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第1684回:院長ブログ:糖質制限は肥満に有効?「糖質を減らす」と体重が落ちる理由 ~糖質制限は「我慢して食べないダイエット」ではありません~

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第1684回:院長ブログ:糖質制限は肥満に有効?「糖質を減らす」と体重が落ちる理由 ~糖質制限は「我慢して食べないダイエット」ではありません~

この記事でわかること

  • 糖質制限で体重が減る理由
  • 糖質とインスリンの関係
  • 最初に体重が落ちやすい理由
  • 「糖質を減らせばカロリーは関係ない」のか
  • 糖質を減らした代わりに何を食べるのか
  • 糖質制限と内臓脂肪・中性脂肪の関係
  • 糖質制限を安全に続けるためのポイント

糖質制限は本当に痩せる?

肥満・メタボの診療をしていると、

「糖質制限は本当に効果がありますか?」

「カロリー制限とどちらがいいですか?」

「ご飯を食べなければ、肉は好きなだけ食べてもいいですか?」

といった質問をよく受けます。

結論から言えば、糖質を減らす食事法は、肥満・メタボの体重管理に有効な選択肢の一つです。

特に、それまでご飯・パン・麺類・菓子・甘い飲料などを多く摂っていた方では、糖質を見直すことで体重が減りやすくなることがあります。

ただし、

「糖質さえ減らせば、何をどれだけ食べてもよい」

という意味ではありません。


そもそも「糖質」とは?

糖質というと砂糖だけをイメージする方がいますが、それだけではありません。

代表的な糖質源には、

ご飯
パン
麺類
餅
いも類
菓子類
砂糖
甘い飲料
果物

などがあります。

前回の記事で説明したように、果物にも果糖などの糖質が含まれています。

「甘くないから糖質ではない」というわけでもありません。

たとえば白いご飯は甘く感じませんが、主成分であるデンプンは消化されてブドウ糖になります。


糖質を食べるとインスリンが分泌される

糖質制限を理解するうえで重要なのが、インスリンです。

糖質を摂取すると、消化・吸収されたブドウ糖などによって血糖値が上昇します。

すると膵臓からインスリンが分泌されます。

インスリンには、血液中のブドウ糖を筋肉などの細胞に取り込ませたり、余ったエネルギーを蓄えたりする働きがあります。

つまりインスリンは、生命維持に欠かせない重要なホルモンです。

一方で、糖質を頻繁かつ大量に摂取し、エネルギー過剰の状態が続けば、余剰エネルギーを脂肪として蓄積しやすい環境にもつながります。

ここで大切なのは、

「インスリン=悪いホルモン」ではない

ということです。

問題は、糖質の過剰摂取などによって、血糖値とインスリンが高い状態を繰り返すような食生活です。


糖質を減らすと何が起こる?

糖質の摂取量を減らすと、食後の血糖上昇が小さくなり、それに伴って必要なインスリン分泌も少なくなります。

さらに、糖質から得られるエネルギーが減ると、身体は脂肪酸などをエネルギー源として利用する割合を高めていきます。

この変化が、糖質制限で体脂肪を減らしていく際の重要な背景の一つです。

ただし、

「インスリンを下げれば自動的に脂肪が溶ける」

という単純な仕組みではありません。

体脂肪の増減には、一日の総エネルギー摂取量、食欲、活動量、睡眠なども関係します。

 

 

 

 

 

 

【図1:糖質を減らすと体の中で何が変わる?― 血糖・インスリン・脂肪利用の流れ】


糖質制限を始めると最初に体重が落ちやすいのはなぜ?

