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第1657回:院長ブログ:PCI(冠動脈ステント治療)とは? ~狭くなった心臓の血管をカテーテルで広げる治療~

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第1657回:院長ブログ:PCI(冠動脈ステント治療)とは? ~狭くなった心臓の血管をカテーテルで広げる治療~

この記事でわかること

✅ PCIとはどんな治療か

✅ バルーン・ステントは何をしているのか

✅ 狭心症と心筋梗塞でPCIの意味がどう違うのか

✅ ステント治療後になぜ薬が必要なのか


PCIとは?

PCI(Percutaneous Coronary Intervention:経皮的冠動脈インターベンション)は、狭くなったり詰まったりした冠動脈を、カテーテルを使って広げる治療です。

心臓の筋肉に血液を送っている冠動脈が動脈硬化によって狭くなると、心筋へ十分な酸素が届かなくなり、狭心症や心筋梗塞の原因になります。

PCIでは手首や足の付け根などの動脈からカテーテルを挿入し、冠動脈の病変まで進めて治療します。

 

 

 

 

 

 

【図1:PCIで狭くなった冠動脈を広げる仕組み】


PCIはどのように行う?

基本的な治療の流れは、

① カテーテルを冠動脈の入り口まで進める
② 細いガイドワイヤーを狭窄部の先まで通す
③ 必要に応じてバルーンで狭窄部を広げる
④ ステントを病変部に留置する
⑤ 冠動脈の血流が改善したことを確認する

というものです。

ステントとは、金属製の非常に細かな網目状の筒です。

バルーンで拡張するとステントが血管の内側に残り、血管が再び狭くなるのを防ぎます。


現在のステントは「薬剤溶出性ステント」が中心

現在広く使用されているのが、**薬剤溶出性ステント(DES:Drug-Eluting Stent)**です。

ステント表面から薬剤が放出されることで、治療した部分の組織が過剰に増殖することを抑え、再狭窄を減らすよう設計されています。

ただし、ステントを入れれば動脈硬化そのものが治るわけではありません。

PCI後も、再発予防のための治療が非常に重要です。


狭心症なら、狭いところは全部ステントにする?

ここはとても重要です。

冠動脈が狭く見えるからといって、必ずPCIを行うわけではありません。

安定した冠動脈疾患では、症状の程度や心筋虚血の有無、病変の場所、薬物治療による改善などを総合的に判断します。

必要に応じてFFRなどを用いて、その狭窄が実際に心筋への血流を妨げているのかを評価してから治療方針を決めます。

つまり、

「狭窄がある=ステント」ではない

ということです。


心筋梗塞ではPCIの意味が違う

急性心筋梗塞では、冠動脈が血栓によって突然詰まり、心筋への血流が途絶えていることがあります。

この場合は一刻も早く血流を再開させる必要があります。

そのため緊急PCIは、閉塞した冠動脈を再開通させ、失われる心筋をできるだけ少なくするための重要な治療になります。

強い胸痛や冷汗、呼吸困難などが続く場合には、クリニックの診療時間を待たず、救急要請が必要になることがあります。

 

 

 

 

 

 

【図2:PCI治療の流れと治療後の注意点】


PCIにはどんな合併症がある?

PCIは広く行われている治療ですが、カテーテルを血管内へ入れる治療であり、リスクがゼロではありません。

代表的なものには、

  • 穿刺部の出血・血腫
  • 冠動脈の損傷
  • 血管の急性閉塞
  • 不整脈
  • 造影剤アレルギー
  • 腎機能の悪化
  • 心筋梗塞
  • 脳梗塞

などがあります。

実際のリスクは患者さんの状態や病変の複雑さなどによって異なります。


ステントを入れた後に「血液サラサラの薬」が必要なのはなぜ?

ステントを留置した直後は、ステントの部分に血小板が集まり、血栓ができる可能性があります。

これを防ぐために、通常は抗血小板薬を使用します。

代表的なのは、

  • アスピリン
  • クロピドグレル
  • プラスグレル

などです。

一定期間、2種類の抗血小板薬を併用する**DAPT(抗血小板薬2剤併用療法)**が行われることがあります。

服用期間は、心筋梗塞か安定冠動脈疾患か、使用したステント、出血リスクなどによって異なります。

自己判断で薬を中止することは非常に危険です。


PCIを受ければ、もう心筋梗塞にならない?

残念ながら、そうではありません。

PCIで治療できるのは、基本的には治療した冠動脈の病変です。

冠動脈全体に存在する動脈硬化そのものがなくなるわけではないため、別の場所に新しい狭窄や心筋梗塞が起こる可能性があります。

そのため治療後は、

  • LDLコレステロールの管理
  • 血圧管理
  • 糖尿病の管理
  • 禁煙
  • 適切な運動
  • 体重管理
  • 処方薬を正しく服用する

といった**再発予防(二次予防)**が非常に重要です。


PCIとCABGはどう使い分ける?

冠動脈の病変が複雑な場合には、PCIではなく**CABG(冠動脈バイパス手術)**が適していることがあります。

たとえば病変の場所や数、複雑さ、糖尿病の有無、心機能、年齢や全身状態などを考慮して治療法を選択します。

どちらが優れているという単純なものではなく、患者さんごとに最適な方法を選ぶことが重要です。


当院の考え方

PCIは、特に急性心筋梗塞では命を救うために非常に重要な治療です。

一方、安定した狭心症では「狭い血管を見つけたら、とにかくステントを入れる」という治療ではありません。

症状、心筋虚血、冠動脈病変の状態、薬物治療の効果などを総合的に判断し、必要に応じて専門医療機関と連携して適切な治療につなげます。


まとめ

✅ PCIはカテーテルで冠動脈の血流を改善する治療

✅ 現在は薬剤溶出性ステント(DES)が広く使用されている

✅ 冠動脈が狭いだけで必ずステントが必要になるわけではない

✅ 急性心筋梗塞では緊急PCIが極めて重要

✅ PCI後は抗血小板薬と動脈硬化の再発予防が重要


当院からのメッセージ

「ステントを入れたから、心臓病の治療は終わり」と考えるのは適切ではありません。

PCIは狭くなった血管を治療する非常に有効な方法ですが、その後の血圧・コレステロール・糖尿病・喫煙などの管理こそが、将来の心筋梗塞を防ぐために重要です。

PCIを受けた後も、継続して心臓と血管を守っていきましょう。


院長のワンポイントアドバイス

「ステントを入れた=動脈硬化が治った」ではありません。

PCI後こそ、LDLコレステロールをはじめとした危険因子をしっかり管理し、処方された抗血小板薬を自己判断で中止しないことが大切です。


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