第1687回:院長ブログ:糖質制限で停滞期?体重が減らなくなったときに見直すポイント ~「もっと糖質を減らす」前に、食事・間食・飲酒・睡眠・運動を確認しましょう~
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糖質制限をしている患者さんから、よく聞く相談があります。
「最初の1か月は順調だったのに、最近まったく減りません」
「もっと糖質を減らした方がいいですか?」
「糖質制限が効かなくなったのでしょうか?」
体重がしばらく動かなくなると、不安になるものです。
しかし、
体重が減らなくなった=糖質制限が効かなくなった
とは限りません。
そして、ここで焦って
「さらに糖質を極端に減らす」
必要があるとも限りません。
まずは、なぜ体重が止まっているのかを考えることが重要です。
減量を始めると、
80kg
↓
79kg
↓
78kg
↓
77kg……
と、毎週きれいに減っていくようなイメージを持つ方がいます。
しかし、実際の体重はそう単純ではありません。
体重には体脂肪だけでなく、
水分
グリコーゲン
筋肉
消化管の内容物
などが含まれます。
そのため、脂肪が少しずつ減っていたとしても、体内の水分量などによって体重計の数字が変わらないことがあります。
「数日体重が変わらない」だけで停滞期と判断しないことが大切です。
前回までの記事でも説明しましたが、糖質制限開始直後には体重が比較的速く減ることがあります。
これは体脂肪だけが急激に減ったわけではありません。
身体は糖質の一部をグリコーゲンとして肝臓や筋肉に蓄えています。
グリコーゲンは水分とともに蓄えられているため、糖質摂取量が減ってグリコーゲン量が減ると、それに伴って体内の水分も減ります。
つまり開始直後は、
脂肪の減少+水分の減少
が体重に反映されます。
その後、水分変化が落ち着けば、当然ながら最初と同じ速度では体重が減らなくなります。
これは、
「糖質制限が効かなくなった」
ということではありません。
もう一つ重要なのが、体重が減るにつれて身体が必要とするエネルギー量も変化することです。
体重80kgの身体を維持するのと、70kgの身体を維持するのでは条件が同じではありません。
さらに減量中には、
食事量の変化
活動量の変化
筋肉量の変化
なども起こります。
そのため、
最初と同じ生活を続ければ、同じペースで永遠に痩せ続ける
わけではありません。
「糖質制限は完璧です」
という方でも、詳しく食事を聞くと意外なところから糖質を摂っていることがあります。
たとえば、
甘いカフェラテ
スポーツドリンク
野菜ジュース
調味料
ドレッシング
市販のたれ
加糖ヨーグルト
糖質の多いナッツ
果物
アルコール飲料
などです。
一回の量は少なくても、毎日積み重なると無視できません。
特に飲み物は「食べた」という感覚がないため、見落としやすいポイントです。
これまでの記事でも説明してきましたが、
健康的なイメージ=体重が増えない
ではありません。
たとえば、
ナッツ
チーズ
オリーブ油
アボカド
などは糖質制限で利用しやすい食品ですが、脂質を多く含むものもあります。
「糖質が少ないから」と量が増えれば、摂取エネルギーも増えます。
特にナッツは、
机に袋を置いて、気づかないうちに何度も食べる
というパターンに注意が必要です。
また前回まで触れているように、カシューナッツはナッツ類の中では糖質が比較的多いため、糖質制限中は種類にも注意しましょう。
チーズも糖質が比較的少ない食品です。
しかし脂質が多く、エネルギー量も高くなりやすいため、
「低糖質だから無制限」
ではありません。
糖質制限開始前には食べていなかったのに、
間食にチーズ
食後にもチーズ
お酒と一緒にチーズ
と食べるようになれば、糖質は減っていても総摂取量が増えている可能性があります。
糖質制限では、糖質を減らした分、脂質から摂取するエネルギーの割合が増えることがあります。
しかし、
脂質を積極的に大量摂取すれば、その分だけ脂肪燃焼が進む
というわけではありません。
身体が体脂肪を利用してほしいのに、食事から大量の脂質が入ってくれば、そのエネルギーも利用されます。
したがって、
糖質を減らすことと、脂質を無制限に増やすことは別
と考えましょう。
「お菓子をやめて果物にしました」
という方も注意が必要です。
果物にはビタミンや食物繊維などが含まれますが、果糖などの糖質も含まれています。
お菓子をやめた代わりに、
朝に果物
昼食後にも果物
夕食後にも果物
と増えていれば、糖質制限としては見直す余地があります。
当院では、肥満・メタボ対策として、
「果物は健康によいから積極的にたくさん食べる」
とは考えていません。
果物も糖質源の一つとして、量を意識しましょう。
糖質制限を始めた直後は意識が高く、
お菓子なし
間食なし
夜食なし
だった人でも、数か月すると少しずつ習慣が戻ってくることがあります。
しかも、
「糖質オフだから」
という理由で、
低糖質スイーツ
ナッツ
チーズ
低糖質パン
などの間食が増えていることもあります。
一つ一つは低糖質でも、食べる回数と量が増えれば体重管理に影響します。
糖質制限中に、
「糖質ゼロのお酒なら太らない」
と思っている方もいます。
しかし、
糖質ゼロ=エネルギーゼロ
ではありません。
アルコールそのものにもエネルギーがあります。
さらに飲酒すると、
おつまみが増える
食欲のコントロールが乱れる
夜遅くまで食べる
など、食行動にも影響します。
体重が停滞したら、お酒の種類だけでなく飲酒量と頻度も確認しましょう。
「食事は変えていないのに、最近痩せにくい」
という場合、睡眠も確認します。
睡眠不足は食欲や食行動に影響し、高エネルギー食品を選びやすくなることがあります。
