第1674回:院長ブログ:体脂肪率は何%が理想?BMI・腹囲・筋肉量をどう見る? ~「体脂肪率が低いほど健康」とは限りません~
BLOG

BLOG
家庭用の体組成計に乗ると、
体重
BMI
体脂肪率
筋肉量
内臓脂肪レベル
など、さまざまな数字が表示されます。
その中でも気になる方が多いのが体脂肪率です。
「20%を超えたから太りすぎ?」
「15%くらいまで落とした方がいい?」
「体脂肪率は低ければ低いほど健康?」
と考える方もいるでしょう。
しかし、健康管理では、
体脂肪率だけを見て「良い・悪い」を決めることはできません。
体脂肪率とは、
体重に占める脂肪の割合
です。
たとえば体重70kgで体脂肪率20%なら、単純計算では体脂肪量は約14kgということになります。
残りは、
筋肉
骨
臓器
水分
などです。
BMIが「身長と体重の関係」を見る指標なのに対して、体脂肪率は体重の中身を考えるための指標です。
そのため、BMIだけではわからない情報を補うことができます。
ここで重要なのは、
すべての人に共通する「理想の体脂肪率」が一つあるわけではない
ということです。
体脂肪率は、
性別
年齢
筋肉量
運動習慣
測定方法
などによって異なります。
一般に女性は、ホルモンや生殖機能など生理的な理由から男性より体脂肪率が高くなります。
また、スポーツ選手と高齢者を同じ数字だけで評価することも適切ではありません。
したがって、
「○%以下なら健康」
と一つの数字だけを目標にするより、
体脂肪率が増えているのか、腹囲や検査値がどう変化しているのか
を見る方が健康管理には役立ちます。
いいえ。
脂肪には、
エネルギーを蓄える
体温を保つ
臓器を保護する
ホルモンや代謝に関わる
など、体に必要な役割があります。
したがって、体脂肪を極端に減らすことが健康のゴールではありません。
特に極端な食事制限によって体脂肪率を下げようとすると、
筋肉量の減少
栄養不足
などを招くことがあります。
健康のための体重管理と、競技や外見を目的とした減量は分けて考える必要があります。
たとえば、同じ身長・同じ体重の2人がいたとします。
筋肉量が多い
体脂肪が少ない
筋肉量が少ない
体脂肪が多い
この2人は、
体重もBMIも同じ
になる可能性があります。
しかし、体の中身は大きく違います。
だからこそBMIだけではなく、体脂肪率や腹囲、筋肉量などを組み合わせて見る意味があります。

【図1:同じ体重・同じBMIでも「体の中身」は違う ― 脂肪と筋肉を比較】
ここにも注意が必要です。
体脂肪率は体全体に占める脂肪の割合です。
しかし、健康リスクを考えるうえでは、
脂肪がどこについているか
も非常に重要です。
特に生活習慣病との関係が深いのが内臓脂肪です。
体脂肪率が同程度でも、
皮下脂肪が多い人
内臓脂肪が多い人
では、代謝への影響が異なることがあります。
したがって、
体脂肪率=内臓脂肪量
ではありません。
ここで役立つのが腹囲です。
それぞれの指標を整理してみましょう。
身長に対して体重が多いか少ないか
を見るための指標です。
簡単に計算でき、肥満のスクリーニングに適しています。
内臓脂肪が蓄積している可能性
を推測するための重要な手がかりです。
メタボリックシンドロームの評価にも使用されます。
体重のうち脂肪がどれくらいを占めているか
を見る指標です。
減量するときに、
「脂肪だけでなく筋肉まで減っていないか」
を見るために参考になります。
つまり、どれか一つが「最強の指標」なのではありません。
それぞれ違う角度から体を見ているのです。
家庭用体組成計の多くは、**生体電気インピーダンス法(BIA)**を利用しています。
体にごく弱い電流を流し、電気の通りやすさなどから体組成を推定します。
非常に手軽で便利ですが、表示される体脂肪率は推定値です。
水分状態などによって数字が変動します。
たとえば、
食事の前後
運動の前後
