前の食生活へ完全に戻す
のはおすすめできません。
なぜなら、その食生活が体重増加の一因だった可能性があるからです。
減量後は、体重や血液検査などを確認しながら、食生活を調整していきます。
大切なのは、
「糖質をどこまで食べても体重・腹囲・代謝状態を維持できるか」
を自分自身で把握していくことです。
糖質を少し増やしても安定している人もいれば、増やすとすぐに間食や食欲が戻る人もいます。
個人差があります。
そのため、
糖質制限か、糖質制限ではないか
という二択ではなく、自分に合った糖質量を見つけるという考え方が現実的です。
維持期に注意したいのが、
「これくらいなら大丈夫」
の積み重ねです。
朝にパンを追加。
昼にデザート。
夕食後に果物。
週末にお酒。
仕事中にナッツ。
一つ一つは小さくても、複数重なると以前の食生活に近づいていきます。
特に、
果物
ナッツ
チーズ
低糖質スイーツ
などは「健康的」「低糖質」というイメージから量が増えやすいため注意しましょう。
体重をまったく測らなくなると、
「久しぶりに測ったら5kg増えていた」
ということがあります。
体重は、増え始めた段階で気づくほど修正しやすくなります。
重要なのは、毎日の数字に一喜一憂することではありません。
塩分、水分、便通、飲酒などによって体重は変動します。
短期的な増減より、一定期間の傾向を見る。
これがポイントです。
リバウンドを防ぐためには、
体重が大きく戻ってから再びダイエットする
よりも、
少し戻り始めた段階で食生活を修正する
方が現実的です。
たとえば、
間食が増えていないか
飲酒量が増えていないか
主食量が増えていないか
夜食が復活していないか
を確認します。
体重増加を「失敗」と考えるのではなく、生活を修正するためのサインとして利用しましょう。
減量中に筋肉を大きく減らしてしまうことは避けたいところです。
そのため、
適切なタンパク質摂取+筋力トレーニング
を組み合わせます。
ウォーキングなどの有酸素運動も重要ですが、スクワットなどの筋力トレーニングも取り入れましょう。
特に50代以降では、単に体重を軽くするだけではなく、筋肉を維持しながら体脂肪を減らすという視点がより重要になります。
減量中だけ、
毎日歩く
ジムに行く
筋トレする
そして目標体重になったら全部やめる。
これでは活動量が元に戻ってしまいます。
運動は、
痩せるためだけの期間限定イベント
ではありません。
心血管疾患予防、血糖管理、筋力維持なども含め、長期的な健康習慣として考えることが大切です。
睡眠不足は食欲や食行動に影響します。
減量中は生活を整えていたのに、目標達成後に、
夜更かし
睡眠不足
夜食
が戻れば、体重にも影響する可能性があります。
リバウンド防止では、
食事+運動+睡眠
をセットで考えましょう。
リバウンド対策では、環境づくりも重要です。
たとえば、
家にお菓子の大袋がある
冷蔵庫に甘い飲料がある
机の上にナッツが常に置いてある
という環境では、毎回「食べない」と判断し続けなければなりません。
一方、
買い置きをしない
大袋ではなく量を管理する
無糖飲料を常備する
など、食べすぎにくい環境を最初から作ることができます。
長期的な体重管理では、意志の強さよりも、こうした仕組みづくりが役立ちます。
「停滞期やリバウンド防止のためにチートデイを入れた方がいいですか?」
と聞かれることがあります。
計画的に食事量を変える方法についてはさまざまな研究がありますが、
好きなものを一日中無制限に食べれば代謝がリセットされて痩せる
と考えるのは適切ではありません。
特に、それをきっかけに以前の食習慣へ戻ってしまう人では逆効果になり得ます。
「チートデイ」という言葉を、暴飲暴食を正当化する理由にしないことが大切です。
減量期から維持期へ移行したと考えます。
一日の数字ではなく傾向を見ます。
体重だけではわからない変化も見ます。
体重・腹囲・検査値を確認しながら調整します。
筋肉を維持する食事を続けます。
有酸素運動と筋力トレーニングを継続します。
食欲・生活リズムの乱れを防ぎます。
お菓子や甘い飲料を「我慢する」のではなく、日常的に置かない工夫も有効です。
【図2:リバウンドを防ぐ8つの習慣―「減量期」から「維持期」へ】
いいえ。
体重は常に一定ではありません。
大切なのは、
「増えたこと」ではなく、「増加傾向に早く気づけること」
です。
少し増えた段階で、
最近外食が増えた
飲酒が増えた
夜食が戻った
運動が減った
と気づけば修正できます。
完璧を目指すより、小さな変化を早めに修正できる生活を目指しましょう。
当院では、肥満治療の成功を、
「一時的に何kg痩せたか」
だけでは評価しません。
重要なのは、
減量した体重を維持できること
腹囲を維持できること
血圧・血糖・HbA1c・脂質・脂肪肝などの改善を維持できること
です。
そのため糖質制限も、
短期間だけ頑張るイベント
ではなく、長期的に続けられる食生活へ調整していくことが重要です。
減量後には、
体重
BMI
腹囲
血圧
血糖・HbA1c
中性脂肪・LDLコレステロール
肝機能
などを確認しながら、食事・運動を調整します。
体重が再び増え始めた場合も、原因を一緒に探して早めに修正していきます。
肥満・メタボについて気になる方は、まずは内科クリニックへご相談ください。
必要に応じて専門医療機関へご紹介します。
リバウンドは、
単なる「意志の弱さ」だけで説明できるものではありません。
減量後には、
食欲の変化
消費エネルギーの変化
筋肉量の変化
食生活・運動習慣の戻り
など、さまざまな要因が重なります。
だからこそ、
「痩せたら終わり」ではなく、「痩せたところから維持期が始まる」
と考えましょう。
糖質を一気に元へ戻さず、体重・腹囲を確認し、タンパク質を確保し、運動と睡眠を続ける。
そして、少し体重が戻り始めたら早めに修正する。
これが長期的な体重管理の基本です。
短期間だけ完璧な食生活をするより、
80点の生活を何年も続けられること
の方が、体重管理では重要です。
「一生我慢する」のではなく、
一生続けられる方法に調整する。
これがリバウンドを防ぐための大切な考え方です。
減量に成功したら、
「今日でダイエット終了!」
とは考えないでください。
代わりに、
「今日から維持期に入った」
と考えてみましょう。
そして維持期では、体重を完全に固定することより、自分の中で許容できる範囲を決め、増加傾向に早く気づくことが重要です。
「少し増えたら、少し戻す」。
この小さな修正を続けることが、大きなリバウンドを防ぎます。
「毎日歩けば、食事は変えなくても痩せる?」
「運動した分だけ食べても大丈夫?」
次回は、運動による消費エネルギーと食事による摂取エネルギーの違い、ウォーキング・有酸素運動・筋力トレーニングの役割、筋肉を守りながら体脂肪を減らす方法を整理し、肥満・メタボ対策における「食事と運動の本当の役割分担」を解説します。