いちかわクリニック

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第1698回:院長ブログ:肥満と睡眠時無呼吸の関係は?痩せるといびき・無呼吸は改善する? ~肥満・いびき・高血圧はつながっています。眠っている間の「呼吸」にも注目しましょう~

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第1698回:院長ブログ:肥満と睡眠時無呼吸の関係は?痩せるといびき・無呼吸は改善する? ~肥満・いびき・高血圧はつながっています。眠っている間の「呼吸」にも注目しましょう~

この記事でわかること

  • 肥満で睡眠時無呼吸が起こりやすくなる理由
  • いびきと無呼吸の違い
  • 痩せると睡眠時無呼吸は改善するのか
  • 睡眠時無呼吸が高血圧・糖尿病と関係する理由
  • CPAPは痩せたらやめられるのか
  • 自宅でできる睡眠時無呼吸検査とは
  • どんな症状があれば検査を受けた方がよいのか

「太ってから、いびきがひどくなった」

家族から、

「いびきがすごい」
「寝ている間に呼吸が止まっている」
「急にガッと息をする」

と言われたことはありませんか?

肥満、とくに首や上気道周囲への脂肪蓄積は、**閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)**の重要なリスク因子です。

睡眠時無呼吸は単なる「いびきの病気」ではありません。

放置すると、

高血圧
糖尿病
不整脈
心血管疾患

などとも関連するため、肥満・メタボの方では特に注意したい病気です。


睡眠時無呼吸症候群とは?

睡眠中に呼吸が何度も止まったり、浅くなったりする病気を**睡眠時無呼吸症候群(SAS)**と呼びます。

その中で最も多いのが、睡眠中に上気道が狭くなったり閉塞したりする**閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)**です。

眠ると、のどの周囲の筋肉がゆるみます。

もともと気道が狭い方では、睡眠中にさらに狭くなり、空気が通りにくくなります。


肥満だとなぜ気道が狭くなる?

肥満になると脂肪はお腹だけにつくわけではありません。

首・舌・咽頭周囲など上気道の周囲にも脂肪が蓄積します。

すると気道のスペースが狭くなり、睡眠中に気道がつぶれやすくなります。

さらに肥満では腹部の脂肪によって呼吸運動にも影響が加わり、OSAを悪化させることがあります。

つまり、

肥満
↓
上気道周囲への脂肪蓄積
↓
気道が狭くなる
↓
睡眠中に気道が閉塞しやすくなる
↓
いびき・無呼吸

という流れです。

 

 

 

 

 

 

【図1:肥満で睡眠時無呼吸が起こる仕組み― 首・舌周囲の脂肪→上気道狭窄→いびき・無呼吸】


痩せている人なら睡眠時無呼吸にならない?

いいえ。

肥満は非常に重要なリスク因子ですが、痩せている方にもOSAは起こります。

たとえば、

顎が小さい
下顎が後退している
舌が大きい
扁桃が大きい
鼻が通りにくい
加齢によって上気道を支える筋肉が弱くなる

なども関係します。

特に日本人を含む東アジア人では、肥満がそれほど強くなくても顎顔面形態などの影響でOSAを発症することがあります。

したがって、

「太っていないから睡眠時無呼吸ではない」

とは言えません。


いびき=睡眠時無呼吸?

必ずしもそうではありません。

いびきだけで無呼吸を伴わない方もいます。

一方で、大きないびきの途中で、

静かになる
↓
呼吸が止まる
↓
ガッ、ゴホッと大きく呼吸する
↓
またいびきをかく

というパターンを家族から指摘される場合には、OSAを疑います。

重要なのは、いびきの大きさだけで重症度を判断しないことです。


睡眠中に呼吸が止まると何が起こる?

気道が閉塞すると、血液中の酸素濃度が低下します。

すると身体は危険を察知して、眠っているにもかかわらず覚醒反応を起こします。

再び呼吸が始まりますが、眠るとまた気道が閉塞します。

この繰り返しによって、

低酸素
睡眠の分断
交感神経の活性化

が夜間に何度も起こります。

本人には「何度も起きた」という自覚がないこともあります。


なぜ高血圧になるの?

睡眠中に無呼吸を繰り返すと、低酸素や覚醒反応によって交感神経が繰り返し刺激されます。

その結果、血圧が上昇しやすくなります。

特に、

朝の血圧が高い
夜間も血圧が十分下がらない
複数の降圧薬を使っても血圧が高い

といった場合には、OSAが背景にないか考えることがあります。

肥満+高血圧+大きないびきは、見逃したくない組み合わせです。


糖尿病とも関係する?