糖質制限を始めて、

「数日で体重がかなり落ちた」

という経験をする方がいます。

しかし、そのすべてが体脂肪ではありません。

身体は糖質の一部をグリコーゲンとして肝臓や筋肉に蓄えています。

グリコーゲンは水分とともに蓄えられているため、糖質摂取量を減らしてグリコーゲンが減ると、それに伴って体内の水分も減ります。

したがって糖質制限開始直後の比較的大きな体重減少には、水分の減少も含まれます。

ここは非常に重要です。

体重が減った量=そのまま脂肪が減った量

ではありません。


それでも糖質制限が肥満に有効な理由

では、水分が減っているだけなのでしょうか。

もちろん、そうではありません。

糖質制限を継続すると、実際に体脂肪が減っていくことがあります。

その理由は一つではありません。

① 糖質から摂っていたエネルギーが減る

ご飯・パン・麺・お菓子・ジュースなどを減らすことで、結果として一日の摂取エネルギーが減ることがあります。

② タンパク質などによって満足感を得やすくなる

糖質を減らす際に肉・魚・卵・大豆製品などを適切に摂ると、食事の満足感が得られ、自然に食べる量が減る人もいます。

③ 甘いものや間食が減る

糖質制限をきっかけに、菓子・甘い飲料・夜食などが減ることも大きな要因です。

④ 脂肪をエネルギーとして利用する割合が高まる

糖質の供給が減ると、身体は脂肪酸などをエネルギーとして利用する割合を増やします。

こうした複数の変化が組み合わさって体重減少につながります。


「糖質を減らせばカロリーは無関係」は間違い

ここは誤解されやすいところです。

糖質を減らせば、

「肉はいくらでも食べていい」

「チーズもナッツも好きなだけ食べていい」

というわけではありません。

脂質はエネルギー密度の高い栄養素です。

糖質を減らした分以上に、脂身の多い肉、バター、チーズ、ナッツなどを大量に食べれば、体重が減らないこともあります。

つまり、

糖質の量は重要。
しかし総エネルギー量が無関係になるわけではない。

この両方を理解する必要があります。


糖質制限では「何を食べないか」より「何を食べるか」

糖質制限というと、

ご飯を抜く
パンを抜く
麺を抜く

ことばかりに目が向きがちです。

しかし、長く続けるためには、

糖質を減らした代わりに何を食べるのか

の方が重要です。

基本となるのは、

肉
魚
卵
大豆製品
葉物野菜や糖質の少ない野菜
海藻
きのこ類

などです。

特に重要なのがタンパク質を不足させないことです。

体重を減らすときには脂肪だけでなく筋肉も減る可能性があります。

そのため、適切なタンパク質摂取と運動を組み合わせ、できるだけ筋肉を維持しながら体脂肪を減らすことが重要です。


脂質はどう考える?

糖質を減らすと、相対的に脂質から摂るエネルギーの割合が増えることがあります。

だからといって、

「脂質はいくら食べても大丈夫」

ではありません。

魚、オリーブ油、ナッツ類などを適量利用しながら、脂身の多い加工肉などに偏らないことも大切です。

また、前回説明した通り、ナッツも種類によって糖質量が異なります。

特にカシューナッツはナッツ類の中では糖質が比較的多いため、「ナッツだから低糖質」と思い込まないようにしましょう。


野菜なら何でも無制限?

野菜も種類によって糖質量が違います。

葉物野菜、きのこ類などは比較的糖質が少ない一方、

いも類
かぼちゃ
とうもろこし

などは糖質を比較的多く含みます。

「野菜だから全部同じ」と考えるのではなく、糖質制限では食品ごとの違いを見ることが大切です。


果物はどうする?

前回の記事でも触れましたが、果物には果糖などの糖質が含まれます。

ビタミンや食物繊維を含む一方で、

「健康によいから積極的にたくさん食べる」

必要はありません。

特に、

肥満
メタボ
高血糖
高トリグリセライド血症
脂肪肝

などがある方では、果物も糖質源の一つとして量を考えます。

果汁ジュースやドライフルーツなどは、特に糖質を摂取しやすいため注意が必要です。


糖質制限と内臓脂肪・中性脂肪

糖質制限は、体重だけでなく、中性脂肪や内臓脂肪の改善につながることがあります。

特に、精製された炭水化物や砂糖を多く摂っていた方では、糖質摂取量を減らすことで中性脂肪が低下することがあります。

HDLコレステロールが改善することもあります。

一方、LDLコレステロールの反応には個人差があります。

糖質制限によって脂質摂取が大きく増えた人の中には、LDLコレステロールが上昇する人もいます。

したがって、

「体重が減ったからすべての検査値も良くなっているはず」

と考えず、定期的な血液検査で確認することが重要です。


糖質はどこまで減らせばいい?

