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第1664回:院長ブログ:心臓リハビリテーションとは? ~心筋梗塞やPCIのあと、「運動」が治療になる理由~

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第1664回:院長ブログ:心臓リハビリテーションとは? ~心筋梗塞やPCIのあと、「運動」が治療になる理由~

この記事でわかること

✅ 心臓リハビリとは何をする治療なのか

✅ なぜ心臓病のあとに運動してよいのか

✅ どのくらいの運動から始めるのか

✅ 心臓リハビリが再発予防につながる理由


心臓リハビリテーションとは?

「心筋梗塞になったのだから、なるべく動かないほうが心臓にはいいのでは?」

そう考える方もいるかもしれません。

しかし現在では、状態が安定した患者さんに対して、適切な運動を段階的に行うことは心臓病治療の重要な一部と考えられています。

心臓リハビリテーション、いわゆる「心臓リハビリ」は、単に体力を戻すための運動ではありません。

運動療法・食事・服薬・禁煙・危険因子の管理・心理的サポートなどを組み合わせて、再発予防と社会復帰を目指す包括的な治療です。

【図1:心臓リハビリは「運動だけ」ではない ― 6つの柱】


どんな人が心臓リハビリを行う?

心臓リハビリは、病状や適応に応じて、

  • 心筋梗塞
  • 狭心症
  • PCI(冠動脈ステント治療)後
  • CABG(冠動脈バイパス手術)後
  • 心不全
  • 心臓手術後

など、さまざまな心血管疾患の患者さんに行われます。

病気の種類や重症度によって内容は異なるため、一人ひとりに合わせたプログラムを作ることが大切です。


心筋梗塞のあとに運動して大丈夫?

心筋梗塞の直後に、いきなり激しい運動をするわけではありません。

血圧、脈拍、心電図、症状、心機能などを確認しながら、まずはベッド上での活動や歩行などから始め、少しずつ活動量を増やしていきます。

大切なのは、

「安静にし続ける」のでも、「自己流で頑張る」のでもなく、安全性を確認しながら段階的に体を動かすこと

です。


心臓リハビリではどんな運動をする?

中心となるのは有酸素運動です。

代表的には、

  • ウォーキング
  • 自転車エルゴメーター
  • トレッドミル

などがあります。

さらに状態に応じて、軽~中等度の筋力トレーニングを組み合わせることもあります。

運動中は、

心拍数・血圧・自覚症状

などを確認し、必要に応じて心電図モニターを使用します。

「たくさん運動するほど良い」のではなく、その患者さんにとって安全で効果的な強度を設定することが重要です。


運動の強さはどうやって決める?

患者さんによって心臓の状態も体力も違います。

そのため、単純に

「毎日30分歩けばいい」

「1万歩歩けばいい」

と全員に同じ運動を勧めるわけではありません。

必要に応じて**心肺運動負荷試験(CPX)**などを行い、運動中の心拍数や酸素摂取量などから安全で効果的な運動強度を設定します。

また、患者さん自身が感じる運動のきつさである自覚的運動強度も参考にします。

【図2:心臓リハビリの進め方 ― 入院中から退院後まで】


心臓リハビリは「退院したら終了」ではない

入院中の心臓リハビリは、まず安全に日常生活へ戻ることを目指します。

しかし、本当に重要なのはその後です。

退院後も状態に応じて、

  • 運動療法
  • 血圧管理
  • LDLコレステロール管理
  • 糖尿病管理
  • 食事
  • 禁煙
  • 服薬管理

などを続けていきます。

心臓病は、PCIや手術が成功したらすべて終わる病気ではありません。

再発を防ぐための長期管理まで含めて治療と考えることが重要です。


食事指導も「心臓リハビリ」

心臓リハビリという名前から、運動だけを想像しがちですが、食事管理も重要な柱です。

たとえば、

  • 塩分をとりすぎない
  • 適正なエネルギー摂取
  • 体重管理
  • 野菜・魚などを取り入れる
  • 糖尿病があれば血糖管理を行う

など、患者さんの状態に合わせて食生活を見直します。

極端な食事療法ではなく、長く続けられる生活習慣を作ることが重要です。


薬をきちんと飲むこともリハビリの一部

心筋梗塞やPCI後には、

  • 抗血小板薬
  • スタチンなどの脂質低下薬
  • 血圧を下げる薬
  • 心臓を保護するための薬

などが処方されることがあります。

「症状がなくなったから」と自己判断で中止してしまうと、再発リスクを高める可能性があります。

薬の目的を理解し、正しく服用することも心臓リハビリの大切な要素です。


心のケアも重要

心筋梗塞などを経験すると、

「また心筋梗塞になるのではないか」

「運動すると心臓が止まるのではないか」

と不安になる方もいます。

逆に、不安が強いために必要以上に活動を控え、体力が低下してしまうこともあります。

心臓リハビリでは、身体だけではなく、心臓病を経験した後の不安や社会復帰についてもサポートしていきます。


自宅で勝手に運動量を増やしていい?

特に心筋梗塞や心不全の後は、自己判断で急激に運動強度を上げることはおすすめできません。

運動中に、

  • 胸痛・胸部圧迫感
  • 強い息切れ
  • めまい
  • 冷汗
  • 動悸
  • 強い疲労感

などが出た場合には運動を中止し、症状に応じて医療機関へ相談してください。

強い胸痛が続く、冷汗や呼吸困難を伴うなどの場合には119番通報を含めた緊急対応が必要です。


心臓リハビリの本当の目的は?

心臓リハビリの目的は、

「運動できる体を作ること」だけではありません。

重要なのは、

再び心筋梗塞などを起こさないための生活を作ること

です。

運動をきっかけに、血圧、脂質、血糖、体重、喫煙、食生活、服薬などを総合的に見直します。

つまり心臓リハビリは、前回の記事で解説した**「二次予防」を実践するための治療**でもあります。


当院の考え方

心筋梗塞やPCIの後は、専門病院での治療が終了してからの長期管理も非常に重要です。

心臓リハビリを通して安全に運動を再開し、その後も地域の内科クリニックと専門医療機関が連携しながら、

血圧・LDLコレステロール・糖尿病・体重・喫煙などの危険因子を継続的に管理する

ことが再発予防につながります。

まずは内科クリニックへご相談ください。必要に応じて専門医療機関へご紹介します。


まとめ

✅ 心臓リハビリは運動だけではない包括的な治療

✅ 心筋梗塞やPCI後も、安全性を確認しながら運動を再開する

✅ 運動強度は患者さんごとに設定する

✅ 食事・服薬・禁煙・危険因子の管理も重要

✅ 最終的な目的は社会復帰と心血管疾患の再発予防


当院からのメッセージ

心臓病になったからといって、ずっと安静にして生活する必要があるわけではありません。

大切なのは、自分の心臓の状態に合った方法で、安全に活動を取り戻していくことです。

そして運動だけでなく、食事や薬、血圧、コレステロールなども一緒に見直すことで、将来の心臓と血管を守っていきましょう。


院長のワンポイントアドバイス

心臓リハビリは「病気になる前の生活に戻す」だけの治療ではありません。

心臓病を経験したことをきっかけに、運動・食事・服薬・危険因子を見直し、「再発しにくい生活へ作り直す」ことが本当の目的です。


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