OSAでは、

睡眠の分断
低酸素
交感神経の亢進

などによってインスリン抵抗性が悪化する可能性があります。

さらに睡眠不足そのものが食欲や体重管理にも影響します。

つまり、

肥満 → OSA → 睡眠の質低下・代謝悪化 → さらに肥満しやすくなる

という悪循環に入ることがあります。


心臓にも影響する?

睡眠時無呼吸は、高血圧だけでなくさまざまな心血管疾患との関連が知られています。

特に、

心房細動などの不整脈
冠動脈疾患
心不全
脳卒中

などとの関連が重要です。

ただし、OSAを治療すればすべての心血管疾患を確実に防げる、という単純な話ではありません。

血圧・糖尿病・脂質・喫煙など、ほかのリスク因子も一緒に管理することが大切です。


日中の眠気がなければ大丈夫?

これも注意が必要です。

睡眠時無呼吸の代表的な症状は、

日中の強い眠気

ですが、すべての患者さんに強い眠気があるわけではありません。

本人は、

「よく眠れている」

と思っているのに、家族が無呼吸に気づいて受診するケースもあります。


こんな症状があれば睡眠時無呼吸を疑います

大きないびき
睡眠中の無呼吸を指摘された
息苦しくて目が覚める
朝起きたとき頭が痛い
口が乾いている
夜間に何度も目が覚める
日中眠い
集中力が低下する
高血圧がある
肥満・腹囲増加がある

こうした項目が重なる場合には、一度検査を検討しましょう。


痩せると睡眠時無呼吸は改善する?

肥満を伴うOSAでは、減量によって無呼吸の程度が改善することが期待できます。

首や上気道周囲、腹部などの脂肪が減少することで、気道の閉塞が起こりにくくなるためです。

体重減少によって、

いびき
無呼吸・低呼吸
血圧
血糖

などが改善する方もいます。

そのため減量は、肥満を伴うOSA治療の重要な柱です。


では痩せれば必ず治る?

いいえ。

ここが重要です。

睡眠時無呼吸は肥満だけで決まる病気ではありません。

顎の形や舌、扁桃、加齢なども関係するため、

十分に減量してもOSAが残ることがあります。

逆に、減量によって大きく改善する方もいます。

したがって、体重が減っただけで、

「もう治ったはず」

と判断することはできません。


CPAPとは?

中等症以上のOSAなどで広く使われる治療が**CPAP(持続陽圧呼吸療法)**です。

睡眠中に鼻などから空気を送り、陽圧によって気道が閉じないようにします。

CPAPは、

気道を物理的に開いて無呼吸を防ぐ治療

です。

適切に使用することで、無呼吸やいびき、日中の眠気などの改善が期待できます。


「CPAPを使えば痩せなくてもいい?」

そうではありません。

CPAPはOSAに対して非常に有効な治療ですが、肥満そのものを治療するものではありません。

肥満がある場合には、

CPAP+減量+運動+食事改善

を組み合わせることが重要です。

体重を減らすことは、

高血圧
糖尿病
脂質異常症
脂肪肝

などの改善にもつながります。


痩せたらCPAPをやめられる?

減量によってOSAが大きく改善し、CPAPが不要になる方はいます。

しかし、自己判断でCPAPを中止してはいけません。

「いびきが減った」

「体重が減った」

だけでは、睡眠中の無呼吸が十分改善したかどうかはわかりません。

減量後にCPAP中止を検討する場合には、睡眠検査で再評価して判断します。


どうやって検査する?

睡眠時無呼吸が疑われる場合、まず自宅で行える簡易検査が利用されることがあります。

睡眠中の、

呼吸
気流
酸素飽和度
脈拍

などを測定します。

自宅で普段に近い環境で検査できることが大きな利点です。


AHI・REIとは?

睡眠検査では、1時間あたりに無呼吸や低呼吸がどの程度起こっているかを評価します。

精密な睡眠検査ではAHI(無呼吸低呼吸指数)、自宅での簡易検査では測定方法に応じて**REI(呼吸イベント指数)**などが用いられます。

数字が大きいほど呼吸イベントが多いことを意味します。

ただし、簡易検査と精密検査の数値を完全に同じものとして扱うことはできません。


簡易検査だけでは十分でないこともあります

簡易検査は非常に便利ですが、実際に眠っていた時間を正確に測定できない機器もあり、OSAの程度を過小評価することがあります。

症状や背景からOSAが強く疑われるのに簡易検査で明らかでない場合や、より詳しい評価が必要な場合には、**終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)**を検討します。


CPAPの導入は検査結果だけで決める?

検査結果は非常に重要ですが、

症状
合併症
検査方法
無呼吸の重症度

などを総合的に評価します。

また日本では、保険診療でCPAPを導入する際に検査方法などに応じた基準があります。

「いびきがあるからCPAP」

ではありません。

まず適切に診断することが重要です。


肥満+睡眠時無呼吸では減量をどう進める?

