カーボンとウシとブタ
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こんにちは。
船橋駅前の内科・循環器(心臓血管)内科・糖尿病内科『いちかわクリニック』院長の市川です。
『では弁膜症の治療はどうするの?』
そうです、治す方法もご紹介。
まず、重症度がそれほどでもなく、症状も内容であれば経過観察となります。
そして、程度にもよりますが、半年から一年に一回の心臓エコー検査を行い、進行していないかを見るべきと考えられます。
そして、心臓エコー検査にてある程度の重症度を認める場合、現在のところ根治を考えるのであれば、弁膜症の治療は心臓血管外科による手術を行うというのが一般的です。
手術までのつなぎや手術をもう少し待つべきと医師が判断すれば、症状が出ないようにする治療を行います。
つまりは心不全を予防するような治療ですので、治療は基本的には心不全の治療と同じです。
根治を考慮する場合は、先ほども申し上げた通り、手術となります。
手術は、弁を人工のもの(人工弁)に取り替える『弁置換術』と、自分の弁を温存し作り直す『弁形成術』が一般的です。
人工弁には、主にパイライト・カーボンという素材でできた機械弁と牛や豚の組織から作る生体弁があります。
機械弁は耐久性にすぐれ、一度の手術でその弁を一生使い続けることができると言われています。
しかし、機械弁のデメリットもあります。
パイライト・カーボンでできていますから、植え込まれた方にとっては、それ自体自分とは異なる『異物』です。
血液というのは自己と異なるものと接触すると固まる(凝固)性質がありますから、植え込んだ後は常に機械弁と血液が接触し続け、血液が固まり、いわゆる血栓というものを作る可能性があるのです。
血栓ができれば、それが脳の血管に詰まって脳梗塞を起こす可能性もあります。
弁自体も血栓で固められて動かなくなってしまう可能性もあります。
このため、機械弁を植え込んだ後は、血栓ができないようにするためにいわゆる『血液サラサラ』の薬であるワーファリンを一生飲み続けなければなりません。
これが最大のデメリットであり、例えば脳出血を起こすと、通常より大きな出血となり命に関わるということも考えられるのです。
ですから、ご高齢の方には勧めにくいということです。
また、出血しやすい病気を抱えている人はもちろんのこと、出産を控えている女性も出産自体が出血を伴うものであるということを考えると機械弁は勧められません。
一方、生体弁はそれ自体が生体ですから、機械弁と異なり血栓ができにくく、ワーファリンは手術直後以外は通常必要ありません。
ただし、耐久年数の問題があり、15年前後(もっと長いという先生もいらっしゃいます)で再手術が必要になると言われています。
どちらを選ぶかは、その方の年齢を含めた背景で決まるということになりますね。
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