【図2:PCI治療の流れと治療後の注意点】
PCIにはどんな合併症がある?
PCIは広く行われている治療ですが、カテーテルを血管内へ入れる治療であり、リスクがゼロではありません。
代表的なものには、
- 穿刺部の出血・血腫
- 冠動脈の損傷
- 血管の急性閉塞
- 不整脈
- 造影剤アレルギー
- 腎機能の悪化
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
などがあります。
実際のリスクは患者さんの状態や病変の複雑さなどによって異なります。
ステントを入れた後に「血液サラサラの薬」が必要なのはなぜ?
ステントを留置した直後は、ステントの部分に血小板が集まり、血栓ができる可能性があります。
これを防ぐために、通常は抗血小板薬を使用します。
代表的なのは、
などです。
一定期間、2種類の抗血小板薬を併用する**DAPT(抗血小板薬2剤併用療法)**が行われることがあります。
服用期間は、心筋梗塞か安定冠動脈疾患か、使用したステント、出血リスクなどによって異なります。
自己判断で薬を中止することは非常に危険です。
PCIを受ければ、もう心筋梗塞にならない?
残念ながら、そうではありません。
PCIで治療できるのは、基本的には治療した冠動脈の病変です。
冠動脈全体に存在する動脈硬化そのものがなくなるわけではないため、別の場所に新しい狭窄や心筋梗塞が起こる可能性があります。
そのため治療後は、
- LDLコレステロールの管理
- 血圧管理
- 糖尿病の管理
- 禁煙
- 適切な運動
- 体重管理
- 処方薬を正しく服用する
といった**再発予防(二次予防)**が非常に重要です。
PCIとCABGはどう使い分ける?
冠動脈の病変が複雑な場合には、PCIではなく**CABG(冠動脈バイパス手術)**が適していることがあります。
たとえば病変の場所や数、複雑さ、糖尿病の有無、心機能、年齢や全身状態などを考慮して治療法を選択します。
どちらが優れているという単純なものではなく、患者さんごとに最適な方法を選ぶことが重要です。
当院の考え方
PCIは、特に急性心筋梗塞では命を救うために非常に重要な治療です。
一方、安定した狭心症では「狭い血管を見つけたら、とにかくステントを入れる」という治療ではありません。
症状、心筋虚血、冠動脈病変の状態、薬物治療の効果などを総合的に判断し、必要に応じて専門医療機関と連携して適切な治療につなげます。
まとめ
✅ PCIはカテーテルで冠動脈の血流を改善する治療
✅ 現在は薬剤溶出性ステント(DES)が広く使用されている
✅ 冠動脈が狭いだけで必ずステントが必要になるわけではない
✅ 急性心筋梗塞では緊急PCIが極めて重要
✅ PCI後は抗血小板薬と動脈硬化の再発予防が重要
当院からのメッセージ
「ステントを入れたから、心臓病の治療は終わり」と考えるのは適切ではありません。
PCIは狭くなった血管を治療する非常に有効な方法ですが、その後の血圧・コレステロール・糖尿病・喫煙などの管理こそが、将来の心筋梗塞を防ぐために重要です。
PCIを受けた後も、継続して心臓と血管を守っていきましょう。
院長のワンポイントアドバイス
「ステントを入れた=動脈硬化が治った」ではありません。
PCI後こそ、LDLコレステロールをはじめとした危険因子をしっかり管理し、処方された抗血小板薬を自己判断で中止しないことが大切です。
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