第1693回:院長ブログ:皮下脂肪はどう減らす?内臓脂肪との違いと効果的な減量法 ~「つまめるお腹の脂肪」はなぜ落ちにくい?部分痩せに頼らない正しい対策~
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よく聞かれる質問です。
お腹の脂肪には、大きく分けて、
皮下脂肪
内臓脂肪
があります。
前回は内臓脂肪について詳しく解説しました。
今回はもう一つの皮下脂肪について考えてみましょう。
一般に、手でつまめるお腹の脂肪の多くは皮下脂肪です。
一方、内臓脂肪はお腹の中、腸などの周囲に蓄積するため、直接つまむことはできません。
皮下脂肪とは、その名前の通り、皮膚のすぐ下に蓄積する脂肪です。
お腹だけでなく、
お尻
太もも
腰まわり
二の腕
などにも蓄積します。
皮下脂肪にはエネルギーを蓄える役割があり、ある程度の皮下脂肪は身体に必要です。
問題になるのは、過剰に蓄積した場合です。
内臓脂肪は主に腹腔内の臓器周囲に蓄積します。
過剰な内臓脂肪は、
インスリン抵抗性
糖尿病
高血圧
脂質異常症
などと強く関連します。
皮下脂肪も過剰になれば肥満の一部として健康リスクに関係しますが、同じ量で比較すれば、一般に内臓脂肪の方が代謝異常との関連が強いと考えられています。
つまり、
「皮下脂肪=悪、内臓脂肪=悪」
と同じように扱うのではなく、脂肪の蓄積場所によって意味が違うのです。
「お腹が柔らかいから皮下脂肪」
「お腹が硬いから内臓脂肪」
という話を聞くことがあります。
しかし、外見や触った感覚だけで内臓脂肪量を正確に判断することはできません。
皮下脂肪と内臓脂肪の両方が多い方もいます。
日常診療では、
BMI
腹囲
血圧
血糖
HbA1c
脂質
肝機能
などを総合的に確認します。
必要に応じて画像検査などが利用されることもあります。

【図1:皮下脂肪と内臓脂肪の違い―「つまめる脂肪」と「お腹の中の脂肪」を比較】
減量を始めた方から、
「体重は減ったのに、まだお腹の肉がつまめます」
と言われることがあります。
内臓脂肪は、食事や運動による減量で比較的変化しやすい一方、皮下脂肪は変化がゆっくりに感じられることがあります。
そのため、
「体重が減ったのに、お腹の皮下脂肪が残っている」
ということは珍しくありません。
しかし、
皮下脂肪は絶対に落ちない
ということではありません。
長期的に体脂肪を減らしていけば、皮下脂肪も減少していきます。
これも非常によくある質問です。
結論からいうと、
腹筋運動をした場所の脂肪だけを狙って大きく減らす「部分痩せ」を期待しすぎない方がよい
でしょう。
腹筋運動をすれば腹部の筋肉には刺激が入ります。
しかし、
腹筋を100回する
↓
お腹の皮下脂肪だけが選択的に燃える
という単純な仕組みではありません。
いいえ。
腹筋などの体幹トレーニングには、
筋力を高める
姿勢や身体機能を支える
といった意味があります。
ただし、
「お腹の脂肪を減らす運動」と「腹筋を鍛える運動」は同じではない
と理解しておきましょう。
お腹の皮下脂肪を減らしたい場合も、基本は身体全体の余分な体脂肪を減らすことです。
特別な方法は必要ありません。
基本は、
食事を見直す
身体活動を増やす
筋肉を守る
長く続ける
ことです。
「お腹の脂肪だけを燃やすサプリメント」や「特定の運動だけで部分痩せする方法」を探すより、全身の体脂肪を減らす生活を続ける方が現実的です。
当院では、肥満・メタボ対策として糖質の摂りすぎを見直すことを重視しています。
特に、
甘い飲み物
お菓子
菓子パン
ご飯・パン・麺類の食べすぎ
夜食
などが習慣になっていないか確認します。
糖質を必要以上に摂取し、エネルギーが余る状態が続けば、体脂肪の蓄積につながります。
「脂肪を減らすのだから、食事の脂質だけを減らせばいい」というわけではありません。
果物にはビタミンや食物繊維などが含まれますが、同時に果糖などの糖質も含まれています。
したがって、
「お菓子をやめたから、その代わりに果物を好きなだけ食べる」
という方法はおすすめしません。
特に肥満、脂肪肝、中性脂肪高値、血糖高値がある方や糖質制限を行っている方では、果物も糖質源として量を考えます。
果汁ジュース・スムージー・ドライフルーツは、糖質を摂取しやすくなるためさらに注意が必要です。
糖質制限を始めると、
「ご飯を食べない代わりに、チーズやナッツなら好きなだけ食べてもいい」
と考える方がいます。
しかし、
チーズ
ナッツ
脂身の多い肉
バター
生クリーム
