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第1689回:院長ブログ:運動だけで痩せる?食事と運動、どちらが重要? ~体脂肪を減らす「食事」と、筋肉・健康を守る「運動」は役割が違います~

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第1689回:院長ブログ:運動だけで痩せる?食事と運動、どちらが重要? ~体脂肪を減らす「食事」と、筋肉・健康を守る「運動」は役割が違います~

この記事でわかること

  • 運動だけで体重を減らせるのか
  • 食事と運動では、減量にどちらが重要なのか
  • 「運動したから食べても大丈夫」が危険な理由
  • ウォーキングなどの有酸素運動の役割
  • 筋力トレーニングが重要な理由
  • 体脂肪を減らしながら筋肉を守る方法
  • 肥満・メタボ改善のための現実的な運動の始め方

「毎日歩けば、食事は変えなくても痩せますか?」

肥満・メタボの診療では、とてもよく聞かれる質問です。

「ウォーキングを始めたので、食事は今まで通りでも大丈夫ですか?」

「運動した日は、その分食べてもいいですよね?」

「食事制限と運動なら、どちらを優先すればいいですか?」

結論からいうと、体重を減らすことが第一の目的なら、食事の見直しは非常に重要です。

一方、だからといって、

「運動は痩せるためには意味がない」

ということではありません。

むしろ肥満・メタボ治療では、

食事と運動の両方が重要です。

ただし、両者は少し違う役割を持っています。


体脂肪が増える基本的な仕組み

体脂肪の増減を考える基本は、

摂取するエネルギーと消費するエネルギーのバランス

です。

長期的に、

摂取エネルギー > 消費エネルギー

の状態が続けば、余ったエネルギーは体脂肪などとして蓄積されます。

反対に、身体が必要とするエネルギーより摂取量が少ない状態になれば、蓄えられたエネルギーが利用され、体重は減少しやすくなります。

ただし、人間の身体は単純な計算機ではありません。

体重が減れば消費エネルギーも変化しますし、食欲や活動量も変化します。

そのため、

「○kcal減らせば必ず○kg痩せる」

という単純な計算だけで長期的な体重変化を予測することはできません。


なぜ「食事」の影響が大きいの?

運動でエネルギーを消費するには、それなりの時間と身体活動が必要です。

一方、食べ物や飲み物からエネルギーを摂取するのは簡単です。

たとえば、

ウォーキングをした
↓
「運動したからご褒美」
↓
甘い飲み物やお菓子を追加する

という行動をすると、運動による消費を食事で簡単に補ってしまうことがあります。

特に、

甘い飲料
お菓子
菓子パン
アルコール
夜食

などは摂取量が増えやすいため注意が必要です。

つまり、

運動で食生活の問題をすべて帳消しにするのは難しい

ということです。


「運動したから食べてもいい」が落とし穴

運動後には、

「今日は頑張ったから少しくらい大丈夫」

と思いやすくなります。

しかし、その「少しくらい」が、

デザート
ビール
おつまみ
菓子パン
甘いカフェラテ

などになれば、減量が進まない原因になることがあります。

また運動を始めることで食欲が変化する人もいます。

したがって、

運動した分だけ自由に食べられる

とは考えない方がよいでしょう。

 

 

 

 

 

 

【図1:なぜ「運動だけ」では痩せにくい?― 食事と運動の役割の違い】


では、運動は何のためにするの?

ここが今回の記事で最も重要なポイントです。

運動には、体重計の数字だけでは測れない多くのメリットがあります。

運動を継続することで、

心肺機能の改善
筋力・身体機能の維持
インスリン感受性の改善
血圧や血糖などへの好影響
内臓脂肪の減少
心血管疾患リスクの低下

などが期待できます。

つまり、

「運動しても体重があまり減らない=運動しても意味がない」

ではありません。

体重とは別に、身体の中では有益な変化が起こる可能性があります。


有酸素運動とは?

