第1423回:高血圧を治療して認知症になる?
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こんにちは。
船橋駅前の内科・循環器(心臓血管)内科・糖尿病内科『いちかわクリニック』院長の市川です。
日々高血圧治療をさせていただいている中で、外来で患者さんに確認するべきことがあります。
それは、立ち上がった時とかに「ふらっ」とすることはありませんか?ということ。
高血圧治療においては、その多くの薬は血管を拡張させる(広げる)作用を持っています。
それにより血圧が下がるわけです。
本来、人は立ち上がった時に頭に血を送るために足の筋肉のポンプ機能などで、血液を心臓に戻そうとします。
しかし、血圧の薬を飲み、血管が広がっていると、この作用が乏しくなり頭に血が巡りにくくなることから先ほどのような症状が出やすくなります。
いわゆる、薬による「起立性低血圧」と言われるものです。
さて、今回は、この「起立性低血圧」が認知症のリスクにもなりうるというお話。
ある研究があります。
「Hayakawa T et al. Orthostatic blood pressure behavior in people with mild cognitive impairment predicts conversion to dementia. J Am Geriatr Soc 2015 Sep; 63:1868.」
軽度の認知障害のある方150人とそうでない方75人において、まずは各々起立することによる血圧の低下、つまり起立性低血圧の程度を見極めました。
すると、、、
軽度の認知障害のある方は、そう出ない方に比べて、より血圧の低下が大きかった(17mmHg対7mmHg)のです。
しかも、軽度の認知障害がある方をフォローアップしてみると、その中でも特に起立による低血圧の程度が大きかった人は、より多くの方が悪化し認知症となってしまっていたとのことでした。
もちろん、この研究では、全員が血圧の薬を飲んでいたというわけではありません。
研究における対象とした人数も必ずしも多くはありません。
ですから、血圧の薬が悪いということにもなりませんし、しかしながら、薬を内服していることにより起こる「起立性低血圧」を『薬のせいだから仕方がない』という風に放置することがリスクとなりうるという一つの警鐘となるのではないでしょうか?
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