などは、糖質が少なくてもエネルギーを多く含むものがあります。
体脂肪を減らすには、糖質だけでなく食事全体の摂取量も重要です。
また、ナッツ類でも糖質量は同じではなく、カシューナッツは比較的糖質が多いため、糖質制限中には種類と量に注意しましょう。
体重を落とすために食事量を減らしすぎると、体脂肪だけでなく筋肉まで失うことがあります。
そこで、
肉
魚
卵
大豆製品
などからタンパク質を確保します。
目標は、
体重だけを落とすことではなく、筋肉をできるだけ守りながら余分な体脂肪を減らすこと
です。
ウォーキング、自転車、水泳などの有酸素運動は、活動量を増やし、体脂肪を減らすために役立ちます。
「脂肪を燃やすには必ず長時間運動しなければならない」
と考える必要はありません。
短時間でも、
今までより身体活動を増やす
ことから始めましょう。
大切なのは継続です。
体脂肪を減らすときには、筋肉を守ることも重要です。
そこで、
スクワット
椅子からの立ち座り
かかと上げ
壁を使った腕立て伏せ
などの筋力トレーニングを組み合わせます。
筋トレをすれば特定部位の脂肪だけが落ちるわけではありません。
しかし、減量中の筋肉・筋力を維持するという重要な役割があります。
ダイエット開始後、
体重が減る
↓
内臓脂肪が減る
↓
それでも皮下脂肪が残って見える
ということがあります。
ここで、
「全然痩せていない」
と判断してダイエットをやめてしまうのはもったいないことです。
体重だけでなく、
腹囲
服のサイズ
血圧
血糖
HbA1c
中性脂肪
肝機能
なども確認しましょう。
身体の中では、見た目より先に良い変化が起きている可能性があります。
家庭用の体組成計では、体脂肪率を簡単に測定できます。
便利な指標ですが、
水分状態
食事
運動
測定時間
などで数値が変化します。
毎日の小さな変化に一喜一憂するのではなく、できるだけ同じ条件で測定し、長期的な傾向を見るようにしましょう。
お腹だけではなく、身体全体の体脂肪を減らします。
甘い飲み物、お菓子、主食、夜食などを確認します。
低糖質食品でも無制限には食べません。
減量中の筋肉を守ります。
ウォーキングなどで活動量を増やします。
筋肉・筋力の維持を目指します。
皮下脂肪の変化には時間がかかることがあります。

【図2:皮下脂肪を減らす7つの習慣―「部分痩せ」ではなく全身の体脂肪を減らそう】
皮下脂肪を減らすために、特別な「お腹痩せ食品」やサプリメントを探す必要はありません。
当院では、
糖質の摂りすぎを見直す
食事全体の量を整える
タンパク質を確保する
ウォーキングをする
筋トレをする
という基本を重視します。
そして大切なのは、
短期間で結果を求めすぎないこと。
内臓脂肪が減り、血液検査が改善していても、皮下脂肪の見た目の変化には時間がかかる場合があります。
体重計と鏡だけではなく、腹囲や検査値も含めて評価することが重要です。
皮下脂肪は皮膚の下に蓄積する脂肪で、内臓脂肪とは蓄積する場所や代謝への影響が異なります。
お腹の皮下脂肪を減らしたいからといって、
腹筋運動だけを繰り返せば、お腹の脂肪だけが落ちる
とは考えない方がよいでしょう。
基本は、
糖質の摂りすぎを見直す
食事全体の量を整える
タンパク質を確保する
有酸素運動をする
筋トレをする
日常生活で動く
長期間続ける
ことです。
目標は「お腹だけ痩せる」ことではなく、筋肉を守りながら身体全体の余分な体脂肪を減らすことです。
「体重は減ったのに、お腹の肉がまだつまめる」
からといって、減量が失敗しているとは限りません。
皮下脂肪は、内臓脂肪より変化がゆっくりに感じられることがあります。
焦って極端な食事制限に切り替えるのではなく、今の方法が適切かを確認しながら継続しましょう。
肥満・メタボがあり、体重や腹囲、血液検査について気になる方は、まずは内科クリニックへご相談ください。
必要に応じて専門医療機関へご紹介します。
お腹の皮下脂肪が気になると、
「腹筋をもっとやらなければ」
と考えがちです。
しかし、腹筋を鍛えることと、その上にある皮下脂肪を減らすことは分けて考えましょう。
腹筋は筋肉を鍛えるため。
皮下脂肪は身体全体の体脂肪を減らすことで減らしていく。
この考え方が基本です。
「お酒を飲まないのに脂肪肝と言われた」
「肥満だとなぜ肝臓に脂肪がたまる?」
「体重を減らせば脂肪肝は治る?」
次回は、肥満・内臓脂肪と脂肪肝の関係、糖質や果糖との関係、飲酒しない人にも起こる脂肪肝、減量による改善、どのような検査で評価するのかまで詳しく解説します。