第1692回:院長ブログ:内臓脂肪を減らすには?食事・運動・生活習慣の改善ポイント ~「体重」だけではわからない、お腹の脂肪とメタボの関係~
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肥満・メタボの診療ではよくある相談です。
体重やBMIだけを見ると、それほど肥満ではない。
ところが、
「最近、お腹だけ出てきた」
「ズボンのウエストがきつくなった」
「健診で腹囲を指摘された」
という方がいます。
このような場合に考えたいのが、内臓脂肪です。
肥満・メタボを考えるときは、
体重が何kgあるか
だけでなく、
脂肪が身体のどこに蓄積しているか
も重要なのです。
体脂肪は大きく分けると、
皮下脂肪
内臓脂肪
があります。
皮膚の下に蓄積する脂肪です。
お腹だけでなく、お尻や太ももなどにもつきます。
主に腹腔内で、腸などの周囲に蓄積する脂肪です。
外から直接つまむことはできません。
内臓脂肪が増えると腹囲が大きくなり、いわゆる内臓脂肪型肥満につながります。
どちらも脂肪組織ですが、健康への影響はまったく同じではありません。
特に内臓脂肪の過剰な蓄積は、
インスリン抵抗性
血糖上昇
中性脂肪の上昇
HDLコレステロール低下
血圧上昇
などと関連します。
そのため内臓脂肪は、メタボリックシンドロームを考えるうえで非常に重要です。

【図1:内臓脂肪と皮下脂肪は何が違う?― 脂肪がつく場所と健康への影響】
脂肪組織は、単なる「エネルギーの倉庫」ではありません。
脂肪細胞からはさまざまな生理活性物質が分泌されています。
内臓脂肪が過剰になると、そのバランスが変化し、
インスリンが効きにくくなる
脂質代謝が悪化する
血圧が上がりやすくなる
など、代謝異常につながることがあります。
これが、
肥満 → 内臓脂肪蓄積 → メタボ → 糖尿病・高血圧・脂質異常症
という関係の背景の一つです。
ここは重要です。
内臓脂肪の問題は、明らかな肥満がある人だけとは限りません。
BMIがそれほど高くなくても、
腹囲が増えている
運動不足
筋肉量が少ない
糖質やアルコールを多く摂る
といった生活が重なると、代謝異常を認めることがあります。
つまり、
「BMIが正常だからメタボの心配はない」
とは言い切れません。
体重だけでなく、腹囲や血液検査も一緒に見ることが大切です。
当院では、肥満・メタボ対策として糖質の摂りすぎを見直すことを重視しています。
糖質を必要以上に摂取し、長期的にエネルギーが余る状態が続けば、体脂肪の蓄積につながります。
特に注意したいのが、
砂糖入り飲料
お菓子
菓子パン
麺類
ご飯・パンなどの主食の食べすぎ
夜食
です。
「脂肪を減らしたいから脂質だけを減らせばよい」
とは限りません。
糖質を含めた食生活全体を見直すことが重要です。
果物にはビタミン、ミネラル、食物繊維などが含まれますが、同時に果糖などの糖質も含まれています。
そのため、
「果物は健康食品だから、いくら食べても太らない」
という考え方はおすすめしません。
特に、
肥満
中性脂肪高値
脂肪肝
血糖高値
糖質制限中
の方では、果物も糖質源の一つとして量を考える必要があります。
また、
果汁ジュース
スムージー
ドライフルーツ
などは糖質を摂取しやすくなるため、より注意が必要です。
内臓脂肪を減らすために、果物を積極的に大量摂取する必要はありません。
「糖質ゼロのお酒なら太らないですか?」
これもよく聞かれます。
アルコール自体にもエネルギーがあります。
また飲酒すると、
おつまみが増える
食事量が増える
夜遅くまで食べる
といった行動につながることもあります。
過剰な飲酒は、中性脂肪上昇や脂肪肝にも関係します。
したがって、
糖質ゼロ=体脂肪が増えない
ではありません。
内臓脂肪や脂肪肝、中性脂肪が気になる方では、アルコール摂取量も見直しましょう。
はい。
内臓脂肪は生活習慣の改善によって減少が期待できます。
そして、内臓脂肪は皮下脂肪と比較して、食事や運動による減量に反応しやすい傾向があります。
「お腹が出てきたから、もう元には戻らない」
と諦める必要はありません。
大切なのは、
食事
運動
睡眠
飲酒
をまとめて見直すことです。
まず考えたいのは、
何を食べるかだけでなく、何を減らすか
です。
当院では特に、
甘い飲み物
お菓子
菓子パン
過剰な主食
夜食
など、糖質を摂りすぎていないかを確認します。
そのうえで、
肉
魚
卵
大豆製品
などからタンパク質を確保し、
葉物野菜
きのこ
海藻類
なども上手に取り入れます。
糖質を減らしているからといって、
肉の脂身
バター
チーズ
ナッツ
生クリーム
などを無制限に追加すればよいわけではありません。