代表的な有酸素運動には、

ウォーキング
速歩
ジョギング
自転車
水泳

などがあります。

有酸素運動では、身体を動かすために糖質や脂肪などがエネルギー源として利用されます。

継続することで、心肺機能や持久力の向上にもつながります。

肥満・メタボ対策では、特別なスポーツを始めなくても、まず歩くことから始めるのは非常によい方法です。


「脂肪燃焼ゾーン」にこだわりすぎなくていい

「脂肪を燃やすには、この心拍数で運動しないといけませんか?」

という質問があります。

運動強度によって、糖質と脂肪がエネルギーとして使われる割合は変化します。

しかし減量では、

運動中に脂肪を何%使ったかだけでなく、一日・一週間・長期間のエネルギーバランスを見る

ことが重要です。

「脂肪燃焼ゾーン」という数字にこだわりすぎて運動を複雑にするより、安全に継続できる運動を習慣化することを優先しましょう。


ウォーキングだけでいい?

ウォーキングは非常に優れた運動です。

特に、

これまでほとんど運動していなかった
肥満があり激しい運動が難しい
高齢である
運動習慣をこれから作りたい

という方には始めやすい方法です。

しかし、肥満治療ではウォーキングだけでなく、筋力トレーニングを組み合わせることにも意味があります。


なぜ筋力トレーニングが重要なの?

減量中に減らしたいのは、主に余分な体脂肪です。

ところが食事量を減らして体重を落とすと、脂肪だけでなく筋肉などの除脂肪組織も減少する可能性があります。

特に、

極端な食事制限
タンパク質不足
運動不足

が重なると、筋肉を失いやすくなります。

そこで重要になるのが、

適切なタンパク質摂取+筋力トレーニング

です。


筋肉が増えれば基礎代謝が劇的に上がる?

ここには少し注意が必要です。

「筋肉をつければ基礎代謝がものすごく上がり、何を食べても太らなくなる」

という説明を見かけることがあります。

これは言い過ぎです。

筋肉量を維持・増加させることは重要ですが、筋肉を少し増やしただけでエネルギー消費が劇的に増えるわけではありません。

筋トレの価値は、

筋肉を守る
身体機能を維持する
将来のサルコペニアを予防する
糖代謝を改善する

といった総合的な健康効果にあります。


「有酸素運動か筋トレか」ではない

よく、

「ウォーキングと筋トレ、どちらが痩せますか?」

と聞かれます。

これはどちらか一方を選ぶ必要はありません。

肥満・メタボ対策では、

有酸素運動+筋力トレーニング

を組み合わせるのが基本的な考え方です。

ウォーキングで日々の活動量を増やし、筋トレで筋肉・身体機能を守る。

両者は競争相手ではなく、役割が違う運動です。


日常生活の「動く量」も重要

運動というと、

「ジムで1時間運動する」

ことばかり考えがちです。

しかし、一日のエネルギー消費には、

歩く
階段を使う
掃除する
買い物に行く
立って作業する

といった日常生活の身体活動も関係します。

このような運動以外の日常活動によるエネルギー消費は、**NEAT(非運動性活動熱産生)**と呼ばれます。

ジムで運動したからといって、その後ずっと座って過ごすのではなく、一日を通して動くことも意識しましょう。


「1万歩」にこだわらなくていい

歩数目標として「1日1万歩」が有名ですが、健康効果は1万歩を達成しなければ得られないわけではありません。

普段ほとんど歩いていない人が、

今より少し多く歩く

ことにも意味があります。

大切なのは、

0歩に近い生活
↓
いきなり毎日1万歩

という極端な目標を立てて挫折することではありません。

まず現在の活動量を把握し、無理なく増やして継続することを優先しましょう。


食後に身体を動かすのも一つの方法

食後に軽く歩くなど、長時間座り続ける生活を減らすことは、食後血糖の管理にも役立つ可能性があります。

特に、

デスクワーク
在宅勤務
テレビを長時間見る

など、座っている時間が長い方は、

「運動する時間を作る」だけでなく、「座りっぱなしを減らす」

ことも意識してみましょう。


糖質制限と運動は相性がいい?

