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第14回:味覚障害

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第14回:味覚障害

こんにちは。

船橋駅前の内科・循環器(心臓血管)内科・糖尿病内科『いちかわクリニック』院長の市川です。

 


年齢とともに味の好みが変化する。

これはみなさん、多くの方が経験することだと思います。

しかし、その中に、大きな問題がある方も。

 

つまり、味覚障害です。

 

味覚障害があるために味がよくわからず、そのため塩をたくさんふりかけて結果的に塩分過多に。

 

ですから、私は薄味だと思い込んでいたのに、それは味覚障害のためであり、実際は塩分をかなり多く取っている方もいるのです。

その結果、生活習慣病を発症してしまいます。

 

しかも、この味覚障害、それほど珍しい病気ではありません。

日本口腔咽頭科学会の調査によると、1990年に約13万8600人だった味覚障害の推計患者数は2003年には約24万5000人と倍増しています。

しかも、この数字は、実際に症状を自覚し、医療機関を受診して診断された人の数です。

つまり、症状を自覚していない潜在的な味覚障害患者はその何倍もいると予想されています。

あなたは大丈夫ですか?

 


そして、この味覚障害の二大原因は、食生活による亜鉛不足普段服用している薬物の影響です。

 

人が味を感じる場所は舌です。

舌の中でも、味蕾(みらい)と呼ばれる部分にある味細胞は、体の細胞の中で新陳代謝がとても活発な細胞で、大体1カ月ごとに生まれ変わっています。

そして、この味細胞の再生には亜鉛が重要な働きをするのです。

ですから、亜鉛不足になると味細胞が早くからその影響を受け、正常な働きができず、味覚障害を発症します。

一方で、普段服用している薬による味覚障害は、薬によって腸での亜鉛の吸収が妨げられる(キレートと言います)場合や薬そのものによる影響の場合もあるのです。

 

こうしてみると、亜鉛不足は大きな原因ですね。

 

自覚症状がない健康なボランティアにおいても、味覚機能が低下している例が多く,血液中の亜鉛の量も若者において低い例が見られ、日本人の平均的な食事からの亜鉛摂取量は 8~9mg/日程度 で、亜鉛の摂取量が必要量に達していない人は18~38%いると推定されているとの報告もあります(健康・栄養情報研究会:国民栄養の現状, 平成14年厚生労働省国民栄養調査結果. 東京, 第一出版;2005.   糸川嘉則:ビタミン•ミネラル. 日本統合医療学会 編, 統合医療, 基礎と臨床. 東京, ロータス企画 2005, p.169―172.より)。

このようなデータからも、食生活からの亜鉛摂取の減少が長い間潜在的に存在し、その結果、高齢化社会と相まって味覚障害患者が増加している事が推測されるのです。

 

あなたは本当に大丈夫でしょうか?

 

亜鉛の摂取で味覚を取り戻す方はたくさんいます。

食生活で亜鉛の摂取を意識しましょう。

亜鉛が多く含まれるものとしては、牡蠣、煮干し、カニ、牛肉、カシューナッツ、納豆などがあります。

そして、ご自分が味覚障害や亜鉛不足ではないかと感じたら、迷わず医療機関に受診しましょう

亜鉛不足は普段の健康診断ではわかりません。

お心当たりの方は一度受診をお勧めします。

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