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いつの間にか心筋梗塞

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いつの間にか心筋梗塞

こんにちは。

船橋駅前の内科・循環器(心臓血管)内科・糖尿病内科『いちかわクリニック』院長の市川です。

 


「いつの間にか骨折」

最近よくテレビで聞く言葉ですね。

 

 

そして、

いつの間にか心筋梗塞

 

これは、あまり聞きません。

 

みなさん、いつの間にか心筋梗塞を起こしていませんか?

そして、その人はその後どのようなリスクを背負うかご存知ですか?

 

こんな論文が最近発表されています。

『Qureshi WT et al. Silent myocardial infarction and long-term risk of heart failure: The ARIC study.
J Am Coll Cardiol 2018 Jan 2; 71:1.』

 

症状のない心筋梗塞を起こした人について、その後の心不全のリスクがどうであるかを調べたものです。

心筋梗塞は、当院のホームページでも詳しく示していますが、発症すると心臓の筋肉の一部が壊死(腐る)するために動かなくなり、心臓のポンプ機能が低下します。その結果、心不全を起こす可能性があるのです。

すべての心筋梗塞のうち、症状がないうちにいつの間にか発症しているのは全体の約半数と言われています。

そして、症状がなかった人たちのその後の心不全のリスクについては十分なデータがなく、今回初めて示されました。

結果、この研究では、約10年の観察で、9243人のうち症状のなかった心筋梗塞を発症した人は305人もいたそうです。ちなみに、症状を認め心筋梗塞の診断をされた人は331人いました。

そして、その後の観察で、全体で心不全を発症した人は976人にのぼりました。

 

さて、どのような人が心不全を起こしたのでしょう?

果たして、いつの間にか心筋梗塞を起こした人はどうだったのでしょう?

 

結果、、、

1,000人年あたりの心不全の発生率は、

全く心筋梗塞のない人では7.8件

症状のあった心筋梗塞では30.4件

症状のないいつの間にか心筋梗塞では16.2件でした。

結果として明らかに『いつの間にか心筋梗塞』の人は心不全のリスクが健康な人より高かったのです。

 

では、このような人たちをどういう風に見つけ出すか?

それは『心電図』です。

 

今回の論文でも、『いつの間にか心筋梗塞』を見つける方法として心電図が用いられています。

 

外来診療において医師から『しばらく心電図とってないから次来た時とりましょう』なんて言葉を聞くと思います。

「なんで何にも症状もないのに検査するの?」って普通は思いますよね?

ですから、私たち医師も説明を怠ることなく、結果として、検査に対して「する方」も「される方」もその意味をしっかり共有できるように心がけるべきだと思いました。

 

 

 

 

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