入浴の前後
飲酒
発汗
測定時間
などによって結果が変わることがあります。
そのため、
「昨日18.2%だったのに今日は19.4%。脂肪が急に増えた!」
と考える必要はありません。
短期間の変動には測定条件の影響も含まれます。
家庭用体組成計を健康管理に使うなら、
できるだけ同じ条件で測定する
ことが大切です。
そして、一回の数字よりも、
数週間~数か月の傾向
を見ます。
たとえば、
体重 ↓
腹囲 ↓
体脂肪率 ↓
筋肉量はおおむね維持
という変化なら、健康的な減量が進んでいる可能性があります。
一方、
体重 ↓
体脂肪率はほぼ変わらない
筋肉量 ↓
という場合には、筋肉も減っている可能性を考える必要があります。
家庭用体組成計では個々の数値を厳密に評価しすぎず、長期的な傾向を見るための道具として使うのがおすすめです。
40代、50代以降の肥満対策では、体脂肪を減らすことと同時に、
筋肉を守ること
が重要になります。
極端な食事制限だけで体重を落とすと、脂肪だけでなく筋肉も減ってしまうことがあります。
すると、
体重は減った
けれど、
筋力も落ちた
という状態になりかねません。
中高年の減量では、
内臓脂肪↓
筋肉→できるだけ維持
という方向を目指すことが大切です。
肥満・メタボ対策では、
BMI
腹囲
体脂肪率
筋肉量
をセットで考えるとわかりやすくなります。
さらに健康リスクを判断するには、
血圧
血糖・HbA1c
脂質
肝機能
なども確認します。
つまり、
体型の数字 + 血液検査・血圧
を合わせて見るのです。
【図2:肥満・メタボは「4つの体型指標+健康チェック」で総合評価】
ダイエットを始めると、体脂肪率の数字を毎日追いかけたくなります。
しかし、健康上の目的は、
体脂肪率の数字を最小にすること
ではありません。
重要なのは、
内臓脂肪が減った
腹囲が減った
血圧が改善した
血糖が改善した
脂質が改善した
筋肉を維持できた
という変化です。
体脂肪率は、その経過を見るための一つの情報として利用しましょう。
肥満・メタボの診療では、体重や体脂肪率だけで「良い・悪い」を判断するのではなく、
BMI・腹囲・体組成・血圧・血糖・脂質・肝機能
などを総合的に見ていくことが大切です。
特に中高年では、
体重を減らすことより、内臓脂肪を減らしながら筋肉を守ること
を意識した体重管理が重要です。
健診で肥満・腹囲・血糖・脂質などを指摘された場合は、まずは内科クリニックへご相談ください。
必要に応じて専門医療機関へご紹介します。
体脂肪率は、
体重に占める脂肪の割合
を示す便利な指標です。
しかし、
体脂肪率だけで健康状態を判断することはできません。
見るべきなのは、
BMI=体格
腹囲=内臓脂肪の手がかり
体脂肪率=脂肪の割合
筋肉量=減量で守りたい組織
というそれぞれの特徴です。
そして健康という観点では、血圧・血糖・脂質なども合わせて評価します。
目標は、
「体脂肪率をできるだけ低くすること」ではなく、「余分な脂肪を減らし、必要な筋肉を守ること」
です。
家庭用体組成計はとても便利です。
ただし、毎日の小さな数字の変動に一喜一憂する必要はありません。
同じ条件で測定し、
体重・腹囲・体脂肪率・筋肉量が数か月単位でどう変化しているか
を見てみましょう。
健康管理では、一日の数字より長期的な流れが大切です。
減量中にぜひ確認してほしいのは、
「何kg減ったか」だけではなく、「何が減ったのか」
です。
目指したいのは、
脂肪は減った。腹囲も減った。でも筋肉はできるだけ維持できている。
という減量です。
そのためには、食事だけではなく運動、とくに筋肉への刺激も忘れないようにしましょう。
「家族みんな太っているから、自分も痩せられない」
そんな疑問を持つ方もいるでしょう。
次回は、肥満に遺伝がどこまで関係するのか、遺伝と食事・運動・睡眠などの生活環境がどう組み合わさって体重を決めるのかを解説します。