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第1661回:院長ブログ:FFR(冠血流予備量比)とは? ~冠動脈が狭くても、ステントが必要とは限りません~

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第1661回:院長ブログ:FFR(冠血流予備量比)とは? ~冠動脈が狭くても、ステントが必要とは限りません~

この記事でわかること

✅ FFRとはどんな検査か

✅ なぜ「見た目の狭さ」だけでは不十分なのか

✅ FFRの数値はどう考えるのか

✅ IVUS・OCTとの違い


FFRとは?

FFR(Fractional Flow Reserve:冠血流予備量比)は、冠動脈の狭窄が、実際に心筋への血流をどの程度妨げているかを評価する検査です。

心臓カテーテル検査で冠動脈を造影すると、「血管が何%くらい狭くなっているか」を見ることができます。

しかし、

「狭く見えること」と「心筋への血流が不足していること」は必ずしも同じではありません。

そこでFFRを使って、その狭窄が本当に心筋虚血の原因になっているのかを調べます。

【図1:FFRで「見た目の狭さ」ではなく血流への影響を調べる仕組み】


なぜ見た目だけでは判断できないの?

たとえば冠動脈造影で、

「この血管は50~70%くらい狭そうだ」

という病変が見つかったとします。

かなり狭く見えても、実際には心筋へ十分な血液が届いていることがあります。

逆に、造影画像だけでは判 断しにくい狭窄が、血流に大きな影響を与えている場合もあります。

特にこうした中等度の狭窄では、見た目だけでPCI(ステント治療)が必要かどうかを決めるのが難しいことがあります。

FFRは、この判断を助けるために使われます。


FFRはどうやって測定する?

心臓カテーテル検査の際に、圧力を測定できる細いワイヤーを冠動脈内へ進めます。

狭窄部分を越えてワイヤーを置き、薬剤などを使用して冠動脈の血流を十分に増加させた状態で、

狭窄の手前と先の圧力の関係

を調べます。

狭窄によって血流が強く妨げられているほど、その先の圧力が低下します。


FFRの数字はどう見る?

FFRは数値で表示されます。

正常に近い冠動脈では、FFRは1.0に近い値になります。

一般に、

FFR 0.80以下

では、その狭窄が心筋虚血を起こしている可能性が高く、臨床状況と合わせてPCIなどの血行再建を検討する一つの基準になります。

一方、

FFRが0.80を超える場合

には、安定冠動脈疾患であればPCIを行わず、薬物治療を選択できる場合があります。

ただし、0.80という数字だけで機械的に治療を決めるわけではありません。

症状、病変の場所、冠動脈の状態、他の検査結果などを総合して判断します。


「狭いけれどステントを入れない」ということもある

患者さんにとって非常に重要なポイントです。

心臓カテーテル検査で狭窄を見つけると、

「狭いところがあるなら、ステントで広げたほうがいいのでは?」

と思うかもしれません。

しかし、安定した冠動脈疾患では、血流に大きな影響を与えていない狭窄にPCIを行っても、必ずしも患者さんにメリットがあるとは限りません。

FFRによって血流への影響を評価することで、必要な病変には治療を行い、不必要なPCIを避けることにつながります。


FFRとIVUS・OCTは何が違う?

これまでご紹介したIVUSやOCTと、FFRでは見ているものが根本的に違います。

IVUS・OCT

冠動脈を内側から観察して、

  • 血管径
  • プラーク
  • 石灰化
  • ステントの状態

など、血管の**「形態」**を評価します。

FFR

狭窄によって心筋への血流がどの程度妨げられているのかという**「機能」**を評価します。

つまり、

IVUS・OCT=血管が「どうなっているか」

FFR=その狭窄が「どれだけ血流を妨げているか」

を見る検査です。

【図2:FFR・IVUS・OCTの違いとPCIを判断する流れ】


FFRが低ければ必ずステント?

必ずしもそうではありません。

FFRは非常に重要な判断材料ですが、治療方針はFFRだけでは決まりません。

たとえば、

  • 病変の場所
  • 病変の数
  • 冠動脈の複雑さ
  • 症状
  • 心機能
  • 糖尿病などの合併症
  • PCIとCABGのどちらが適しているか

などを総合的に考えます。

複雑な多枝病変などでは、FFRで虚血が確認されても、PCIではなくCABGが適している場合があります。


FFR以外の方法もある?

あります。

近年は、薬剤によって最大充血を起こさなくても冠動脈の生理学的評価ができるiFRなどの指標も使用されています。

また、冠動脈CTの画像から血流への影響を推定するFFR-CTという方法もあります。

冠動脈疾患の診断は、「どのくらい狭いか」だけではなく、その狭窄が心臓にどのような影響を与えているのかを評価する方向へ進んでいます。


FFRにはリスクもある?

FFRは心臓カテーテル検査中に冠動脈へワイヤーを入れて行うため、侵襲を伴います。

まれですが、

  • 冠動脈の損傷
  • 冠攣縮
  • 不整脈

などが起こる可能性があります。

また、最大充血を得るための薬剤を使用する場合には、一時的に胸部不快感、息苦しさなどを感じることがあります。


当院の考え方

冠動脈疾患では、

「狭い血管を見つけること」

「治療すべき狭窄を見極めること」

は同じではありません。

安定した冠動脈疾患では、見た目だけでPCIを決めるのではなく、必要に応じてFFRなどを利用して心筋虚血を評価することが重要です。

当院では症状や検査結果を総合的に判断し、カテーテル検査や専門的治療が必要な場合には適切な医療機関へご紹介します。


まとめ

✅ FFRは冠動脈狭窄が血流に与える影響を調べる検査

✅ 冠動脈が狭く見えても、必ずPCIが必要とは限らない

✅ 一般にFFR 0.80以下が血行再建を検討する一つの基準

✅ IVUS・OCTは「形態」、FFRは「機能」を評価する

✅ FFRだけではなく、症状や病変などを総合して治療法を決める


当院からのメッセージ

心臓カテーテル検査で「冠動脈が狭くなっています」と言われると、不安になるのは当然です。

しかし、狭窄があることと、すぐにステントが必要なことは同じではありません。

現在はFFRなどを利用して、その狭窄が心臓への血流に本当に影響しているのかを評価し、必要な治療を選択できるようになっています。


院長のワンポイントアドバイス

FFRの最大のポイントは、「狭いか?」ではなく「その狭さに意味があるか?」を調べることです。

冠動脈治療では、画像で目立つ狭窄をすべて治すのではなく、患者さんにとって本当に治療する価値のある病変を見極めることが重要です。


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