糖質制限には、

軽めの糖質制限から、かなり厳格な低糖質食までさまざまな方法があります。

全員が同じ量まで糖質を減らす必要はありません。

たとえば、

毎日飲んでいるジュースをやめる
お菓子を減らす
ご飯の大盛りをやめる
麺+ご飯という重ね食いをやめる

だけでも、それまで糖質摂取量が多かった人では大きな改善になることがあります。

大切なのは、

「どこまで減らせば最も痩せるか」ではなく、「どの程度なら健康状態を確認しながら長く続けられるか」

です。


極端な糖質制限には注意が必要な人も

糖質制限はすべての人が自己流で行ってよいわけではありません。

特に、

糖尿病治療薬やインスリンを使用している方
腎機能に問題がある方
妊娠・授乳中の方
低栄養やフレイルが心配される高齢者
摂食障害の既往がある方

などは注意が必要です。

糖尿病治療中の方では、糖質摂取量を急に減らすと薬の種類によっては低血糖の危険があります。

また、SGLT2阻害薬を使用している方が極端な糖質制限やケトジェニック食を行う場合には、正常血糖ケトアシドーシスにも注意が必要です。

自己判断で極端な制限を始めるのではなく、主治医に相談してください。


糖質制限を成功させる7つのポイント

① まず「液体の糖質」を減らす

ジュース、加糖コーヒー、スポーツドリンクなどを見直します。

② 菓子類を日常食にしない

「少しだけ」を一日中繰り返す習慣に注意します。

③ 主食の量を見直す

ご飯・パン・麺類を漫然と食べすぎていないか確認します。

④ タンパク質をしっかり確保する

肉・魚・卵・大豆製品などを利用します。

⑤ 糖質の少ない野菜などを取り入れる

食物繊維や微量栄養素にも配慮します。

⑥ 脂質を無制限にしない

「糖質ゼロなら何でも好きなだけ」は避けます。

⑦ 体重だけでなく検査値を見る

血糖、HbA1c、中性脂肪、LDLコレステロール、肝機能なども確認します。

 

 

 

 

 

 

【図2:糖質制限を安全に続ける7つのポイント―「減らす食品」と「しっかり食べる食品」】


当院の考え方

当院では、肥満・メタボ対策として糖質制限を積極的な選択肢の一つと考えています。

特に、

ご飯を大盛りにする
麺とご飯を一緒に食べる
お菓子を頻繁に食べる
甘い飲料を毎日飲む
果物を健康食品として大量に食べる

といった食生活では、まず糖質量を見直す価値があります。

一方で、当院が目指すのは、

「とにかく糖質をゼロにすること」

ではありません。

肥満治療の目的は、体重計の数字だけを減らすことではなく、内臓脂肪を減らし、血圧・血糖・脂質・脂肪肝などを改善し、将来の心血管疾患や糖尿病などのリスクを下げることです。

そのため、

体重・BMI・腹囲・血圧・血糖・HbA1c・脂質・肝機能・腎機能

などを確認しながら、その方に適した糖質量を考えていきます。

肥満・メタボや糖質制限について気になる方は、まずは内科クリニックへご相談ください。

必要に応じて専門医療機関へご紹介します。


まとめ

糖質制限は、肥満・メタボの体重管理に有効な選択肢です。

糖質を減らすことで、

食後血糖とインスリン分泌が抑えられる
脂肪をエネルギーとして利用する割合が高まる
菓子や甘い飲料などからの摂取量が減る
食事内容によっては満足感が高まり、自然に総摂取量が減る

といった複数の変化が起こります。

ただし、

「糖質を減らせばカロリーは関係ない」
「肉や脂質なら無制限に食べてよい」

ということではありません。

糖質制限を成功させるポイントは、

糖質を減らすことだけではなく、減らした後に何を食べるか。

そして、短期間の体重だけで判断せず、長く続けられ、検査値も改善する食事法にすることです。


当院からのメッセージ

糖質制限は、

「食べる量をひたすら我慢するダイエット」

とは少し考え方が違います。

まず、

ご飯・パン・麺・菓子・甘い飲料・果物などから、自分がどのくらい糖質を摂っているのか

を知ることから始めましょう。

そのうえで、タンパク質など必要な栄養を確保しながら、無理なく糖質を減らしていくことが大切です。


院長のワンポイントアドバイス

糖質制限を始めるなら、最初から「糖質ゼロ」を目指す必要はありません。

まず見直したいのは、

甘い飲み物
お菓子
主食の大盛り
麺+ご飯などの重ね食い

です。

このあたりに心当たりがあれば、そこから減らしてみましょう。

そして、

体重だけでなく腹囲と血液検査の変化を見る。

これが、糖質制限が本当に自分に合っているかを判断するうえで重要です。


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次回予告

肥満・メタボシリーズ 第20回

糖質制限で何を食べる?肉・魚・卵・大豆製品の上手な選び方

糖質を減らしたら、その代わりに何を食べればよいのでしょうか。

次回は、糖質制限で重要になるタンパク質について、肉・魚・卵・大豆製品それぞれの特徴を整理します。

さらに、**「肉ならいくらでも食べていい?」「脂身は?」「卵は?」「タンパク質を増やすと腎臓に悪い?」**といった疑問まで、実践的に解説します。

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