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第1708回:院長ブログ:家庭血圧の正しい測り方―朝・夜いつ測る?何回測る? ~家庭血圧は「測ること」より「正しく、同じ条件で続けること」が大切です~

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第1708回:院長ブログ:家庭血圧の正しい測り方―朝・夜いつ測る?何回測る? ~家庭血圧は「測ること」より「正しく、同じ条件で続けること」が大切です~

この記事でわかること

  • 家庭血圧はなぜ重要なのか
  • どんな血圧計を選べばよいのか
  • 朝はいつ測ればよいのか
  • 夜はいつ測ればよいのか
  • 1回だけでよいのか、2回測るのか
  • 1回目と2回目のどちらを記録するのか
  • 血圧を正しく測る姿勢
  • 高い数字が出たときにどうすればよいのか

今回はJSH2025を基本に、日本高血圧学会が2025~2026年に公開している最新の家庭血圧・早朝高血圧に関する情報も確認して構成しています。日本高血圧学会は現在も家庭血圧を高血圧診療の重要な柱として位置づけています。


家庭血圧は「自宅で測った参考値」ではありません

「病院で血圧を測っているから、自宅では測らなくていいですよね?」

そう思っている方もいるかもしれません。

しかし現在の高血圧診療では、家庭血圧は非常に重要な情報です。

なぜなら、診察室で測った血圧だけでは、

普段の血圧
朝の血圧
夜の血圧
白衣高血圧
仮面高血圧
降圧薬が一日を通して効いているか

などを十分に把握できないことがあるからです。

日本高血圧学会も、高血圧の有無を確認する場合だけでなく、すでに治療中の患者さんについても、24時間を通した血圧管理を確認するうえで家庭血圧測定が重要としています。


まず「血圧計選び」が重要

家庭血圧計なら何でも同じ、というわけではありません。

基本的には、

精度が検証された上腕式血圧計

をおすすめします。

腕にカフを巻き、オシロメトリック法で測定するタイプです。

日本高血圧学会は家庭血圧計について試験結果の集計も公表しており、2025年版では国内の複数メーカーについて情報を公開しています。


手首式はダメなの?

手首式血圧計そのものが「すべて不正確」という意味ではありません。

ただし手首式は、手首の位置が心臓の高さからずれることなどによって測定値に影響が出やすいという問題があります。

高血圧の診断や日常の血圧管理を目的とするなら、まず上腕式を選ぶのが基本です。


朝の血圧はいつ測る?

ここは非常に重要です。

JSH2025に準拠した日本高血圧学会の最新資料では、朝の家庭血圧は、

起床後1時間以内
排尿後
座位で安静にした後

など、条件をそろえて測定することが示されています。

高血圧治療中の方では、原則として朝の降圧薬を服用する前に測ることで、次の服薬直前まで薬の効果が保たれているかを評価しやすくなります。

また、朝食前に測ることで食事による影響も避けやすくなります。


朝起きてすぐ、ベッドの中で測ればいい?

基本的にはそうではありません。

起床したら排尿を済ませ、

椅子に座り、落ち着いてから測定

します。

日本高血圧学会がJSH2025に準拠して示している朝の測定法では、座位で2分間安静にした後に測定する方法が示されています。


なぜ排尿後なの?

膀胱に尿がたまった状態は、血圧に影響する可能性があります。

そのため、

「起きたらまずトイレ、その後に血圧」

と覚えておくと実践しやすいでしょう。


夜はいつ測る?

夜の家庭血圧は、基本的に就寝前に測定します。

大切なのは、

毎日なるべく同じような条件で測ること

です。

飲酒、入浴、運動などによって血圧は変化します。

したがって「昨日は入浴直後、今日は飲酒後、明日は寝る直前」というように条件が大きく違うと、単純に比較しにくくなります。


 

 

 

 

 

 

【図1:家庭血圧の正しい測り方― 朝・夜のタイミングと測定前のチェック】


血圧を測るときの正しい姿勢

血圧は姿勢によっても変化します。

家庭では、

椅子に座る
背中を支える
脚を組まない
足を床につける
腕の力を抜く
カフを巻いた上腕を心臓の高さに近づける

ことを意識してください。

測定中に会話することも避けます。


カフを厚い服の上から巻いていませんか?