脂質は重要な栄養素ですが、エネルギー密度も高い栄養素です。
肥満・メタボ対策では、
糖質を減らした分だけ高脂肪食品を無制限に追加しない
ことも大切です。
またナッツ類は種類によって糖質量が異なり、カシューナッツはアーモンド、くるみ、マカダミアナッツなどと比べて糖質が比較的多いため、糖質制限中には種類と量にも注意しましょう。
ウォーキングなどの有酸素運動は、内臓脂肪を減らすための重要な方法です。
さらに、
筋力トレーニング
も組み合わせることをおすすめします。
筋肉を守りながら体脂肪を減らすことで、健康的な減量を目指します。
つまり、
食事+有酸素運動+筋トレ
という組み合わせです。
「毎日30分ウォーキングしているから、それ以外は座っていても大丈夫」
とは考えない方がよいでしょう。
デスクワークなどで長時間座り続けている場合は、
立つ
歩く
階段を使う
買い物に歩いて行く
など、日常生活の身体活動を増やすことも大切です。
睡眠時間が不足すると、
食欲
食行動
身体活動
などに影響し、体重管理が難しくなることがあります。
「食事と運動は完璧なのに、睡眠は毎日4~5時間」
という生活では、長期的な体重管理に不利になる可能性があります。
肥満・メタボ対策では、睡眠も生活習慣の一部として考えましょう。
内臓脂肪の量を正確に評価するにはCTなどの画像検査が利用されることがあります。
しかし、すべての人がCTを受けるわけではありません。
日常診療や健診では、内臓脂肪蓄積を推定する簡便な指標として腹囲が使われます。
自宅で体重を測っている方も、
ときどき腹囲も確認する
とよいでしょう。
体重があまり変わっていなくても腹囲が減っていれば、身体組成が改善している可能性があります。
日本のメタボリックシンドローム診断基準では、腹囲について、
男性85cm以上
女性90cm以上
が内臓脂肪蓄積を推定する基準として用いられています。
ただし、腹囲だけでメタボリックシンドロームと診断されるわけではありません。
血糖、脂質、血圧などの項目と合わせて評価します。
また、基準値未満なら生活習慣病のリスクがゼロになるわけでもありません。
「85cmを超えたかどうか」だけを見るのではなく、腹囲の変化と代謝状態を総合的に見ることが重要です。
飲料からの糖質を見直します。
「糖質ゼロにする」のではなく、過剰摂取を減らします。
肉・魚・卵・大豆製品などを利用します。
糖質だけでなく飲酒量そのものを考えます。
座りっぱなしも減らします。
減量中の筋肉を守ります。
体重管理を食事と運動だけの問題にしません。

【図2:内臓脂肪を減らす7つの習慣― 糖質・飲酒・運動・筋トレ・睡眠を見直そう】
内臓脂肪を減らすために、特別な食品やサプリメントを探す必要はありません。
重要なのは、
糖質の摂りすぎを見直す
必要なタンパク質を確保する
食べすぎを避ける
アルコールを見直す
歩く
筋トレをする
睡眠を整える
という基本的な生活習慣です。
そして、
体重だけでなく腹囲を見ること。
さらに、
血圧
空腹時血糖
HbA1c
中性脂肪
HDL・LDLコレステロール
肝機能
なども確認します。
「お腹だけ出てきた」という変化は、身体からの重要なサインかもしれません。
内臓脂肪は、単なる見た目の問題ではありません。
過剰な内臓脂肪は、
糖尿病
高血圧
脂質異常症
などの代謝異常と深く関係しています。
一方で、内臓脂肪は生活習慣を改善することで減少が期待できます。
大切なのは、
糖質の摂りすぎを見直す
アルコールを見直す
タンパク質を確保する
ウォーキングをする
筋トレをする
座りっぱなしを減らす
睡眠を整える
ことです。
体重計の数字だけではなく、腹囲と血液検査の変化にも注目しましょう。
「体重は正常だから大丈夫」
「BMIは高くないからメタボではない」
とは限りません。
最近お腹が出てきた方、健診で腹囲・血圧・血糖・中性脂肪などを指摘された方は、まずは内科クリニックへご相談ください。
内臓脂肪の問題は、早い段階で生活習慣を見直すことが大切です。
必要に応じて専門医療機関へご紹介します。
内臓脂肪を減らすために、
「腹筋運動をすれば、お腹の脂肪だけが落ちる」
と考える必要はありません。
腹筋を鍛えることと、お腹の脂肪だけを選択的に燃焼させることは別の話です。
内臓脂肪対策では、
食事+有酸素運動+筋トレ+睡眠
を組み合わせ、身体全体の代謝環境を改善していきましょう。
「つまめるお腹の脂肪は内臓脂肪?」
「皮下脂肪は内臓脂肪より落ちにくい?」
「腹筋をすればお腹の皮下脂肪だけ減らせる?」
次回は、皮下脂肪と内臓脂肪の違い、皮下脂肪が減りにくく感じる理由、部分痩せの考え方、食事・有酸素運動・筋トレをどう組み合わせるかまで詳しく解説します。