さらに、疲れていると日中の活動量も減りやすくなります。
夜更かしが増えて、
睡眠不足
↓
朝起きられない
↓
活動量低下
↓
夕方から食欲増加
↓
夜食
という流れになっていることもあります。
体重管理では、睡眠も生活習慣の一部です。
運動は非常に重要です。
しかし、
「今日は歩いたから、少しくらい食べても大丈夫」
と運動後の摂取量が増えてしまうことがあります。
また、ウォーキングを始めたものの、それ以外の時間は疲れて座っている時間が増え、結果として一日の活動量がそれほど増えていないケースもあります。
運動は、
「食べるためにカロリーを消費するもの」
ではなく、筋肉を維持し、代謝や心肺機能を改善し、健康を守るためのものと考えましょう。
減量中には、体脂肪だけでなく筋肉が減る可能性があります。
筋肉をできるだけ維持するためには、
十分なタンパク質+筋力トレーニング
を組み合わせることが重要です。
スクワットなど、自宅でできる運動でも構いません。
ウォーキングなどの有酸素運動と組み合わせるとよいでしょう。
ここも非常に重要です。
体重がほとんど変わっていなくても、
腹囲が減っている
服がゆるくなった
血圧が改善した
血糖・HbA1cが改善した
中性脂肪が改善した
脂肪肝が改善した
ということがあります。
特に運動をしている人では、体組成の変化が体重だけではわからないことがあります。
したがって、
体重計の数字だけを見て「失敗」と判断しない
ことが大切です。

【図1:糖質制限で体重が止まったら?― 停滞期に確認したい8つの原因】
体重は日々変動します。
塩分摂取
水分量
便通
外食
飲酒
などでも変わります。
そのため、昨日と今日の数字だけを比較して一喜一憂する必要はありません。
できれば同じような条件で測定し、短期的な上下ではなく一定期間の傾向を見ることが大切です。
ジュース、加糖コーヒー、スポーツドリンクなどを確認します。
「低糖質だから大丈夫」と回数が増えていないか見ます。
低糖質でも量には注意します。
果糖を含む糖質源として考えます。
糖質を減らした分以上に食事量が増えていないか確認します。
「糖質ゼロのお酒だから大丈夫」と考えないようにします。
食事以外の生活習慣も確認します。
腹囲や血液検査も評価します。

【図2:停滞期を抜けるための8つのチェック―「もっと糖質を減らす」前に確認しよう】
自分では、
「以前と同じ食事をしています」
と思っていても、実際には少しずつ変わっていることがあります。
そこでおすすめなのが、数日間の食事記録です。
特に、
食べた時間
食品
飲み物
間食
アルコール
まで記録してみます。
スマートフォンで食事の写真を撮るだけでも構いません。
記録すると、
「ナッツを思ったより食べている」
「毎日カフェラテを飲んでいる」
「週末だけかなり飲酒している」
といったことに気づく場合があります。
体重が止まると、
「ご飯をもっと減らそう」
「野菜の糖質まで全部なくそう」
「一日一食にしよう」
など、制限をさらに強くしたくなることがあります。
しかし、極端な制限を行えば、
食物繊維不足
便秘
栄養バランスの偏り
筋肉量低下
継続困難
などの問題につながることがあります。
停滞したときこそ、
「もっと減らす」ではなく、「何が増えているか」を確認する。
この考え方が重要です。
当院では肥満・メタボ対策として糖質制限を積極的に取り入れています。
しかし、体重が停滞したときに、
「糖質をさらにゼロに近づければよい」
とは考えません。
まず確認するのは、
糖質量
間食
脂質量
飲酒
食事時間
睡眠
活動量
筋肉量
です。
さらに、
体重・BMI・腹囲・血圧・血糖・HbA1c・中性脂肪・LDLコレステロール・肝機能
などを総合的に評価します。
体重が減っていなくても、腹囲や代謝指標が改善している場合もあります。
逆に体重は減っていても、筋肉量が大きく減っているのであれば、食事や運動を見直す必要があります。
「体重だけを見る減量」から「身体全体を見る肥満治療」へ。
これが大切です。
糖質制限を始めて最初は体重が減ったのに、その後減らなくなることは珍しくありません。
開始直後にはグリコーゲンと水分の減少が体重に反映されるため、最初の減量速度がそのままずっと続くわけではありません。
体重が停滞したら、
隠れた糖質
間食
ナッツ・チーズ
果物
脂質
飲酒
睡眠
活動量
を見直してみましょう。
そして、
「もっと糖質を減らす」前に、「知らないうちに増えているものはないか」を確認する。
これが重要です。
体重は一直線には減りません。
数日の数字だけを見て、
「失敗した」
と判断する必要はありません。
体重だけでなく、
腹囲
血圧
血糖・HbA1c
中性脂肪
肝機能
なども含めて、身体がどう変化しているかを見ていきましょう。
肥満・メタボや糖質制限についてお悩みの場合は、まずは内科クリニックへご相談ください。
必要に応じて専門医療機関へご紹介します。
糖質制限で体重が止まったとき、私ならまず、
「ナッツ・チーズ・お酒・間食が増えていないか?」
を確認します。
糖質制限に慣れてくると、こうした**「低糖質だから大丈夫」という食品が少しずつ増えている**ことがあります。
体重が停滞したときは、
さらに厳しくする前に、3~7日程度、食べたものを一度すべて記録してみる。
そこに原因が見つかることは少なくありません。
ダイエットで本当に難しいのは、
「痩せること」より「痩せた体重を維持すること」
かもしれません。
次回は、減量後に食欲が強くなったり、消費エネルギーが変化したりする身体の適応を解説しながら、糖質制限を一時的なダイエットで終わらせず、リバウンドを防ぐための食事・体重測定・運動・睡眠・環境づくりについて解説します。