糖質制限と運動を組み合わせることは、肥満・メタボ対策の一つの方法です。

糖質を摂りすぎている方では食事を見直し、

肉・魚・卵・大豆製品などから適切にタンパク質を確保し、

有酸素運動と筋力トレーニングを行う。

こうすることで、

体脂肪を減らしながら、筋肉をできるだけ維持する

ことを目指します。

ただし、極端な糖質制限と激しい運動を自己流で組み合わせれば、体調不良を起こすこともあります。

特に糖尿病治療中の方では、薬剤によって低血糖などへの注意が必要です。


体重が減らなくても「腹囲」が減っていることがある

運動を始めた方が、

「体重があまり減らないので意味がない」

とやめてしまうことがあります。

しかし、

腹囲が減っている
体脂肪が減っている
筋力が上がっている
血圧が改善している
血糖・HbA1cが改善している
中性脂肪が改善している

のであれば、非常に意味のある変化です。

体重だけで運動の効果を評価しないようにしましょう。


肥満・メタボ対策「食事+運動」7つのポイント

① まず食生活を見直す

運動ですべてを帳消しにしようとしません。

② 甘い飲み物を運動のご褒美にしない

液体の糖質にも注意します。

③ ウォーキングなどの有酸素運動を取り入れる

無理なく継続できる運動を選びます。

④ 筋力トレーニングを組み合わせる

減量中の筋肉維持を意識します。

⑤ タンパク質を確保する

肉・魚・卵・大豆製品などを上手に利用します。

⑥ 座りっぱなしを減らす

運動時間以外の日常活動も増やします。

⑦ 体重以外の変化も見る

腹囲・血圧・血糖・脂質なども確認します。

 

 

 

 

 

 

【図2:肥満・メタボ改善「食事+運動」7つのポイント― 体脂肪を減らし、筋肉を守る】


当院の考え方

当院では肥満・メタボ対策として、食事、とくに糖質の摂りすぎを見直すことを重視しています。

しかし、

「食事だけ変えれば運動は必要ない」

とは考えていません。

体重を減らすという点では食事の影響が大きくても、運動には、

筋肉・身体機能の維持
心肺機能の改善
血糖・血圧への好影響
内臓脂肪への効果
長期的な体重維持

など、食事だけでは代替できない役割があります。

したがって、

食事で体脂肪を減らしやすい環境をつくり、運動で筋肉と健康を守る。

この組み合わせが大切です。

体重・BMI・腹囲だけでなく、血圧、血糖、HbA1c、脂質、肝機能なども確認しながら、その方に合った方法を考えます。


まとめ

「運動だけで痩せられますか?」

という質問に対しては、

運動だけで十分な減量を目指すより、食事の見直しと組み合わせる方が現実的

と考えます。

しかし、

「食事の方が重要だから運動はしなくていい」

という意味ではありません。

食事と運動にはそれぞれ違う役割があります。

食事 → 摂取するエネルギーや糖質を調整する

有酸素運動 → 活動量を増やし、心肺機能や代謝を改善する

筋力トレーニング → 筋肉・身体機能を守る

この3つを組み合わせることで、単に体重を落とすだけでなく、健康的な身体を維持しながら余分な体脂肪を減らすことを目指します。


当院からのメッセージ

運動を始めるときに、

「毎日1時間走らなければ」

「1万歩歩かなければ」

と考える必要はありません。

まずは、

今より歩く。
座っている時間を減らす。
できる範囲で筋トレをする。

そこから始めてみましょう。

そして運動したことを理由に食事量を増やさない。

食事と運動をセットで考えることが、肥満・メタボ改善への近道です。


院長のワンポイントアドバイス

「食事と運動、どちらが大切ですか?」

と聞かれたら、

体重を落とすなら、まず食事を見直す。
健康的に痩せて、その体重を維持するなら運動も欠かせない。

と考えると分かりやすいでしょう。

運動で食べ過ぎを帳消しにするのではなく、

食事で余分な摂取を減らし、運動で筋肉を守る。

この役割分担を意識してみてください。


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次回予告

肥満・メタボシリーズ 第25回

ウォーキングで痩せる?脂肪燃焼に効果的な歩き方

「毎日何分歩けばいい?」

「速く歩いた方が痩せる?」

「歩数と時間、どちらを目標にすればいい?」

次回は、肥満・メタボ対策として最も始めやすいウォーキングを取り上げ、歩く時間・速さ・歩数・運動強度の考え方、食後のウォーキング、継続するための工夫まで実践的に解説します。

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