いちかわクリニック

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時々聞く『大動脈解離』

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時々聞く『大動脈解離』

こんにちは。

船橋駅前の内科・循環器(心臓血管)内科・糖尿病内科『いちかわクリニック』院長の市川です。

 


時々ニュースでも聞く病名の『大動脈解離

突然死の原因としてこの病名を聞くことが多いと思います。

 

でも一体どんな病気かご存知ですか?

そして、何がそんなに恐ろしいのでしょう?

 

『大動脈解離とは?』

本来、心臓から出る人間の一番太い血管、つまり幹線道路である『大動脈』は3層構造でできています。これを、内側から内膜・中膜・外膜と言います。

そして、なんらかの原因により内膜に傷がつき、そこから強い血圧によって中膜まで亀裂が入り、一気に中膜内をえぐるように上下に切れ込みが入ります。

つまり壁の中が避けていくわけです(解離と言います)。

痛そうですね。。。

これを大動脈解離と言います。

 

『原因には何があるの?』

主に動脈硬化が原因です。

動脈硬化を起こす生活習慣病である高血圧や糖尿病、脂質異常、喫煙などは全て原因となります。

特に高血圧は大きなリスクファクターとなります。

高血圧による血管の動脈硬化とそれに伴う内膜の損傷に加え、高血圧による強い圧力によって裂けやすくなるわけです。

そのほかにも、遺伝的に血管が弱いという方もいて、若くして大動脈解離を起こす方もいます。マルファン症候群が代表的なものです。

 

『大動脈解離の症状と合併症』

大きな血管が裂けることにより、突然の胸部の痛み及び背部の痛みが襲ってくることが多いです。

痛みは非常に強く耐え難いものであることがほとんどです。

まさに引き裂かれるような痛みだと表現する方もいます。

しかも、その痛みも、解離が進行してどんどん裂けていくと、その方向に痛みも移動していくという特徴があります(背中を上から下に痛みが移動するなど)。

 

また、大動脈解離は、突然死を来すことが多く、これは解離による合併症に伴い起こるものです。

  1. 破裂・・・裂けた血管は、当然脆弱となります。ここに血圧という強い圧が加わることにより血管が破裂することがあります。残念ながら突然死を来すことがほとんどである怖い合併症です。
  2. 臓器障害・・・大動脈からは多くの臓器を栄養するため枝分かれした血管が出ています。ですから、大動脈自体が裂けてしまうと、そこにある枝分かれした血管が巻き込まれてしまい、臓器への血液が流れなくなることがあります。大動脈からは特に主要な臓器への栄養血管が出ており、心臓を栄養する冠動脈や脳を栄養する頸動脈、腸を栄養する腸間膜動脈、腎臓を栄養する腎動脈、さらに手や足を栄養する動脈など多岐に渡ります。これらの血管が解離により血流を障害されると、その臓器の血流不足に応じた症状が出ることになり、心筋梗塞による胸痛や広範囲脳梗塞による意識障害、腸の壊死による腹痛や血便、腎不全、手足の冷感や痛みなど様々なものが挙げられます。
  3. 再解離・・・大動脈解離を起こした後に、適切な血圧のコントロール等を行なっていないと、再び解離が起こることがあります。もちろん症状としては、最初のものと同じような痛みが出現します。

 

『どのような検査を行う?』

大動脈解離を疑った場合にすべき検査は、まず造影剤を用いたCT検査です。

これにより、どこがどのように解離し、どのような合併症(臓器障害など)があるのかを把握でき、治療法の決定につながります。

また、臓器障害が疑われるのであれば、その臓器障害の程度を判定するために、例えば心臓であれば心臓超音波検査、脳であればCTやMRI検査なども同時に行われることがあります。

 

恐ろしさが伝わりましたか?

 

連日真面目なお話になってしまいました。すいません。。。

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