個人化する家族
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こんにちは。
船橋駅前の内科・循環器(心臓血管)内科・糖尿病内科『いちかわクリニック』院長の市川です。
個人化する家族、、、、
家族はお互いに親密な他者であるという図式は自明視されているだけであるという話。
こんな文献があります。
「高齢者の情緒的一体感に関する研究 : 親密性を基に生起する関係と親密性によらない関係とは Effects of Intimate and Supportive Relationships on Well-being in the Japanese Elderly. 」
現代の日本では、核家族しているという事実。
そして、親と同居すること自体が高齢者である親にとってwell-being(身体的、精神的なものを含めた全てにおける健康)に繋がるという錯覚。
今回の論文は、このことについて考えさせられる内容でした。
論文の研究対象は、東京駅を中心とする半径30km以内に居住する60歳から79歳までの408名。
この方々の孤独感や抑うつ傾向を、孤独感尺度と言われる質問に対する答えを数値化して判定する方法を用いて測定しました。
そして、どのような状態が高齢の方のwell-beingに寄与するかを考えました。
ちなみに、、、
孤独感とは、『人間関係の中で『こうありたい』という願望があるとき、その願望が十分に満たされなかったり、逆に心理的な満足感を低下させるような結果が生じた時に感ずる感情の1つで、つまりは、願望レベルと達成レベルの間にギャップが生まれた時に感ずる感情』だそうです。
結果としては、(たとえそれが家族であっても他人である友人であっても)情緒的な一体感を提供する者の数とサポートをしてもらえる近隣・友人数は、抑うつ傾向と孤独感が少ないということが統計的に認められ、対してサポートをしてもらえる家族・親戚の数と抑うつ傾向および孤独感との関連は統計学的に認められなかったとのことです。
つまりは、家族のサポートはそれ自体高齢者のwell-beingには寄与していないということになります。
その理由として、論文では、高齢者とその家族との間で行われるサポートが義務感を伴って行われることが多いのに対して、近隣・友人などの非親族との間で行われるサポートは義務感以外のもの に基づいてなされているからではないかと推測しており、さらに、互酬性の原理から考えても重荷になりがちなサポートを非親族との間で行うことは考え難いことから、そこには親密性が基礎にあると言っています。
親密性というものは、サポートのように行為として目に見えて確認できるものではないが、高齢者のwell-beingを考える歳に重要なのはむしろサポートという行為の裏にある親密性であるということです。
つまり、親密性を持って接することが高齢者のwell-beingを維持するということですね。
これからのさらなる高齢化社会において高齢者の活躍は不可欠です。
すべての人々がこのことを実践していくことが必要だと思いました。
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