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第13回:塩分を控える理由は?

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第13回:塩分を控える理由は?

こんにちは。

船橋駅前の内科・循環器(心臓血管)内科・糖尿病内科『いちかわクリニック』院長の市川です。

 


これまで何度も出て来た塩分

制限するのはわかったけど、なぜ?

この「なぜか?」を理解できると皆さん塩分制限を頑張れています。

 

皆さん、昔学校で「浸透圧」って習いませんでしたか?

 

半透膜を真ん中にして、水と塩水を入れてみると、徐々に水が減って塩水が増えます。

つまり、塩水の方に水が移動したということです。

言い換えれば、塩分が水を引きつけているのです。

 

そして、人間は細胞の集合体です。

さらに、細胞の膜は半透膜と同じです。

 

ですから、人間でもこれと同じことが起こります。

塩分を取りすぎると、血管の中に塩分が増える。

そして、その塩分は水分を引き付けるため、血管内の水分量が増える。

ですから、血管の壁に大きな圧を生み、高血圧となる。

 

いかがですか?

これで高血圧の完成です。

しかも、血管内の水分量が増えるということは、交通渋滞が起こりやすいということで心不全のリスクも高まるということになりますね(血管内の水分=血液=車でしたね。詳しくはこちら)。

 

塩分を制限することの大切さを理解できたと思います。

 

今日から塩分制限しましょう。

 


でも、私は高血圧ではないから大丈夫って人。。。

大丈夫ではないです。

 

あなたの血圧は、あなたがこれまで摂取した食塩の総量で決まっています。

 

1988年にイギリスの有名な医学雑誌であるBMJ(British Medical Journal)に載った論文には、1日の塩分摂取量とその人の一年間での血圧の上昇の度合いが調査されています(BMJ. 1988 Jul 30; 297(6644): 319–328.より)。

 

そこから計算すると、1日に1gの塩分を取り続けると1年で血圧は0.05~0.06mmHg程度上昇します。

『あれ?、大したことないな!』と思いましたか?

では、日本人の1日塩分摂取量の平均である13gで計算してみましょう。

0.05~0.06×13=0.65~0.78mmHg

ということで、1年で0.65~0.78mmHg程度血圧が上がります。

ということは、10年で6.5~7.8mmHg。

ということは、20年で13.0~15.6mmHg。

ということは、30年で19.5~23.4mmHg

ということは、40年で26.0~31.2mmHg

結構大きな数字になって来ました。

 

10歳の平均収縮期血圧(上の血圧)は大体110mmHgです。

ですから、上記に合算すると、、、

20歳で116.5~117.8mmHg。

30歳で123.0~125.6mmHg。

40歳で129.5~133.4mmHg。

50歳で136.0~141.2mmHg

はい、50歳で高血圧完成です。

 

人生100年時代と言われているに、平均的な塩分摂取量の日本人は、人生半ばで高血圧になってしまいます。

この結果からも、明らかに塩分多すぎます。

 

1日塩分必要量は、最低で1.5gと言われています。

この量は正直無理ではありますが、調理や味付け、食べ方の工夫で減塩はできます(こちらを参考にしてください)。

 

仮に、一日塩分摂取を7gまで減塩できれば、先ほどの計算では、80歳でようやく134.5mmHgでギリギリ高血圧になる一歩手前程度で済みます。

今からでも遅くありません。

あなたの将来の血圧は、それまでにどれだけの塩分を口にして来たかで決まるのです。

将来のため、今から頑張りましょう!

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