これもよくあります。

基本的には、上腕に適切にカフを装着できる状態で測ります。

厚い衣服の上から無理に巻いたり、腕まくりによって上腕を強く締めつけたりするのは避けましょう。


1回測ればいい?2回測る?

JSH2025に準拠した日本高血圧学会の最新資料では、朝の家庭血圧について、

1分間隔で2回測定

する方法が示されています。

ここで大切なのは、

「1回目が高かったから、低くなるまで何度も測る」

ことではありません。


1回目と2回目、どちらを記録する?

よくある質問です。

「1回目は高いから2回目だけでいいですよね?」

これはおすすめできません。

測った値を自分で選ばないこと

が重要です。

複数回測定した場合は、その測定値を適切に記録し、平均値を評価に用います。

日本高血圧学会の資料でも、朝の血圧は2回自己測定し、その平均を用いる方法が示されています。


「3回目はもっと下がった」は採用する?

血圧を測り直していくと、

125 → 121 → 118

など、徐々に下がることがあります。

そこで、

「一番低かった118を記録しておこう」

とするのは適切ではありません。

血圧測定は、

良い数字を出すための試験ではありません。

普段の血圧状態を知るための検査です。


高かった数字も隠さず記録する

これは診療上かなり大切です。

「先生に怒られそうだから高い数字は書かない」

「2回目が低かったから1回目を消す」

必要はありません。

高かった日も低かった日も、そのまま記録してください。

血圧の変動そのものが診療情報だからです。


何日くらい測ればいい?

一日だけでは普段の血圧を十分に判断できません。

JSH2025に準拠した日本高血圧学会の最新の朝血圧測定資料では、複数日にわたって測定し、5日間の平均値を用いる方法が示されています。

一方、実際の高血圧管理では、治療中の患者さんには可能な範囲で家庭血圧測定を継続していただくことが非常に有用です。

一日だけの数字より、

数日から長期間の「傾向」

を見ることが大切です。


「毎日測らなきゃ」と負担になったら?

家庭血圧は継続できてこそ意味があります。

完璧を目指して測定そのものがストレスになってしまっては本末転倒です。

できる範囲で、

同じ時間帯
同じ姿勢
同じ腕
同じような条件

で測る習慣を作りましょう。

測定頻度については、血圧の状態や治療内容に応じて主治医と相談して構いません。


左腕?右腕?

家庭血圧を継続して比較するためには、原則として同じ腕で測定します。

ただし左右差が大きい場合には、血管疾患などが隠れていることもあります。

健診や診察で左右差を指摘された場合には医師に相談してください。


血圧計の高さにも注意

上腕が心臓よりかなり低い位置や高い位置にあると、測定値に影響します。

テーブルなどを利用して、

上腕が心臓の高さに近くなるようにする

と測定しやすくなります。


測る直前に避けたいこと

血圧はさまざまな要因で変動します。

たとえば、

運動
喫煙
カフェイン
飲酒
入浴
寒さ
会話
精神的緊張

などです。

大切なのは、測定直前の条件をできるだけそろえることです。


朝の血圧が特に重要な理由

近年、日本高血圧学会が特に力を入れているのが早朝高血圧です。

2025年には「早朝高血圧徹底制圧プロジェクト」を開始し、2026年にも朝の家庭血圧測定の普及を継続しています。

診察室で血圧が良好でも、

朝だけ血圧が高い

という患者さんがいます。

これは診察室血圧だけでは見逃す可能性があります。


朝だけ高いのはなぜ?

朝は目覚めとともに交感神経活動などが変化し、血圧が上昇しやすい時間帯です。

さらに、

睡眠時無呼吸
寒さ
飲酒
喫煙
睡眠不足
肥満
糖尿病
腎臓病
降圧薬の効果が翌朝まで十分持続していない

などが関係することがあります。

単に「朝だから高い」で終わらせず、背景を確認することが重要です。


夜の血圧も意味がある

朝ばかり注目されますが、夜の血圧にも意味があります。

夜の家庭血圧を測ることで、

一日の血圧変動
夕方以降の血圧
治療中の血圧コントロール

などを確認できます。

朝と夜の両方を記録すると、その人の血圧パターンがより分かりやすくなります。


家庭血圧と病院の血圧が違ったら?

