認知症と糖尿病
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こんにちは。
船橋駅前の内科・循環器(心臓血管)内科・糖尿病内科『いちかわクリニック』院長の市川です。
認知症について、最近「3型糖尿病」と言われていることをご存知ですか?
糖尿病には、1型と2型があります。
これに加えて、認知症が「3型糖尿病」と言われているのです。
なぜでしょう?
認知症には大きく分けて、「アルツハイマー型認知症」と「脳血管性認知症」があります。
アルツハイマー型認知症は、アミロイドβと言われる物質が脳に蓄積することから始まるものです。
脳血管性認知症は、脳血管の動脈硬化から始まるものです。
そして最近は、認知症の患者さんはこの二つのうちのどちらかというよりも、両方の要素が割合は個々に異なるもののある程度混ざっていると言われています。
そして、、、
脳血管性の認知症については、これまでのブログでもお話ししているように糖尿病が動脈硬化の主要な原因であることを考えると、糖尿病が原因となりうることは容易に伺えます。
では、アルツハイマー型認知症はどうでしょう?
実は、アルツハイマー型認知症も糖尿病が大きな原因であると言われています。
血糖が異常に上昇すると、血糖を下げるホルモンであるインスリンが大量に分泌されます。
つまり、「高血糖・高インスリン状態」となるわけです。しかも、糖尿病患者さんでは、インスリンが効果的に作用できない「インスリン抵抗性」という状態にもなります。
そして、、、
実は、アルツハイマー型認知症の原因であるアミロイドβは、それを分解する酵素がインスリンを分解する酵素と一部共通なのです。
ですから、もちろん高インスリンとなると、インスリンを分解するのにその酵素がフル稼働するため、アミロイドβが分解しきれずにいつの間にか蓄積してしまうわけです。
さらに、蓄積したアミロイドβはインスリン抵抗性を悪化させるとも言われており、悪循環となります。
また、高インスリン状態そのものも、体に炎症を起こすのです。ですから、脳も神経炎症と呼ばれる状態となり保護されなくなるのです。
さらにさらに、、、
先日お話しした高血糖状態で産生される「AGEs」は、血管の受容体(RAGE)と結合し動脈硬化を起こすことにより、血管機能が低下し、出来てしまったアミロイドβを血流を介して排泄する能力が落ち、脳への蓄積に拍車をかけます。
しかも、AGEsは、血管の受容体(RAGE)と結合することにより、血液中のアミロイドβを脳に引き寄せると考えられています。
もう良いことが一つも無いです。
さらにさらにさらに、、、
糖尿病患者さんが治療している中で起こりうる低血糖は、それを起こしたことがある人はない人に比べて認知症発症のリスクが2倍程度になるとの研究結果もあるのです。
これについては、人間においてどうしてそうなるのかの研究はまだ十分とは言えないものの、動物実験段階の研究では、低血糖そのものがアルツハイマー型認知症を促進しているということがわかっています。
なんだか、恐ろしいことばかりですね。
これが、認知症が「3型糖尿病」とも言われる所以です。
結局は、血糖を変動させることなく、過剰なインスリンも出すことなく、自分にあった食生活を把握していくことが大切ですね。
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