第1690回:院長ブログ:ウォーキングで痩せる?脂肪燃焼に効果的な歩き方 ~「何分・何歩」より、まず“続けられる歩き方”をつくりましょう~
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肥満・メタボ対策として、最も始めやすい運動の一つがウォーキングです。
特別な道具がほとんど必要なく、
「今日から少し歩いてみよう」
と始められます。
しかし、いざ始めようとすると、
「何分歩けば痩せますか?」
「1万歩歩かないと意味がない?」
「ゆっくり歩くより速く歩いた方がいい?」
「20分以上歩かないと脂肪は燃えないですよね?」
など、さまざまな疑問が出てきます。
結論から言えば、
ウォーキングは肥満・メタボ対策に有効な運動です。
ただし、魔法のように「この時間・この歩数なら必ず痩せる」という数字があるわけではありません。
前回の記事でも説明しましたが、体重を減らすには食生活の見直しが非常に重要です。
ウォーキングによって消費エネルギーは増えます。
しかし、
30分歩いた
↓
「運動したから大丈夫」
↓
お菓子を食べる
↓
甘い飲み物を飲む
となれば、運動による消費を簡単に補ってしまうことがあります。
したがって肥満治療では、
食事を整える+ウォーキングで活動量を増やす
という組み合わせを基本に考えます。
歩いている間、身体はエネルギーを必要とします。
そのエネルギーには、
糖質
脂肪
などが利用されます。
運動の強さや時間、食事の状態、トレーニング状況などによって、その割合は変化します。
ここで重要なのは、
「歩いている最中に脂肪を何g燃やしたか」だけを考えない
ことです。
体脂肪を減らすには、運動中だけでなく一日、一週間、さらに長期的なエネルギーバランスを見る必要があります。
これは非常によくある誤解です。
運動を始めて20分経つまで脂肪がまったく使われない、ということではありません。
運動開始直後から、糖質とともに脂肪もエネルギー源として利用されています。
したがって、
「10分しか時間がないから、今日は歩いても意味がない」
と考える必要はありません。
10分しかなければ10分歩く。
朝10分、昼10分、夕方10分と分ける。
こうした方法でも身体活動量を増やすことができます。
「20分できないから0分」より、「できる時間だけでも歩く」ことが大切です。
「1日○分なら必ず痩せる」という一律の時間はありません。
その人の、
年齢
体重
運動習慣
心肺機能
関節の状態
持病
などによって適切な運動量は異なります。
一般的な健康づくりでは、中強度の有酸素運動を週単位で積み重ねていくことが推奨されています。
しかし、これまでほとんど運動していなかった方が、いきなり長時間歩く必要はありません。
まずは、
「今より歩く時間を増やす」
ところから始めましょう。
同じ時間歩くのであれば、一般的には運動強度が高い方がエネルギー消費は大きくなります。
そのため、無理のない範囲で速歩を取り入れることは有効です。
しかし、
息が切れすぎる
膝や腰が痛い
翌日まで強い疲労が残る
ような歩き方では継続できません。
おすすめなのは、
「少し息が弾むけれど、会話はできる」
程度を一つの目安にする方法です。
ただし、これはあくまで一般的な目安です。
心臓や肺の病気がある方などでは、運動強度について個別の判断が必要になります。
いいえ。
特に運動習慣がない方では、ゆっくりしたウォーキングから始めることにも十分意味があります。
重要なのは、
「理想的な運動強度でなければ意味がない」
と考えないことです。
最初はゆっくり歩き、
慣れてきたら少し速くする
歩く時間を少し延ばす
坂道を取り入れる
など、段階的に負荷を上げていきましょう。
スマートウォッチや運動器具には、
「脂肪燃焼ゾーン」
と表示されるものがあります。
運動強度によって、脂質と糖質が利用される割合が変化するのは事実です。
しかし、
脂肪を使う割合が高い運動=最も痩せる運動
とは限りません。
体脂肪減少では、
運動強度
運動時間
運動頻度
食事
一日の活動量
などを総合的に考える必要があります。
「この心拍数から外れたから意味がない」と神経質になる必要はありません。

【図1:ウォーキングで脂肪を減らす5つのポイント― 時間・速さ・歩数・継続・食事】
「健康のためには1万歩」
という数字は広く知られています。
しかし、
1万歩を達成しなければ健康効果が得られないわけではありません。
歩数と健康リスクとの関係を調べた研究では、より少ない歩数からでも歩数が増えることに伴う健康上のメリットが示されています。
特に普段の歩数が少ない人では、
現在より歩数を増やすこと
自体に意味があります。
3,000歩しか歩いていない方が、いきなり毎日10,000歩を目標にして挫折するより、
3,000歩
↓
4,000歩
↓
5,000歩
というように段階的に増やす方が続けやすいでしょう。
どちらでも構いません。
スマートフォンやスマートウォッチで歩数を確認しやすい人なら、歩数を利用できます。
一方、
「夕食後に15分歩く」
など、時間で決めた方が続けやすい人もいます。
大切なのは、
