いちかわクリニック

いちかわクリニック

第1681回:院長ブログ:夜遅く食べると太る?夕食時間と肥満の関係 ~「夜だから太る」だけではない、遅い夕食に隠れた問題とは~

BLOG

BLOG
ブログ

第1681回:院長ブログ:夜遅く食べると太る?夕食時間と肥満の関係 ~「夜だから太る」だけではない、遅い夕食に隠れた問題とは~

この記事でわかること

  • 夜遅く食べると本当に太りやすいのか
  • 同じカロリーなら食べる時間は関係ないのか
  • 遅い夕食で食べすぎやすくなる理由
  • 体内時計と食事時間の関係
  • 夜食と睡眠の関係
  • 仕事で夕食が遅くなる人の現実的な対策

「夜10時以降に食べると太る」は本当?

「夜遅く食べると太る」

これは昔からよく言われてきました。

なかには、

「夜10時以降は絶対に食べてはいけない」

と思っている方もいるかもしれません。

確かに、遅い時間帯の食事と肥満や代謝異常との関連を示す研究はあります。

しかし、

「同じものを食べても、夜○時を過ぎた瞬間にすべて脂肪になる」

という単純な仕組みではありません。

体重管理の基本として、一日全体の摂取エネルギーと消費エネルギーは非常に重要です。

そのうえで、「いつ食べるか」も食欲・代謝・睡眠・生活リズムなどを通して影響する可能性があると考えるのが適切です。


なぜ夜遅い夕食は太りやすい?

夜遅く食べる人では、単に「時計の時刻」だけが問題なのではありません。

夕食が遅くなる生活には、

強い空腹
早食い
食べすぎ
飲酒
夜食
睡眠不足

などが重なりやすいからです。

たとえば、

昼12時に昼食
↓
仕事が忙しく夕食は22時

という生活では、夕食まで10時間近く空くことがあります。

帰宅時には強い空腹になり、

「とりあえず何でも食べたい」

という状態になりやすくなります。

すると、

大盛り+揚げ物+お酒+デザート

など、一気に食べすぎてしまうことがあります。

つまり、

夕食が遅い
↓
空腹が強くなる
↓
早食い・大食い
↓
一日の摂取量が増える

という流れです。

【図1:夜遅い夕食で太りやすくなる5つの理由 ― 強い空腹・大食い・夜食・睡眠・体内時計】


食べる時間と「体内時計」

私たちの体には、およそ24時間のリズムを作る**体内時計(概日リズム)**があります。

睡眠と覚醒だけでなく、

ホルモン分泌
体温
糖代謝
消化・吸収

などにも一日のリズムがあります。

食事の時間も、このリズムに関係する重要な刺激です。

そのため、同じ食事でも摂取する時間帯によって食後の代謝反応が完全に同じとは限らないことがわかっています。

特に、夜間は日中と比べて糖を処理する能力が低下する傾向があり、遅い時間の大量の食事を習慣化することは、代謝の面からも好ましいとはいえません。


「BMAL1が増えるから夜食は太る」だけではない

夜遅い食事について検索すると、

BMAL1(ビーマルワン)