基本はこれまでの肥満・メタボシリーズと同じです。

まず、

甘い飲み物
お菓子
菓子パン
ご飯・パン・麺類の過剰摂取
夜食

など、糖質の摂りすぎがないか確認します。

当院では肥満・メタボがある方では、糖質制限を有力な選択肢の一つとして考えています。


タンパク質と運動も大切

減量中に筋肉を大きく失わないよう、

肉
魚
卵
大豆製品

などから必要なタンパク質を確保します。

さらに、

ウォーキングなどの有酸素運動
+
筋力トレーニング

を組み合わせます。

単に体重計の数字だけを減らすのではなく、内臓脂肪を減らしながら筋肉を守ることを目指します。


お酒にも注意

アルコールは睡眠の質を悪化させ、上気道を支える筋肉をゆるめることで、いびきやOSAを悪化させる場合があります。

また飲酒は、

体重増加
中性脂肪上昇
夜食

などにもつながります。

特に就寝前の飲酒が習慣になっている方は見直してみましょう。


睡眠薬を飲んでいる場合は?

薬剤によっては呼吸に影響する可能性があります。

ただし、

睡眠時無呼吸があるから睡眠薬を全部やめる

と自己判断するのも適切ではありません。

使用している薬剤の種類や病状によって異なるため、医師に相談してください。


肥満+いびきで見直したい7つのポイント

① 体重・腹囲を確認する

肥満や内臓脂肪がないか評価します。

② 無呼吸を家族に確認する

いびきだけでなく呼吸停止がないか聞きます。

③ 甘い飲み物・糖質を見直す

減量につながる食生活をつくります。

④ ウォーキングをする

日常の活動量を増やします。

⑤ 筋トレを組み合わせる

筋肉を守りながら減量します。

⑥ 飲酒を見直す

特に就寝前の飲酒に注意します。

⑦ 疑わしければ睡眠検査を受ける

症状だけで自己判断しません。

 

 

 

 

 

 

【図2:肥満+いびきで見直す7つのポイント― 減量・飲酒・運動・睡眠検査】


当院の考え方

肥満の患者さんでは、

体重
血圧
血糖
脂質

だけでなく、睡眠についても確認することが重要だと考えています。

特に、

肥満+高血圧+大きないびき

がある場合、睡眠時無呼吸が隠れていないか注意が必要です。

睡眠時無呼吸が疑われる場合には適切に検査を行い、必要であればCPAPなどの治療を検討します。

同時に、肥満を伴う方では食事・運動による減量を進めます。

必要に応じて睡眠医療の専門施設や耳鼻咽喉科などへご紹介します。


まとめ

肥満は閉塞性睡眠時無呼吸の重要なリスク因子です。

肥満
↓
首・舌・咽頭周囲への脂肪蓄積
↓
上気道が狭くなる
↓
睡眠中に閉塞
↓
低酸素・睡眠の分断
↓
交感神経活性化

という変化が起こります。

そして睡眠時無呼吸は、

高血圧
糖尿病
不整脈
心血管疾患

などとも関係します。

肥満を伴うOSAでは減量が重要ですが、痩せたからといって必ず治るわけではありません。

CPAPを使用している方は自己判断で中止せず、必要に応じて睡眠検査で再評価しましょう。


当院からのメッセージ

いびきは、

「うるさいだけ」

と思われがちです。

しかし、その途中で呼吸が止まっている場合には、身体は眠っている間に低酸素と覚醒を繰り返している可能性があります。

特に、

肥満
高血圧
糖尿病
日中の眠気
家族からの無呼吸の指摘

がある方は、一度睡眠時無呼吸について調べてみる価値があります。

まずは内科クリニックへご相談ください。

必要に応じて専門医療機関へご紹介します。


院長のワンポイントアドバイス

肥満と睡眠時無呼吸は、

「太ると無呼吸が悪化し、睡眠が悪くなると体重管理もしにくくなる」

という悪循環をつくることがあります。

だからこそ、

無呼吸を治療することと
肥満を改善すること

を別々に考えないことが大切です。

CPAPが必要なら適切に使いながら、同時に減量を進める。

これが肥満を伴う睡眠時無呼吸の基本的な考え方です。


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次回予告

肥満・メタボシリーズ 第34回

肥満と心臓病の関係は?太ると心筋梗塞・心不全のリスクは上がる?

「肥満だけで心臓病のリスクは上がる?」

「高血圧・糖尿病・脂質異常症が重なるとなぜ危険?」

「痩せれば心臓のリスクも下げられる?」

次回は、内臓脂肪と動脈硬化、冠動脈疾患、心不全、肥満に伴う複数の心血管リスク、減量による予防効果まで詳しく解説します。

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