珍しいことではありません。

病院では高い・家庭では高くない

→ 白衣高血圧

病院では高くない・家庭では高い

→ 仮面高血圧

が考えられます。

特に仮面高血圧は、診察室血圧だけでは見逃される可能性があります。

だからこそ家庭血圧が重要なのです。


 

 

 

 

 

 

【図2:家庭血圧でわかること― 白衣高血圧・仮面高血圧・早朝高血圧を見逃さない】


血圧計の数字を写真に撮るだけでもいい?

記録方法は、

血圧手帳
スマートフォンアプリ
血圧計のメモリー機能

など、続けやすいもので構いません。

診察時に、

「最近はだいたい130くらいです」

と記憶だけで伝えるより、実際の記録を見せていただく方がはるかに役立ちます。


家庭血圧で高血圧と判断する基準

前回説明したように、家庭血圧では、

135/85 mmHg以上

が高血圧の診断基準です。

一方、JSH2025で高血圧患者の原則的な家庭血圧の降圧目標は、

125/75 mmHg未満

です。

ここでも、

「高血圧と診断する基準」と「治療で目指す目標」

を混同しないことが重要です。


高い数字が出たら、すぐ救急車?

血圧の数字だけで緊急性を判断するわけではありません。

特に重要なのは症状です。

血圧が非常に高く、

胸痛
強い息苦しさ
突然の麻痺
ろれつが回らない
意識障害
突然の激しい頭痛

などがある場合には、脳卒中・急性冠症候群・大動脈疾患など緊急性の高い病気の可能性があります。

この場合は119番を利用してください。

症状がなくても、家庭血圧で高い値が繰り返される場合には医療機関へ相談しましょう。


当院の考え方

家庭血圧は、

「毎日の健康診断」ではなく「普段の血圧を知るための検査」

と考えると分かりやすいでしょう。

大切なのは、

正しい血圧計
正しい姿勢
朝・夜の一定した条件
複数回の測定
すべての値を記録
長期的な傾向を見る

ことです。

一番低い数字を探す必要はありません。


まとめ

家庭血圧を測るなら、まず覚えていただきたいのは次の流れです。

朝:起床後1時間以内 → 排尿 → 安静 → 測定

夜:就寝前 → 安静 → 測定

そして、

上腕式血圧計を基本にする
座って測る
腕を適切な位置に置く
測定中は話さない
原則2回測定する
低い数字だけを選ばない
継続して記録する

ことが重要です。JSH2025に準拠した日本高血圧学会の最新資料でも、朝の血圧について起床後1時間以内、排尿後、座位安静後、1分間隔で2回測定する方法が示されています。


当院からのメッセージ

高血圧治療では、

「病院で今日何mmHgだったか」

だけでは分からないことがたくさんあります。

家庭血圧を正しく測ることで、普段の血圧だけでなく、白衣高血圧・仮面高血圧・早朝高血圧などを発見する手掛かりになります。

血圧手帳やアプリの記録を、そのまま診察時にお持ちください。

まずは内科クリニックへご相談ください。必要に応じて専門医療機関へご紹介します。


院長のワンポイントアドバイス

家庭血圧で一番避けていただきたいのは、

「納得できる数字になるまで何度も測って、一番低い値だけを記録すること」

です。

家庭血圧はテストではありません。

高かった値も含めて正直に記録することが、適切な治療につながります。


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次回予告

高血圧シリーズ 第4回

朝だけ血圧が高い「早朝高血圧」とは?脳卒中・心臓病との関係

病院では正常なのに、朝、自宅で測ると高い――。

次回はJSH2025でも重要な早朝高血圧について、なぜ朝に血圧が上がるのか、睡眠時無呼吸や肥満との関係、降圧薬を飲んでいても朝だけ高い場合に何を考えるのかまで詳しく解説します。

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