という言葉を見かけることがあります。

BMAL1は体内時計に関係するタンパク質で、脂質代謝との関係も研究されています。

しかし、

「夜○時になるとBMAL1が増えるから、その時間に食べると必ず太る」

と説明するのは単純化しすぎです。

人間の肥満は、

総摂取エネルギー
食事内容
食事時間
睡眠
身体活動
遺伝的要因

などが複雑に関係して起こります。

肥満対策を一つのホルモンや時計遺伝子だけで説明しないことが大切です。


夜遅い人ほど「夕食が一番多い」

朝食はコーヒーだけ。

昼食は忙しくて軽め。

夕食は22時にしっかり食べる。

このような生活になっていないでしょうか。

すると一日の食事が、

朝:少ない
昼:少ない
夜:非常に多い

という配分になります。

夜遅くなったこと自体だけでなく、一日の摂取量が夕食へ集中していることも問題になります。

特に帰宅後、

「今日一日のご褒美」

として、お酒やお菓子まで追加される場合には注意が必要です。


「夕食を抜けばいい」はおすすめしない

夜遅くなるからといって、

「夕食を完全に抜く」

必要はありません。

強い空腹のまま我慢すると、

翌朝に食べすぎる
夜中に間食する
長続きしない

ことがあります。

重要なのは、

遅い時間に一日の大部分をまとめて食べないこと

です。

そこで役立つのが、夕食を分ける方法です。


夕食が遅くなるなら「分食」という方法

たとえば仕事で帰宅が22時になる場合。

夕方に、

おにぎり
ヨーグルト
ゆで卵
少量の主食とタンパク質

などを軽く食べておきます。

そして帰宅後は、

「空腹を満たすための大盛り夕食」ではなく、軽めの食事

にします。

これを分食と呼ぶことがあります。

ポイントは、

夕方の食事を「追加する」のではなく、遅い夕食の一部を前倒しする

ことです。

そうしないと単純に一日の摂取量が増えてしまいます。


夜食にも注意

夕食とは別に、

23時にアイス
寝る前にお菓子
お酒とおつまみ

という習慣がある場合には、それも一日の食事として考える必要があります。

「夕食は少ないです」

という方でも、

夕食後の摂取量を合計すると意外に多い

ことがあります。

前々回の記事で紹介したように、食事記録をするときには、

寝るまでに口にしたものすべて

を記録してみましょう。


夜遅い食事は睡眠にも影響する

夜遅く大量に食べて、そのまますぐ寝る。

この習慣は、体重だけではなく睡眠の面からも見直したいところです。

食事内容や量によっては、

胃もたれ
胸やけ
逆流症状

などが起こり、睡眠を妨げることがあります。

さらに飲酒を伴えば、睡眠の質が低下することもあります。

すると、

遅い夕食
↓
睡眠の質低下
↓
翌日の眠気・疲労
↓
活動量低下
↓
体重管理が難しくなる

という悪循環につながる可能性があります。


「何時までなら食べていい?」

非常によく聞かれる質問です。

しかし、

「○時59分までは大丈夫、○時を過ぎたら太る」

という境界線はありません。

生活スタイルも就寝時間も人によって違います。

重要なのは、

夜遅くに大量の食事を習慣化しないこと

そして、

就寝直前の大食いを避けること

です。

「絶対に○時まで」と時計だけを見るより、自分の生活リズム全体を考えた方が現実的です。


シフト勤務の人はどうする?

夜勤や交代勤務の方では、一般的な「朝・昼・夕」という考え方がそのまま当てはまりません。

無理に、

「夜だから絶対に食べない」

とする必要はありません。

シフト勤務では、

一日の総摂取量
食事の偏り
睡眠時間
食事間隔
間食

などを含めて個別に考える必要があります。

生活リズムが特殊な場合には、時計の時刻だけで食事を判断しないことが大切です。


夕食が遅くなる人の7つの工夫

① 昼食を極端に軽くしない

昼食が少なすぎると、夜の強い空腹につながります。


② 夕方に分食する

夕食の一部を前倒しします。


③ 帰宅後に大盛りにしない

強い空腹のまま食卓につくと、量が増えやすくなります。

最初から適量を用意しましょう。


④ 夜は「おかわり前に確認」

食べ終わった直後に追加せず、満腹感を一度確認します。


⑤ 飲酒と夜食をセットにしない

遅い夕食+飲酒+おつまみが重なると、一日の摂取量が増えやすくなります。


⑥ 食べたらすぐ寝る生活を見直す

可能な範囲で、就寝直前の大量摂取を避けます。


⑦ 「夕食時間」だけでなく一日全体を見る

朝・昼・間食・夕食を含めた一日の食事パターンを確認しましょう。

【図2:帰宅が遅い人の「太りにくい夕食」7つの工夫 ― 分食・量・夜食を見直そう】


夕食を早めれば必ず痩せる?

夕食時間を早めただけで、すべての人が痩せるわけではありません。

18時に夕食を食べても、

その後にお酒
お菓子
アイス
夜食

を摂っていれば、体重が減らないこともあります。

逆に、仕事の都合で夕食が遅くても、

一日の総摂取量を適切に管理し、夜に食べすぎず、運動や睡眠を整えられている方もいます。

つまり、

夕食時間は重要ですが、それだけで肥満が決まるわけではありません。


当院の考え方

肥満・メタボの診療では、

「夜何時に食べていますか?」

だけでなく、

なぜその時間になるのか
夕食まで何時間空くのか
夜にどれくらい食べるのか
飲酒・夜食はあるのか
何時に寝るのか

まで確認することが大切です。

仕事の都合で夕食を早くできない方に、

「18時までに食べてください」

と言っても現実的ではありません。

その場合には、分食など生活に合わせた方法を考えます。

肥満・腹囲増加や血糖・脂質などが気になる方は、まずは内科クリニックへご相談ください。

必要に応じて専門医療機関へご紹介します。


まとめ

夜遅い夕食は、肥満や代謝異常と関連する可能性があります。

しかし、

「夜だから食べたものが全部脂肪になる」

わけではありません。

実際には、

強い空腹
大食い・早食い
夜食
飲酒
体内時計
睡眠

など、複数の要因が関係しています。

仕事などで夕食が遅くなる場合には、

夕食の一部を夕方へ前倒しする「分食」

も一つの方法です。

大切なのは、

「何時に食べたか」だけではなく、「一日を通して、いつ・何を・どのくらい食べたか」

を見ることです。


当院からのメッセージ

夕食が遅いからといって、

「もう食べてはいけない」

と極端に考える必要はありません。

むしろ、

空腹をためすぎない
夜にまとめて食べない
飲酒や夜食を追加しない

といった工夫の方が現実的です。

生活習慣は、続けられる形に変えることが大切です。


院長のワンポイントアドバイス

帰宅が遅い方に、まず試してほしいのは、

「夕食を我慢する」ことではなく「夕食を分ける」こと。

夕方に夕食の一部を食べておけば、帰宅時の強烈な空腹を抑えやすくなります。

ただし、

夕方に食べた分を忘れて、帰宅後もいつも通り食べないこと。

「追加」ではなく、**「前倒し」**なのがポイントです。


あわせて読みたい

  • 「食べていないのに太る」は本当?見落としやすいカロリーの正体
  • 早食いは太る?「食べる速さ」と肥満の意外な関係
  • 睡眠不足は太る原因?睡眠と肥満・食欲の深い関係
  • お酒は太る?アルコールと内臓脂肪・中性脂肪の関係
  • インスリン抵抗性とは?肥満から生活習慣病につながる重要な仕組み

次回予告

肥満・メタボシリーズ 第17回

朝食を抜くと太る?朝ごはんと肥満・メタボの関係

「朝食を食べた方が痩せる」

「朝食を抜けば、その分カロリーが減る」

どちらも耳にします。

次回は、朝食と肥満の関係について、単純な「朝食を食べれば痩せる」という説明ではなく、一日の摂取量・昼食や夕食・生活リズム・夜型生活との関係まで含めて解説します。

カテゴリー

最近の投稿

月別アーカイブ

初診ネット受付はこちら