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第1660回:院長ブログ:OCT(光干渉断層法)とは? ~冠動脈の中を高精細に観察する検査。IVUSとの違いも解説~

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第1660回:院長ブログ:OCT(光干渉断層法)とは? ~冠動脈の中を高精細に観察する検査。IVUSとの違いも解説~

この記事でわかること

✅ OCTとはどんな検査か

✅ OCTで冠動脈の何が見えるのか

✅ IVUSとの違い

✅ PCI・ステント治療でOCTを使う理由


OCTとは?

OCT(Optical Coherence Tomography:光干渉断層法)は、冠動脈の中に非常に細いカテーテルを入れ、近赤外線を利用して血管の断面を観察する検査です。

前回ご紹介したIVUS(血管内超音波)と同じく、心臓カテーテル検査やPCIの際に冠動脈を内側から詳しく調べる血管内画像診断の一つです。

大きな特徴は、非常に高い解像度です。

血管壁の表面やプラーク、血栓、ステントなどを細かく観察できるため、冠動脈造影だけではわからない情報を得ることができます。

 

 

 

 

 

 

【図1:OCTで冠動脈を高精細に見る仕組み】


OCTはどうやって冠動脈を見る?

OCTカテーテルを冠動脈内へ進め、カテーテルの先端から近赤外線を照射します。

血管組織から戻ってくる光を解析することで、血管を輪切りにしたような断面画像を作ります。

ただし、血液中の赤血球は光を遮ってしまいます。

そのため撮影時には造影剤などを流して一時的に血液を押し流し、その間にカテーテルを自動的に引きながら連続撮影します。


OCTでは何がわかる?

OCTでは、

  • 血管内腔の大きさ
  • プラークの状態
  • 石灰化
  • 血栓
  • 血管壁の損傷
  • ステントの拡張状態
  • ステントと血管壁の密着状態

などを非常に細かく評価できます。

特に血管の表面に近い部分を詳しく見る能力に優れています。


心筋梗塞の原因まで見えることがある

心筋梗塞では、動脈硬化によってできたプラークに変化が起こり、そこに血栓が形成されて冠動脈が閉塞することがあります。

OCTでは高い解像度を利用して、

プラークの破綻

プラークびらん

血栓

など、急性冠症候群の原因となった病変を詳しく観察できる場合があります。

単に「どこが狭いのか」だけでなく、**「なぜそこで心筋梗塞が起きたのか」**を考えるための情報が得られることがOCTの特徴です。


PCIでOCTを使う理由

OCTはPCI(冠動脈ステント治療)のガイドとしても使用されます。

ステントを入れる前

  • 病変の長さ
  • 血管径
  • 石灰化の程度
  • プラークの状態

などを評価し、ステントのサイズや治療方法を検討します。

ステントを入れた後

  • ステントが十分に広がっているか
  • 血管壁に密着しているか
  • ステントの端に血管損傷がないか
  • 血栓などが残っていないか

を確認します。

問題があれば、追加のバルーン拡張などを検討します。

 

 

 

 

 

 

【図2:PCIでOCTを使う理由 ― ステント留置前・留置後の評価】


IVUSとOCTは何が違う?

どちらも冠動脈を内側から見る検査ですが、使用するものが違います。

IVUS OCT
原理 超音波 近赤外線
解像度 高い 非常に高い
組織の深部 観察しやすい IVUSより浅い
血管表面の細かな構造 評価可能 特に得意
撮影時の血液除去 基本的に不要 必要
造影剤使用 状況による 撮影のため使用することが多い

つまり、

IVUSは「血管全体を深く見る」ことが得意

OCTは「血管表面を細かく見る」ことが得意

と考えるとわかりやすいでしょう。


OCTとIVUS、どちらが優れている?

「OCTのほうが画像が細かいなら、全部OCTでいいのでは?」

と思うかもしれません。

しかし、そう単純ではありません。

OCTは非常に高精細ですが、光が届く深さには限界があります。

一方IVUSは血管のより深い部分まで観察しやすく、大きな血管や特定の病変ではIVUSが適していることがあります。

またOCTでは撮影時に血液を除く必要があるため、造影剤の使用量などにも配慮が必要です。

病変や患者さんの状態、検査の目的によって使い分けます。


OCTとFFRは役割が違う

ここも重要です。

OCTやIVUSは、冠動脈の**「形態」**を見る検査です。

一方、FFRは冠動脈の狭窄によって、実際に心筋への血流がどの程度妨げられているかという**「機能」**を評価します。

したがって、

OCT・IVUS → 血管はどうなっている?

FFR → その狭窄は血流を妨げている?

という違いがあります。


OCTにはリスクもある?

OCTは心臓カテーテル検査の中で行われるため、侵襲を伴います。

まれですが、

  • 冠動脈の損傷
  • 冠攣縮
  • 不整脈
  • 造影剤によるアレルギー
  • 腎機能への影響

などが起こる可能性があります。

特に腎機能が低下している方では、造影剤の使用量を考慮して検査方法が検討されます。


当院の考え方

現在のPCIは、単に冠動脈造影を見ながらステントを入れるだけではありません。

IVUSやOCTなどの血管内画像診断を利用することで、冠動脈病変をより詳しく理解し、患者さんごとに適切な治療を行うことが可能になっています。

どの検査を使用するかは、冠動脈の病変や患者さんの状態などを考えて専門医が判断します。

当院では必要に応じて専門医療機関と連携し、適切な検査・治療につなげます。


まとめ

✅ OCTは近赤外線で冠動脈を内側から観察する検査

✅ 非常に高い解像度が大きな特徴

✅ プラーク・血栓・ステントなどを細かく評価できる

✅ PCI前後のステント評価にも役立つ

✅ IVUSとOCTにはそれぞれ得意分野があり、目的によって使い分ける


当院からのメッセージ

心臓カテーテル治療では、「血管が狭い」という情報だけで治療を決めるわけではありません。

OCTやIVUSを使うことで、血管の中で何が起きているのかを詳しく調べ、より適切なPCIにつなげることができます。

検査名が多く不安に感じる場合は、「何を調べるための検査なのか」を担当医に確認してみましょう。


院長のワンポイントアドバイス

IVUSとOCTは似ていますが、見えている世界が少し違います。

IVUSは超音波で血管全体を評価することに優れ、OCTは高い解像度を生かして血管表面の細かな構造を観察することに優れています。病変に応じて使い分けることが重要です。


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次回予告

FFR(冠血流予備量比)とは?

~冠動脈が狭くてもステントが必要とは限りません。「見た目の狭さ」ではなく、その狭窄が本当に心筋への血流を妨げているのかを調べる検査について解説します。

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