自分が継続しやすい指標を使うこと
です。
食後に軽く身体を動かすことは、特に食後血糖の上昇を抑えるという点でメリットが期待できます。
夕食後、
すぐにソファに座る
↓
テレビを見る
↓
そのまま数時間座っている
という生活であれば、
食後に少し歩く習慣を取り入れるのもよいでしょう。
必ず長時間歩く必要はありません。
短時間でも「食後ずっと座りっぱなし」を減らすことに意味があります。
「30分連続で歩けないと意味がない」
と考える必要はありません。
忙しい方なら、
朝
昼休み
夕食後
などに分けて歩く方法もあります。
肥満・メタボ対策では、
完璧な30分を週1回より、短時間でも日常的に身体を動かす
という発想が大切です。
もちろん、まとまった時間が取れる日には長めに歩いても構いません。
運動はスポーツウェアに着替えて行うものだけではありません。
一駅手前で降りる
少し遠い駐車場に停める
階段を使う
昼休みに外へ出る
買い物を歩いて行く
といった工夫でも、日常の活動量は増やせます。
「運動する時間がない」という方ほど、生活の中に歩行を組み込むことを考えてみましょう。
ウォーキングは優れた有酸素運動ですが、減量中には筋肉を守ることも重要です。
そこで、
ウォーキング+筋力トレーニング
を組み合わせます。
たとえば、
スクワット
椅子からの立ち座り
かかと上げ
など、自宅でできる運動からでも構いません。
適切なタンパク質摂取も組み合わせ、
体脂肪を減らしながら筋肉をできるだけ維持する
ことを目指します。
ウォーキングを始めても、
「1か月続けたのに体重がほとんど変わらない」
ということがあります。
しかし、ウォーキングには体重減少以外にも、
血糖
血圧
中性脂肪
心肺機能
体力
気分や睡眠
などへの好影響が期待できます。
また、腹囲が減っている場合もあります。
体重計だけでウォーキングの価値を判断しないことが重要です。
ウォーキングは比較的安全な運動ですが、誰でも同じように始めてよいわけではありません。
特に、
胸痛がある
少し歩くだけで強い息切れがある
失神・強いめまいがある
重い心疾患がある
膝・股関節・腰に強い痛みがある
糖尿病で足に潰瘍や重い神経障害がある
などの場合には、運動開始前に医療機関へ相談した方がよいことがあります。
運動中に胸痛や強い呼吸困難、冷汗などが出現した場合には運動を中止し、症状によっては119番通報を含めた緊急対応が必要です。
まず現在より少し増やします。
短時間でも歩くことに意味があります。
無理のない範囲で運動強度を上げます。
座りっぱなしを減らします。
通勤、買い物、階段などを利用します。
減量中の筋肉維持を意識します。
「歩いたからお菓子を食べよう」では、せっかくの運動効果を活かしにくくなります。

【図2:今日からできる「歩く習慣」7か条― 1万歩・20分にこだわらず続けよう】
当院では、肥満・メタボ対策として食事、とくに糖質の摂りすぎを見直すことと、身体活動を増やすことの両方を重視しています。
ウォーキングは、
肥満
高血圧
糖尿病
脂質異常症
脂肪肝
などを抱える方にも取り入れやすい運動です。
ただし、
「ウォーキングをすれば食事は何を食べてもよい」
わけではありません。
食事を整えながら、
ウォーキングで活動量を増やし、
筋力トレーニングで筋肉を守る。
この組み合わせをおすすめします。
体重だけでなく、腹囲、血圧、血糖、HbA1c、脂質、肝機能なども確認しながら効果を評価していきます。
ウォーキングは、肥満・メタボ対策として非常に取り入れやすい運動です。
しかし、
「20分以上歩かないと脂肪は燃えない」
「1日1万歩に届かなければ意味がない」
と考える必要はありません。
大切なのは、
今より歩く
無理なく続ける
慣れたら少し強度を上げる
食後の座りっぱなしを減らす
筋トレも組み合わせる
食生活も同時に整える
ことです。
完璧な運動計画を作って3日で終わるより、少しでも長く続けられる歩き方を作りましょう。
「毎日30分歩けないから運動できない」
と考える必要はありません。
10分でも構いません。
エレベーターを階段に変えるだけの日があっても構いません。
0か100かではなく、昨日より少し動く。
その積み重ねが大切です。
肥満・メタボがあり、どの程度の運動から始めればよいかわからない方は、まずは内科クリニックへご相談ください。
必要に応じて専門医療機関へご紹介します。
ウォーキングを始めるなら、私はまず、
「今、一日どのくらい歩いているか」
を確認することをおすすめします。
いきなり理想の数字を目指すのではなく、
現在の歩数・活動量を知る
↓
少し増やす
↓
慣れたらまた増やす
という順番です。
そしてもう一つ。
「歩いたから食べていい」ではなく、「食事を整えたうえで歩く」。
この組み合わせが、肥満・メタボ改善では重要です。
「ウォーキングだけではダメ?」
「筋肉を増やせば基礎代謝が上がって痩せる?」
「減量中に筋肉を落とさないためには何をすればいい?」
次回は、減量中に筋肉が減る理由、筋トレの本当の役割、タンパク質との関係、自宅で始めやすい筋力トレーニングまで、肥満・メタボ対策として実践的に解説します。