第1649回:院長ブログ:心房細動で脳梗塞になるのはなぜ? ~血液サラサラの薬が必要になる理由をわかりやすく解説~
BLOG

BLOG
✅ 心房細動で脳梗塞が起こる理由
✅ 心臓のどこに血栓ができるのか
✅ CHA₂DS₂-VAScスコアとは
✅ 抗凝固薬が必要になる理由
心房細動では、心房(特に左心房)が細かく震えるように動くため、血液を十分に送り出せなくなります。
その結果、心臓の中で血液がよどみ、血栓(血のかたまり)ができやすくなります。
この血栓が血流に乗って脳の血管へ流れると、**脳梗塞(心原性脳塞栓症)**を起こします。
心原性脳塞栓症は重症になりやすく、後遺症が残ることも少なくありません。

【図1:心房細動から脳梗塞が起こる仕組み】
血栓が最もできやすい場所は、**左心耳(さしんじ)**と呼ばれる左心房の小さな袋状の部分です。
心房細動になると、この場所で血液がよどみやすくなり、血栓形成の原因となります。
そのため、心房細動では左心耳が重要なポイントになります。
すべての心房細動で同じリスクというわけではありません。
脳梗塞の危険性は、CHA₂DS₂-VAScスコアという評価方法を参考に判断します。
主な評価項目は、
などです。
点数が高いほど脳梗塞の危険性が高くなり、抗凝固薬が勧められる可能性があります。

【図2:CHA₂DS₂-VAScスコアの考え方】
心房細動では、脈を整える薬だけでは血栓は防げません。
脳梗塞を予防するためには、
などの抗凝固薬が必要になることがあります。
どの薬を使うかは、年齢や腎機能、他の病気などを考慮して決定します。
抗凝固薬は脳梗塞のリスクを大きく減らしますが、100%予防できるわけではありません。
また、出血しやすくなる副作用もあるため、定期的な診察や服薬管理が重要です。
自己判断で中止すると、脳梗塞の危険性が高まるため注意が必要です。
心房細動の治療は、「脈を整えること」と同じくらい脳梗塞を予防することが重要です。
当院では、CHA₂DS₂-VAScスコアなどを参考にリスクを評価し、患者さん一人ひとりに適した治療をご提案しています。
✅ 心房細動では血液がよどみ、心臓の中に血栓ができやすくなる
✅ 血栓が脳へ飛ぶと心原性脳塞栓症を起こす
✅ CHA₂DS₂-VAScスコアで脳梗塞リスクを評価する
✅ 抗凝固薬は脳梗塞予防のために重要な治療である
心房細動は、症状が少なくても脳梗塞の危険性がある病気です。
健康診断や心電図で心房細動を指摘された方、動悸や脈の乱れが気になる方は、お気軽にご相談ください。
心房細動の治療で最も重要なのは、「脈を整えること」だけではなく、「脳梗塞を防ぐこと」です。
抗凝固薬が必要かどうかは年齢だけでは決まりません。持病やこれまでの病歴を含めて総合的に判断することが大切です。
~薬による治療との違い、適応となる方、治療の流れやメリット・注意点についてわかりやすく解説します。